【完結】恋人から試し行動され続けるけど僕の愛は揺らがない。

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幸せがずっといる。完

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    それからしばらく経ち、王太子であった第一王子が王太子の立場を剥奪されたことが正式に発表された。同じく第三王子暗殺計画を企てていたと証明された第二王子と共に、二人は王族としての権限を破棄され、第一王子は十年間、第二王子は五年間孤児院や貧困地域における奉仕活動を言い渡された。その内容によって、王族に戻れるかはその時の王と官僚によって再考する主が伝えられた。

    元騎士団長は第三王子の命を救うためにウォーレンをはめたことが認められた。その行動は愚かで騎士団長の地位に見合わない非道なやり口ではあったが、彼が止めていなければもっと早く第三王子暗殺計画が実行されていたこと、アーバント家への調査はしっかり遂行していたことを鑑みて、北部の国境を守る組織に五年間属することで重い処罰は免れた。

    アーバント伯爵家は元騎士団長の調査経過を元に国の調査が入り、そこで次々と税金の横領、市民の奴隷化、婚約相手が不貞を働くよう仕向け莫大な違約金を払わせる婚約詐欺などを行っていた証拠が上がり、伯爵の地位を剥奪されアーバント家は取り壊しとなった。

    そして正式に新しい王太子にはカーティス第三王子が指名され、それと同時に三年後の春、現在のビリンガム王は生前退位され、カーティス王子にその立場を譲ると宣言した。
    それは王宮内で大きなざわめきとなり、国民の間でもさまざまな噂や意見が飛び交ったが、カーティス王子が王にふさわしい理由が周知されるとそれは次第にカーティス王子を支持する声へと変わっていった。

    そうして騒がしかった一連の騒動がようやく落ち着きを取り戻し、日常に戻りつつ、しかし騎士団長と副団長という立場に変わった僕たちといえば。

「ウォーレン!そろそろ準備しないと朝礼に遅れる!」
「もう少しロナの唇を楽しませてよ。昨夜も忙しすぎて愛しあわずに寝てしまったんだから」
「だーめ!ほら、早く起きて準備するよ!キスは終わり!」
「いやだ。カーティス王子に三回もキスされたんだよね?その感触を消すまで毎日何百回とキスしたい」
「お、覚えてないかも…」
「覚えてないなら思い出さないでいいよ。君の唇には俺の味と感触だけを覚えていてほしい。その柔らかさを知っているのが俺だけではないのがひどく悔しいけど…二度と誰にもロナの唇を奪わせないように俺が守るから」

    目の回る忙しさに追われ、なかなか二人の愛しあう時間が取れないことやカーティス様にキスされたことをひどく不服に思っているウォーレンを宥めながらベッドをおりる。僕も同じ気持ちだが、新任から日も浅いうちに騎士団長と副団長が遅刻なんて面目丸潰れだ。
    まだ僕の腰にしがみついてベッドにひきずり戻そうとするウォーレンの顔をがしっと掴むと、思いっきり深いキスをしてからパッと顔を離した。

「ロナ!」
「はい、これで満足でしょ?これ以上するなら一週間キス禁止にするよ。今日頑張ったら明日の午前中、僕は休みだからたくさん愛し合えるのにキスなしにするつもり?ウォーレンは朝から仕事だけど頑張れるよね?」
「すぐに用意する!途端にやる気が出てきたよ!」

    なんて単純なんだとその愛らしさに笑みが溢れる。最近は騎士団長としての風格が出始め、かっこいい姿を見せる彼に惚れ直す毎日だが、やはり単純で可愛らしい一面にも胸をキュンとさせる。

「あ、明日はカーティス様と王太子承認式の警備配置確認が午後にあるからそれまでに回復出来るくらいの回数にしてね」
「…俺に愛されてましたと分かる顔でカーティス王子に会わないといけないの?え?無理なんだけど」
「何言ってんの…そんな顔見せるわけないでしょ…」
「俺は朝までするつもりだよ?たくさん愛してとろとろになったロナが午前中だけ休んで元通りになるわけないだろう?だめだ、明日の打ち合わせはずらしてもらおう」
「王太子の日程をそう簡単にずらせるわけないでしょ!僕たちのために頑張ってくれているカーティス様にもう嫉妬する必要なんてないよ」
「それとこれとは別なんだよ!カーティス王子には一生頭が上がらないけどロナのすべてを独占したい俺の気持ちも分かって…」
「ふふ、分かってるよ。どんなに誰に嫉妬したって僕が愛するのはウォーレンだけ。嫉妬する暇があるなら僕を愛して」
「ロナ…!」

    最近、自分でもウォーレンの扱い方がうまくなってきたと思う。僕の恋人は相変わらず嫉妬深く、執着心が強い。そんなところも愛おしいのだ。
    愛されるということは、時に不自由になることだと思う。でも、愛するということは、心が自由になる。だから人は、どの時代も、誰かを愛さずにはいられないんだろう。

「新居への引っ越しも、楽しみだしね」
「屋敷の準備が整ったら一番に新しいベッドで愛し合おうね。ロナに似合うネグリジェも注文したんだ」
「……楽しみだね」

    僕たちはもうすぐ騎士団の寮を出て、ビリンガム王から賜った騎士団のすぐ近くにある小さな屋敷に移り住むことになっている。もう少し騎士団内の仕事が落ち着き、屋敷の家具の搬入や壁紙の張り替え工事などが終わり次第そっちに住む予定だ。

「ロナ、俺は今まで愚かなことばかりして寂しい思いをさせて君を傷付けてしまったけど、新居では毎日毎日嫌と言われても離れないから。俺の天井のない愛をしっかり受け止めてね」
「…トイレにまで着いてくるのだけはやめてほしいな」

    初恋が実ってから、三年。その間、僕と自分の愛の重さに差があるのを不安に感じた恋人から数々の試し行動をされた。
    飲み会に行ったり、目の前でご令嬢と親しげに話されたり、朝まで帰ってこなかったり。何度もこの部屋で、暗い夜を過ごしながら恋人の帰りを待った。
    我慢強い僕でも心が挫けそうになるくらい辛い日々だったけれど、もうすぐ僕が一人で待ち続けた部屋とはお別れする。そして二度と、僕が一人で暗い夜を過ごす日は、来ない。

    愛するがゆえの、試し行動だった。だからこそ、愛されるがゆえの、傷だった。それらすべてを、僕はこの部屋に置いていく。

「ウォーレン、もう試し行動はしないでね?」
「二度としないよ。君から二度と聞きたくない言葉があるから。君を二度と傷付けたくないから。それにもうロナは俺のものだって堂々と言える未来が遠くないからね。これからは愛し行動だけしていく!」
「なにそれ、愛し行動なんて初めて聞いた!」

    傷付けられた数より、愛された数を数えながら、愛する人の隣で生きていく。
    たとえ僕たちの愛の形や重さが違くても、目に見えないものは比べようがない。それなら、二人の愛を重ねて織りまぜて、大きな愛を二人で積み上げていきたい。

「愛してるよ、ウォーレン。だからずっと僕を愛してね」
「もちろんだ。一生俺の愛でこれでもかというほど溺れさせるよ。ロナ……心から愛している」

    僕の昨日と明日に、ウォーレンがずっといる。
    ウォーレンの昨日と明日に、僕がずっといる。

    未来の僕たちの隣に、幸せがずっといる。




END.


 
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