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「初めまして。いらっしゃい」
「初めまして。悠希です。宜しくお願い致します」
「ルーカスの運命の番に会えるなんて嬉しい」
「そうだな。いらっしゃい。良く来たね」
「お祖父様お祖母様、お久しぶりです」
「そうだな。日本に来たのに一度も顔を出してくれないなど、寂しいではないか。でも番が見つかって良かったな」
「はい」
ルーカスの祖父は国内で古くからの企業を経営していた。二人はアルファと男性オメガの番であるという。お屋敷に招かれて挨拶する悠希とルーカス。
「ルーカスの母のアルバムがあるから是非見て。悠希さんに似ていると思う」
「本当に。似てる」
「そう?お義母様みたいに綺麗ではないと思うけれど…」
「悠希のほうが可愛いよ」
「ルーカスありがと。でもはずかしい」
「ふふ。仲良くて良かった」
「そうだな。どうかな?卒業してからすぐに発情期の予定だと聞いた。うちの別荘で発情期を過ごして、番になってからアメリカに行っては?番だと入国審査がほぼ無条件で通るというし」
「お祖父様、ありがとうございます。悠希も国内で番契約したほうが安心かも知れません。是非別荘をお借りしたいです」
3月の卒業式には悠希の両親とルーカスも参列した。
「悠希君、結婚と番決まって良かったね。おめでとう」
「みのり君。ありがとう。マッチングシステム、登録したんでしょう?番が現れるのを祈ってる」
「ありがとう。アメリカに行っても連絡してね。僕も経過報告させて貰うよ。僕もルーカス先生みたいな格好良い番を見つけて、写真送るからね」
「うん。待ってるよ」
式典の後、クラスで皆とお別れをして悠希は学校を出た。そこには、スーツで大きな花束を持つルーカスの姿があった。
「悠希。おめでとう」
「ルーカス、ありがとう」
「ご実家に挨拶したら、そのまま別荘に行こう。発情期までとその後も長く、数ヵ月でも使わせて貰える条件で借りているからね」
「うん。温泉がひいてあって海も見えるんでしょう?楽しみだな」
「悠希。卒業と結婚おめでとう。私達はあまり役に立たない家族だったかも知れないけれど、遠くからいつも幸せを祈ってるね」
「お母さん、ありがとう。お母さんの子どもに産まれて良かった」
「幸せにね。ルーカスさん、悠希をお願いします」
「はい。二人で必ず幸せになります」
悠希の着替えを詰めた旅行カバンを持ったルーカスが母にきっちりと90度のお辞儀をして見せた。この日のために練習していたのだ。そして悠希と二人手を取り合って祖父の別荘に向かった。
「素敵な別荘。海が見える温泉!」
「和洋折衷で作ったらしい。和室や茶室もあって、リビングやベッドルームは洋室なんだ。子供の頃に両親と泊まらせて貰ったんだよ」
「そうなんだ」
「海岸を歩いたり、魚料理を食べたりまだ発情期まで楽しめるね」
「うん」
美味しい料理や風景を楽しんだ。悠希の発情期は予定より早めにその兆候が訪れた。
運命の番同士が共に過ごせば早まるのも当然である。それまで二人で過ごすデートの日は追加服用していたのを、別荘生活数日後に通常量に抑えただけで強い発情が訪れたのだった。
そして、その時点からは初めて抑制剤を飲まない発情を迎える。二人きりの別荘に芳しいフェロモンが漂う。悠希につられてルーカスからもたちのぼる薫り。一体となって甘く二人を包んだ。
「愛してる。番になろう」
「うん。噛んで欲しい」
広いベッドに悠希をそっとおろしたルーカスは、自ら着ているものをぬぎながら器用に悠希を剥いていった。
「きれい。悠希、とてもかわいい。好きだよ」
「ルーカス、僕も好き」
二人の唇が重なった。重なる胸からトクトクと互いの鼓動を感じる。
「これからひとつになるね」
「愛してる」
悠希の身体を探り、確かめて快感を促すと、濡れた後ろも丁寧にほぐし、ルーカスは悠希をうつ伏せた。
「もう大丈夫?良い?」
「うん、大丈夫」
そっと進路を開き、次第に動きを増すルーカス。
「愛してる。噛むよ」
「あ...」
運命の番マッチングシステムはまた一組の幸福な番を産み出したのだった。次はどんな番が出会えるのか。それは貴方かもしれません。
「初めまして。悠希です。宜しくお願い致します」
「ルーカスの運命の番に会えるなんて嬉しい」
「そうだな。いらっしゃい。良く来たね」
「お祖父様お祖母様、お久しぶりです」
「そうだな。日本に来たのに一度も顔を出してくれないなど、寂しいではないか。でも番が見つかって良かったな」
「はい」
ルーカスの祖父は国内で古くからの企業を経営していた。二人はアルファと男性オメガの番であるという。お屋敷に招かれて挨拶する悠希とルーカス。
「ルーカスの母のアルバムがあるから是非見て。悠希さんに似ていると思う」
「本当に。似てる」
「そう?お義母様みたいに綺麗ではないと思うけれど…」
「悠希のほうが可愛いよ」
「ルーカスありがと。でもはずかしい」
「ふふ。仲良くて良かった」
「そうだな。どうかな?卒業してからすぐに発情期の予定だと聞いた。うちの別荘で発情期を過ごして、番になってからアメリカに行っては?番だと入国審査がほぼ無条件で通るというし」
「お祖父様、ありがとうございます。悠希も国内で番契約したほうが安心かも知れません。是非別荘をお借りしたいです」
3月の卒業式には悠希の両親とルーカスも参列した。
「悠希君、結婚と番決まって良かったね。おめでとう」
「みのり君。ありがとう。マッチングシステム、登録したんでしょう?番が現れるのを祈ってる」
「ありがとう。アメリカに行っても連絡してね。僕も経過報告させて貰うよ。僕もルーカス先生みたいな格好良い番を見つけて、写真送るからね」
「うん。待ってるよ」
式典の後、クラスで皆とお別れをして悠希は学校を出た。そこには、スーツで大きな花束を持つルーカスの姿があった。
「悠希。おめでとう」
「ルーカス、ありがとう」
「ご実家に挨拶したら、そのまま別荘に行こう。発情期までとその後も長く、数ヵ月でも使わせて貰える条件で借りているからね」
「うん。温泉がひいてあって海も見えるんでしょう?楽しみだな」
「悠希。卒業と結婚おめでとう。私達はあまり役に立たない家族だったかも知れないけれど、遠くからいつも幸せを祈ってるね」
「お母さん、ありがとう。お母さんの子どもに産まれて良かった」
「幸せにね。ルーカスさん、悠希をお願いします」
「はい。二人で必ず幸せになります」
悠希の着替えを詰めた旅行カバンを持ったルーカスが母にきっちりと90度のお辞儀をして見せた。この日のために練習していたのだ。そして悠希と二人手を取り合って祖父の別荘に向かった。
「素敵な別荘。海が見える温泉!」
「和洋折衷で作ったらしい。和室や茶室もあって、リビングやベッドルームは洋室なんだ。子供の頃に両親と泊まらせて貰ったんだよ」
「そうなんだ」
「海岸を歩いたり、魚料理を食べたりまだ発情期まで楽しめるね」
「うん」
美味しい料理や風景を楽しんだ。悠希の発情期は予定より早めにその兆候が訪れた。
運命の番同士が共に過ごせば早まるのも当然である。それまで二人で過ごすデートの日は追加服用していたのを、別荘生活数日後に通常量に抑えただけで強い発情が訪れたのだった。
そして、その時点からは初めて抑制剤を飲まない発情を迎える。二人きりの別荘に芳しいフェロモンが漂う。悠希につられてルーカスからもたちのぼる薫り。一体となって甘く二人を包んだ。
「愛してる。番になろう」
「うん。噛んで欲しい」
広いベッドに悠希をそっとおろしたルーカスは、自ら着ているものをぬぎながら器用に悠希を剥いていった。
「きれい。悠希、とてもかわいい。好きだよ」
「ルーカス、僕も好き」
二人の唇が重なった。重なる胸からトクトクと互いの鼓動を感じる。
「これからひとつになるね」
「愛してる」
悠希の身体を探り、確かめて快感を促すと、濡れた後ろも丁寧にほぐし、ルーカスは悠希をうつ伏せた。
「もう大丈夫?良い?」
「うん、大丈夫」
そっと進路を開き、次第に動きを増すルーカス。
「愛してる。噛むよ」
「あ...」
運命の番マッチングシステムはまた一組の幸福な番を産み出したのだった。次はどんな番が出会えるのか。それは貴方かもしれません。
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