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2-My goddess-【千歳SIDE】
56お願いだから①
しおりを挟むなんとかりのを呼び出すことに成功し、急く気持ちを持て余しながらバイクを走らせてりのに会いに行く。
俺を待っていると思えば、会えると思えば、しんどくて長かった1日のことなんて、ずっと昔のことに思えた。
なんとか急く思いを押し込め、ようやくたどり着いた公園とも呼べない小さなスペース。
道路に面していない場所は高い木々に囲まれ、どんと真ん中には枝垂れ桜の木が存在感を示していた。そこにりのの姿を確認すると、たまらず名前を呼んだ。
「りの!!」
こちらに気づいたりのが、慌ててベンチから立った。やっと自分の声が届いたことに、届く範囲にりのがいることにたまらない気持ちになる。
「こんばんは。迷わなかった?」
「ああ。調べたらすぐわかった。ここまで出てきてくれてありがとう」
りのが自分の前にいる。話しかけている。それが今まで以上に尊く感じて、りのの瞳に自分が映ることがどれだけすごいことかって改めて思う。
ずっとずっとりののことばかり考えて気が狂いそうだった。
ようやく、目の前に、手を伸ばせば触れれるところにいる。そう思うと、思わず手を伸ばしてしまいそうになるが、我慢する。
「ううん。こっちこそわざわざここまで来てくれてありがとう」
強引に進めたのに、ありがとうなんて礼を告げるりのはやっぱり俺の女神だ。りのがいるだけで、目の前に俺に向けてしゃべって笑っているのを見るだけで、胸の中心が温かい。
自分の顔が緩むのを止められず、じっとりのを見つめる。
んん? とばかりに首を傾げて、照れたように笑うりのがめっちゃかわいい。やっぱり手放すとか、りのが違う男のところに行くことなんて考えたくないし、早く手に入れたい。
1日見れなくて、いろいろあってすっごく見ていたら、視線をそっと逸らされた。
なんかそわそわしてる? りのから感じる空気はどこかほわっとしているし、もしかしてこれは照れてる?
ああー、マジで可愛すぎ。りのが可愛すぎる!!
夜にりのと会えて、そんな姿見せられて、気持ちが高ぶる。
それと同時に、昨日の男との姿が気になって、名前を呼ばれ呼んでいたことがどうしても頭から離れない。
「りの」
「……なに?」
よそよそしいりのの態度は気になったが、結局我慢できずに抱き寄せた。──────ああ、りのだ。
りのの甘く柔らかな匂いが、胸の奥のそのまた奥へと入り込み切なくなる。大好きな匂い。
「来てくれないかと思った」
「ちょっ、高塚くん」
「俺、この1日生きた心地しなかった」
本気で。
かろうじて動いていたと言う感じで、りのがいなければもうまともに思考ができないんだと思った。
りのと1日連絡が取れないだけで、こんな風になってしまうなんてりののせいではないけど、りののせいで。
1日の空虚を埋めるように、全神経がりのへと向く。
足りない。りのが足りない。
結局我慢しきれなくて、その気持ちのままぎゅうっと抱きしめ、思いっきりりのの匂いを嗅ぐ。
りのがどう思うとか、この匂いに、感触に包まれるともうどうでもよくなってしまいそう。
それくらい、りの不足を実感する。りのなしではいられないと、痛感する。
とりあえず、今すぐりの成分を補足しないとと本能的にりのを求めることを止められなかった。
──ああ……、
「りのの匂いだ」
すごく安心する。
丸一日ずっとやきもきして、りの不足だったから、りのの匂い、体温を感じることを止められない。ああ、ずっとくっついていたい。
「高塚くん、どうしたの? 離して!! 匂いかかがないで」
咎められても無理だ。
心情とともに吐露するが、りのにとってはなんてことない1日だったのだろう。その事実がつらい。
ああ、早く俺と同じところに落ちてこないかな。俺がいないと生きていけないと思ってほしい。俺だけがずっとりのを欲しがってる。
その現実を突きつけられるたびに、自分の中の獣が暴れだしそうでりののためにもって思うのだけど。
小さなりのの唇が目の前で噛み締められる。
それを見て、ずっとなんだか噛み合わなくて、己の内側もどろどろして、気づけば千歳も同じようにきゅっと唇を噛み締めていた。
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