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2-My goddess-【千歳SIDE】
57お願いだから②
しおりを挟む「──俺がりのに言った最初の言葉を覚えてる?」
「最初の言葉?」
「俺が学校でりのを見つけた日に言った言葉」
「……あぁー、」
軽く眉根を寄せて困った表情をするりのを前に、突き上げてくる気持ちが抑えきれない。
ずっとずっと秘めていて、それらをある程度は表に出していたけれど、それでもよく思ってもらおうとか、ちょっと駆け引きめいた気持ちはなかったとは言えない。
見つけた時に余裕もなく背後から捕まえそのまま逃がさないままきたけれど、言葉や態度以上に必死だったと伝えるのとか格好悪いと思っていたけれども、もうなにがどうとかどうでもよくて、りのにこの気持ちを伝えたくて仕方がなくなった。
「俺はあの日からずっとりのを探してた。せっかく転校してもなかなか見つからなくて本当は焦ってた」
「…………」
黙ってしまったりのの両肩を抑え、顔を覗き込む。そばにいるのに遠い。ぴったりと心も体もりのを感じたい。
「ようやく見つけて、会えば会うほどりのと一緒に過ごしたくなった。わかってると思うけど」
「……よくわからないよ」
「なんでわからないの?」
思わず咎めてしまう。
りのしかいらない、いないっていう態度は見せてきたはずだ。
どうして伝わらないのか。
好きとか簡単に言えないほど愛してるのに。いきなり愛してるって言っていいなら言いたい。それで引かないでいてくれるなら、それでりのが手に入るなら言葉なんて惜しまない。
千歳だってどうしてとかわからないまま、りのにのめり込んだこの気持ちをうまく伝える自信はないけれど、千歳の全てをもってりのしかいらないのだ。
だけど、りのは踏み込ませてくれない。踏み込んできてくれない。
それなのに、どうしたらこの気持ちを信じてもらえるのだろう。
この全開の気持ちを受け入れてくれるなら、それでわかってくれるなら、何度だって告げる。
だけど、愛を告げたら、口にしたら、もうりのの答えがどうであれ手放せる気がしない。そういう面でも、自分がこれ以上りのに狂ったらと思うと怖くて口にしなかったのに。
自分だけが狂うのならいいけれど、確実にりのを巻き込んでしまうだろうことは目に見えていて、好きすぎて抱きつぶしてしまうのではないかと今からでも怖いのに。
もう言葉にしてもいいなら、追い込んでもいいなら、もう追い込んでしまいたい。
りのの気持ちが少しでも自分にあるってわかれば、すぐさまそうするのに。
「……なんでって言われても」
「はぁ。心配でこの1日何も手がつけられなかった。せっかくの休みだったのに」
しかも、男といた。名前を呼びあえる男。
それが昨日からずっと千歳の胸にぶすりと奥深くまで刺さったまま、千歳の感情を苦しめる。りのの気持ちを尊重して優しくしたい気持ちもあるのに、考える余地もないまま閉じ込めてしまいたい衝動が止まらない。
それを吐き出すように、深く息を吐き出し危うい思考を逃す。
なのに、りのが千歳のそれを次から次へと刺激する。
「心配してくれてありがとう。連絡すぐ返さなくてごめんね。でも、もう放っておいて欲しい」
「りの。急にどうしたの?」
「急じゃないし、どうしたもこうしたもないよっ」
いつもより大きな声でりのが叫ぶ。
千歳はいきなりの拒絶に、一瞬、思考が止まった。
「もう、高塚くんがよくわからないよ」
その言葉に、すぐさま千歳はぐつぐつ煮えたぎって思考だけがやけにクリアになるのを感じた。
ゆっくりとりのを見つめ直し、気持ちとは反対にやけに冷静な声が出る。きっと表情筋は死んでるか、笑みを形どってるか。とにかく、自分でコントロールができない。
「俺がよくわからない?」
「高塚くんの行動そのものがだよ。大事な休日だというなら、私に構わなかったら良かったんじゃないの? 台無しになったのが私のせいみたいに言われるくらいなら、放っておいて欲しい」
りのが何を言っているのか本気でわからない。大事な休日だからこそ、りのに会いたかった。
だけど、用事があるからと言ったのはりのだ。友人と、家族とという話だったから聞き分けよく引いたのに。
実際は、他の男と遊んでたなんて聞いて嫉妬で狂いそうなのに、りのにそんなこと言われてどうしたらいいのだろうか。
今すぐ、俺がどれだけ求めてるかわからせる? いや、怖がらせるのは本意ではない。
でも、わかってほしい。誰よりもりのを必要としていることを、りのに否定して欲しくない。
頭の中であれこれ考えながら、りのの変化を逃すまいと視線は獲物を狩るように鋭くなった。
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