【完結】恋人から試し行動され続けるけど僕の愛は揺らがない。

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10年ぶりの再会

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    第三王子帰還パーティー当日。トランペットが高々と奏でるファンファーレの音と共に入場してきたひときわ輝く王子の姿に、会場内には感嘆のため息が充満していた。
    10年ぶりに見たカーティス様は今でも美味しそうなはちみつ色の髪と瞳はそのままに、随分と逞しく凛々しく成長を遂げていた。

    ウォーレンと大差ないんじゃないかと思うほどの身長。厚みを感じる胸元と長い手足。晴れの日が多いという同盟国で健康的な生活を送っていたのだろうと一目で分かる小麦色の肌。
    眉はキリッと整えられ、人形のようだった面影は薄れたものの、優しげに垂れ下がる目元とその下の涙黒子は確かにカーティス様だと証明していた。

    今日の主役である彼は、舞台の真ん中に立ち止まるとぐるりと会場を見回す。そしてバチ、と音がしそうなほど僕と目が合ったと思えば凛々しい眉を下げ、柔らかな笑顔を浮かべた。
    僕の周りにいたご令嬢たちが小さく黄色い悲鳴をあげて盛り上がる。明らかに僕に向けたと分かる笑顔に、内心動揺を悟られないように必死に取り繕った。

    パーティー主催・参加への感謝、帰国をするに当たって同盟国で学んだことを自国に生かし、国民のために働く決意表明を淡々と、しかし力強く言葉にしたカーティス様。
    子供の時は砂のお城を崩すときにわんわんと声をあげて泣くほど泣き虫王子だったのに、と思いながらも彼の立派に成長した姿に感動すら覚える。
    僕も少しは彼に誇れるような人間になれているだろうか、と考えてあまり自信が持てず隠れるように会場の端に移動する。
    入り口近くには警備の仕事にあたっているウォーレンがいて、僕が気付いた時には彼はすでに僕を見ていた。
    何となくウォーレンの表情が固いのが気になったがすぐに小さく微笑まれて僕もきゅっと口角を上げて見せる。

    カーティス様の挨拶が終わると、拍手の音がまるで大きな油鍋の中に水でも零したようにぱちぱちと起こった。
    そして我先にとカーティス様の元に人々が集まり、自分の娘をぜひ嫁にという魂胆が渦巻く空間が出来上がる。
    帰国して早々カーティス様も大変だなとぼんやり思っていると少し離れていた両親に呼ばれ、そのままカーティス様を囲む人集りの中に引きずり込まれた。

    国の官僚の中でも特に位の高い役職についている両親に周りも気を配り、さっと人が避けていく。
    気付けば僕は人集りの真ん中まで押し出され、目の前には10年ぶりに至近距離にいるカーティス様。
    僕も彼も目を丸くして数秒無言で見つめ合い、お互い同時に息を吸い込んだ。

「…ロナ!会いたかった!」

    そう叫んでがばりと覆い被さるようにハグをしてきたカーティス様の身体を少しよろけながらも受け止める。
    爽やかなオレンジのような香りが鼻腔を擽り、逞しく成長した背中にそっと手を添えながら僕は口を開いた。

「お久しぶりです、カーティス様。覚えていて下さったんですね。ご健勝のようで何よりでございます」
「ロナ、そんな堅苦しい態度はやめてくれ。と言ってもこの場で難しいことは理解している。昔のように2人で語り合いたい。積もる話が山ほどあるんだ」
「はい。過去の学友とはいえ、私で良ければぜひ留学先で学ばれ成長されたカーティス様のお話をお聞かせくださると幸いです」
「……うん、この後すぐにでも」

    ちょっと堅苦しすぎる文言だっただろうか。しかしありとあらゆる由緒正しき家柄の人間たちに囲まれている中で昔のように話せば、どんなことを噂されるかたまったもんじゃない。
    苦い顔を一瞬見せたがすぐににこやかな笑顔を浮かべたカーティス様は、そっと顔を僕の耳元に近付けた。

「パーティーが終わったら、蘭の宮にあるあの場所でおち合おう」

    小声で僕にだけ聞こえるように囁いた彼の言葉に逡巡する余地もないまま、すぐに身体は離される。
    そしてすぐにカーティス様は僕との挨拶が終わるのを待っていた人々に再び囲まれ、僕は人の波に流されるようにして群衆の中から脱出した。

    蘭の宮にあるあの場所を彼もまだ覚えていてくれたんだな、という嬉しさはありつつも。
    パーティーが終わり次第すぐに帰っていちゃいちゃしようと約束していたウォーレンへ何て言うべきか、とパーティーが終わるまで頭を悩ませることになった。

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