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食後にトイレ、歯磨きする。昨日から気づいていたが、普段使っているものと似たような形状の歯ブラシが多種並んでいたのだ。長さやブラシの大きさがとりどりである。口や歯の形が種族で違うからかな。念じて水を出す事に慣れてきて水量調節が昨日より上達したと感じる。
それから書斎に戻って、本を手にとって見てみた。読めるのか読めないのか。アルやリノさんの言葉はわかるけど、どうなんだろう?
本には、横書きの文字が並ぶ。ぱっと見たところ英語のように見える。文字を追ってみると、なんとも不思議。英語を日本語に翻訳していくように、すらすら読めてしまう。
もともと獣医の勉強をしていて、英語の文献等も読んではいたが、わからない単語は調べないと行けなかった。でも何の補助もなしに意味がわかってしまう。凄い。これが神業?やっぱり運命の番効果っていうのかな。そういう事なのかな。
「ハル!おはよう。気分や体調はどうか?大丈夫だろうか?」
扉が開いてアルが入ってきた。まずは挨拶と僕を心配してくれる言葉に少しほっとして、嬉しくなった。
「アル、おはようございます。眠れたし食事も食べられたから大丈夫」
「そうか。良かった」
明らかにほっとした笑顔を見せた。男前がかわいらしさも加わって目に眩しいくらいだ。
「ハル、わが最愛の人。どうか敬語は外して、気楽に話して欲しい」
「わかった。アルが言うならそうさせてもらうね」
「ありがとう。その服装とても似合っていて可愛いらしい。ところで何を読んでいたんだい?」
文机の椅子に座っていた僕に近づくと、背中から覗き込みながらふわっと僕を抱き締めてきた。
「ああ。愛しい。良い薫りだ」
「ふふっ。くすぐったい。文字を読めるのか試しに見ていたんだけど、読めたんだ。まるで翻訳していくようにすらすら読めてびっくりした。やっぱり運命の番だからなのかなって思って」
「嬉しいよ。そういう風に考えてくれるなんて、何て素晴らしい人だ」
「まだまだ納得しているわけでは無いけど知りたいことがたくさんある」
「ああ。話をしよう。興味を持ってくれて有難い」
アルが椅子の横から僕を抱き上げた。お姫様抱っこするのが好きなのかな?捕まっておくと、長椅子に僕を抱いたまま座った。
「まずは、アルの歳?聞いても良い?」
「時間の感覚が同じかわからないがこちらの暦では130だ」
「130!?いくつで成人するの?」
「大体20くらいだ」
「え?じゃあ、随分大人になってから長くない?」
「ああ。その長い刻、番を探し心から求めていたのだ。だが平均的に王と番は200から300くらい生きる。まだまだ共に過ごせる時間は永くある」
「そうなんだ。随分寿命の振れ幅が大きいんだね。そして、そんなに長く待っていたんだ」
「ああ。ハルは?いくつ?」
「24。僕達は18で成人」
「そうか。若いんだな。ハルもおそらくこれから寿命は長くなっていくと思う。他に質問は?」
「今何時?時間の決まりがあるの?」
「今は二の刻だ」
時間は、朝起きるときを起点に1から数えて5まで。6から8の分が平均睡眠時間のようだが、種によって睡眠時間が少し違ったり冬眠する場合もあるようだ。僕の世界と換算すると3時間を一の刻と考えて良さそう。
「寒い時期と暑い時期があるの?」
「ある。光は調節できるが気温の変化はある。寒い時期に屋外で水を念じると雪が降る」
「光や水は広い範囲で出せるの?」
「いや。周囲の狭い範囲だ。力が強ければ少し広がるが。そうだな。子供だと目の前の水栓、トイレの灯り。大人だと一部屋分の明かりを一の刻から五の刻分くらい」
「空から降る雨の水が多すぎたり少なすぎる事はある?」
「空に水分が少ないと念じても雨が降らない。止まるよう念じても多く降りすぎる事はある。室内の水は浄化して溜めてあるから調整は可能だが、屋外では自然には逆らえない事がある」
「そうか。全て調節できるわけでは無いんだね。季節によって時刻の始まりとかを変えたりは?」
「それはない」
「時計はあるの?」
「そこのが時計だ」
時計は、砂時計みたいに1から5まで表示されて終わり。次の日にまた1から表示されるようである。睡眠時間は、王の種族に一応合わせてあるらしい。
「王の仕事って?」
「国の財政管理だとか、食物の収穫量だとか、河川や土地の管理や土壌の改良や、今問題の疫病と自然災害の対応等だな。ハルはどんな仕事を?」
「アル達には大変申し訳ないんだけど…僕は家で牛を飼っていて牛乳を出荷したり、馬を飼っていた。近くには、肉牛の厩舎もあった。野生の鳥や狐、鹿なんかも多いところで育って、獣医といって、獣のお医者さんになったばかりなんだ」
「そうか。獣を食用にすることは世界が違うのだから気にすることはない。しかも、動物に近いところで生きて、動物を助ける仕事に就いて居たんだろう?」
「うん。獣医は、ペットの小動物を治療したり、家畜の疫病対策をしたり、家畜診療所っていって、産業動物の治療をするところもある。僕は地方自治体で家畜の疫病の検査や治療、予防とかに従事する部門にいた」
「なんと…そんな素晴らしい仕事を…。それもまた神に選ばれた理由なのかも知れない。ハルはわが国の救世主だ」
アルが僕をきゅっと抱き締めてすーっと僕の薫りを嗅いでいるのがわかった。確かに僕の知識を生かせる分野があるかも知れないな。
「あ、一番興味あること!アルは何の獣特性があるの?どんな風に変わるの?」
王と言うからには強そうなんじゃないかな?見た目大きな男性だし。
「そうだな。ではこちらへ。怖がられたら困るんだが…見たいんだろう?」
「うん。見たい。怖がったりは、多分大丈夫だと思うよ?」
またもお姫様抱っこで今度はベッドルームに移動した。ベッドの枕に近いところに僕をそっとのせて、足元に移動したアル。着ていた服を脱ぎながら
「では、変身する」
ぱっと光ったような感じがあり、直後そこに居たのは白いライオンだった。見事な長いたてがみ大きな体ではあるが、良く動物園で見るライオンとは違って背中やたてがみが茶や黒ではなく、全体が白い毛に覆われている。
「ホワイトライオン!しかも全身ライオンだ。アル?触っても良い?」
ライオンのアルがゆっくりと頷いたので、少しずつ近づいてみた。手には立派な爪があり、腕をそっと撫でてから胸毛、たてがみ、背中を撫でてみた。モフモフで柔らかくてとっても気持ちいい。抱きつきたい。
「抱きしめてみても良い?」
また頷いたのを合図にぎゅっと抱きついてみた。もふもふだ!毛に覆われたからだがふかふかして温かく気持ちいい。
「すごい毛並みだ。アル、気持ちいいよ」
するとまたぱっと光って元の人型に戻った。裸の筋肉質な男性体に抱きついているのは恥ずかしく、直ぐに離れた。アルは服を着ながら
「怖がられていないようで安心した。ありがとう。しかしあまり近くで抱きあい続けると不味い」
「どうして?」
「ハルから良い薫りがして、欲望が抑えられなくなってしまいそうだ」
「あっ...」
そっか。そうだった。僕を性的に求めているんだよね。顔が火照ってしまう。
「完全な人型、獣型に変化できるのは獣人としての力が強い証拠なんだ。また白ライオンはとても数が少なく貴重な種族だ。寿命は長いが、運命の番以外とは子供が出来にくく生存率が低くなる。王家はこの種を維持していくのが難しい」
「そっか。見せてくれてありがとう」
「いや、いずれは見て貰わなければならなかった。こちらこそありがとう。毛並みに抱きつかれると私を受け入れてくれるように感じて嬉しかった。私は少し公務に戻るが四の刻に食事を共に出来たら嬉しい。その間したいことは無いか?」
「それなら、今までに転生してきた人の記録とか文献が有ったら見せて欲しい」
「わかった。届けさせる。記載されていることは、もしかしたらハルにとって望ましい内容ではないかも知れない。しかし私はハルに嘘をついたり誤魔化す気持ちはない。他にも知りたいことがあれば言って欲しい」
「うん。ありがとう。読ませて貰う。僕は獣医で科学者なんだ。事実をきちんと知りたい。尊重してくれてありがとう」
それから書斎に戻って、本を手にとって見てみた。読めるのか読めないのか。アルやリノさんの言葉はわかるけど、どうなんだろう?
本には、横書きの文字が並ぶ。ぱっと見たところ英語のように見える。文字を追ってみると、なんとも不思議。英語を日本語に翻訳していくように、すらすら読めてしまう。
もともと獣医の勉強をしていて、英語の文献等も読んではいたが、わからない単語は調べないと行けなかった。でも何の補助もなしに意味がわかってしまう。凄い。これが神業?やっぱり運命の番効果っていうのかな。そういう事なのかな。
「ハル!おはよう。気分や体調はどうか?大丈夫だろうか?」
扉が開いてアルが入ってきた。まずは挨拶と僕を心配してくれる言葉に少しほっとして、嬉しくなった。
「アル、おはようございます。眠れたし食事も食べられたから大丈夫」
「そうか。良かった」
明らかにほっとした笑顔を見せた。男前がかわいらしさも加わって目に眩しいくらいだ。
「ハル、わが最愛の人。どうか敬語は外して、気楽に話して欲しい」
「わかった。アルが言うならそうさせてもらうね」
「ありがとう。その服装とても似合っていて可愛いらしい。ところで何を読んでいたんだい?」
文机の椅子に座っていた僕に近づくと、背中から覗き込みながらふわっと僕を抱き締めてきた。
「ああ。愛しい。良い薫りだ」
「ふふっ。くすぐったい。文字を読めるのか試しに見ていたんだけど、読めたんだ。まるで翻訳していくようにすらすら読めてびっくりした。やっぱり運命の番だからなのかなって思って」
「嬉しいよ。そういう風に考えてくれるなんて、何て素晴らしい人だ」
「まだまだ納得しているわけでは無いけど知りたいことがたくさんある」
「ああ。話をしよう。興味を持ってくれて有難い」
アルが椅子の横から僕を抱き上げた。お姫様抱っこするのが好きなのかな?捕まっておくと、長椅子に僕を抱いたまま座った。
「まずは、アルの歳?聞いても良い?」
「時間の感覚が同じかわからないがこちらの暦では130だ」
「130!?いくつで成人するの?」
「大体20くらいだ」
「え?じゃあ、随分大人になってから長くない?」
「ああ。その長い刻、番を探し心から求めていたのだ。だが平均的に王と番は200から300くらい生きる。まだまだ共に過ごせる時間は永くある」
「そうなんだ。随分寿命の振れ幅が大きいんだね。そして、そんなに長く待っていたんだ」
「ああ。ハルは?いくつ?」
「24。僕達は18で成人」
「そうか。若いんだな。ハルもおそらくこれから寿命は長くなっていくと思う。他に質問は?」
「今何時?時間の決まりがあるの?」
「今は二の刻だ」
時間は、朝起きるときを起点に1から数えて5まで。6から8の分が平均睡眠時間のようだが、種によって睡眠時間が少し違ったり冬眠する場合もあるようだ。僕の世界と換算すると3時間を一の刻と考えて良さそう。
「寒い時期と暑い時期があるの?」
「ある。光は調節できるが気温の変化はある。寒い時期に屋外で水を念じると雪が降る」
「光や水は広い範囲で出せるの?」
「いや。周囲の狭い範囲だ。力が強ければ少し広がるが。そうだな。子供だと目の前の水栓、トイレの灯り。大人だと一部屋分の明かりを一の刻から五の刻分くらい」
「空から降る雨の水が多すぎたり少なすぎる事はある?」
「空に水分が少ないと念じても雨が降らない。止まるよう念じても多く降りすぎる事はある。室内の水は浄化して溜めてあるから調整は可能だが、屋外では自然には逆らえない事がある」
「そうか。全て調節できるわけでは無いんだね。季節によって時刻の始まりとかを変えたりは?」
「それはない」
「時計はあるの?」
「そこのが時計だ」
時計は、砂時計みたいに1から5まで表示されて終わり。次の日にまた1から表示されるようである。睡眠時間は、王の種族に一応合わせてあるらしい。
「王の仕事って?」
「国の財政管理だとか、食物の収穫量だとか、河川や土地の管理や土壌の改良や、今問題の疫病と自然災害の対応等だな。ハルはどんな仕事を?」
「アル達には大変申し訳ないんだけど…僕は家で牛を飼っていて牛乳を出荷したり、馬を飼っていた。近くには、肉牛の厩舎もあった。野生の鳥や狐、鹿なんかも多いところで育って、獣医といって、獣のお医者さんになったばかりなんだ」
「そうか。獣を食用にすることは世界が違うのだから気にすることはない。しかも、動物に近いところで生きて、動物を助ける仕事に就いて居たんだろう?」
「うん。獣医は、ペットの小動物を治療したり、家畜の疫病対策をしたり、家畜診療所っていって、産業動物の治療をするところもある。僕は地方自治体で家畜の疫病の検査や治療、予防とかに従事する部門にいた」
「なんと…そんな素晴らしい仕事を…。それもまた神に選ばれた理由なのかも知れない。ハルはわが国の救世主だ」
アルが僕をきゅっと抱き締めてすーっと僕の薫りを嗅いでいるのがわかった。確かに僕の知識を生かせる分野があるかも知れないな。
「あ、一番興味あること!アルは何の獣特性があるの?どんな風に変わるの?」
王と言うからには強そうなんじゃないかな?見た目大きな男性だし。
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「うん。見たい。怖がったりは、多分大丈夫だと思うよ?」
またもお姫様抱っこで今度はベッドルームに移動した。ベッドの枕に近いところに僕をそっとのせて、足元に移動したアル。着ていた服を脱ぎながら
「では、変身する」
ぱっと光ったような感じがあり、直後そこに居たのは白いライオンだった。見事な長いたてがみ大きな体ではあるが、良く動物園で見るライオンとは違って背中やたてがみが茶や黒ではなく、全体が白い毛に覆われている。
「ホワイトライオン!しかも全身ライオンだ。アル?触っても良い?」
ライオンのアルがゆっくりと頷いたので、少しずつ近づいてみた。手には立派な爪があり、腕をそっと撫でてから胸毛、たてがみ、背中を撫でてみた。モフモフで柔らかくてとっても気持ちいい。抱きつきたい。
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また頷いたのを合図にぎゅっと抱きついてみた。もふもふだ!毛に覆われたからだがふかふかして温かく気持ちいい。
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するとまたぱっと光って元の人型に戻った。裸の筋肉質な男性体に抱きついているのは恥ずかしく、直ぐに離れた。アルは服を着ながら
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「あっ...」
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「そっか。見せてくれてありがとう」
「いや、いずれは見て貰わなければならなかった。こちらこそありがとう。毛並みに抱きつかれると私を受け入れてくれるように感じて嬉しかった。私は少し公務に戻るが四の刻に食事を共に出来たら嬉しい。その間したいことは無いか?」
「それなら、今までに転生してきた人の記録とか文献が有ったら見せて欲しい」
「わかった。届けさせる。記載されていることは、もしかしたらハルにとって望ましい内容ではないかも知れない。しかし私はハルに嘘をついたり誤魔化す気持ちはない。他にも知りたいことがあれば言って欲しい」
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