高塚くんの愛はとっても重いらしい

橋本彩里(Ayari)

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3-Love doesn't stop-

70高塚くんの愛が爆発した②

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「昨日は、ちょっと言い過ぎたと思う。ごめん」

 後悔していた。話そうとしてくれていた高塚くんを放り出して、言い逃げはさすがによくなかった。理由はどうあれ、ひどい態度だったと思う。
 そう思うと、よく飽きずに自分のもとに来てくれたのだと感動さえあって、謝罪を口にすることで少し肩の荷が降りる。

「傷ついた。癒してほしい」
「…………ごめ、」
「嘘。責めたいわけじゃないから。いや、これ以上ないってくらい傷ついたけど、またりのが俺のところに戻ってきてくれたから大丈夫」
「でも、」

 よくよく見ると、目元に隈があることに少し前から気づいていて、そのことを軽く話しているけどそれはポーズではなくて、きっと寝られないくらいに悩んだのだろうことがわかる。
 自分はぐーすか寝てしまっていたから、余計に気持ちがえぐられる。
 そのことについて触れていいのか、もっと真摯に謝るべきかと言葉を切ると、高塚くんがふっ、と笑みを浮かべそれから力なく顔を隠すように項垂れた。

「なにか理由があったってわかってるから。だから、話してくれる? 何もわからないままりのがどこか俺の手の届かないところに行くと思ったら、昨日は生きた心地がしなかったしもう見失いたくない」

 首元に口がつけられ、吐息がかかる。かすかに触れる唇が震えていることに気づき、ぎゅっと心臓が掴まれた。

「千歳くん……」

 スキンシップに思うところはあるけれど、隠しきれない高塚くんの思いが漏れ出し、それは本人は隠したいことなのに出てしまっているようで、それがとても愛おしいことのように思える。

「りの、いなくならないで」

 さっき、消えないかって心配していた。それだけ昨日のことは高塚くんにとって衝撃的なことだとこの震えが伝えてくる。
 これだけ必死なのに、電話がなかったこととか、今朝すぐにでも捕まえに来なかったのかとか気にはなるけれど。

 どうやら高塚くんルールというものがあるらしいしことは、なんとなくだが承知した。
 たまに漏れ出ていた言葉から、そこを突くと莉乃にとってあまり良くない気がして今はスルーする。
 すっかり高塚くんのことを信じたくなっているのだけど、誤解があるのなら先にそれを解消したい。

「……いなくならないよ。私もちゃんと話がしたいって思ってるし。だから、一度離れて話そう」

 もう、心臓がもたないよ。心臓が壊れるのではないかというくらい、ばくばくしている。恋愛初心者はギブです。
 好きだと思った人に好きだと言われて、バックハグされながらすっごい愛情表現されて嬉しいけれど恥ずかしいし、どういった態度をとったらいいのかわからない。
 だから、一度離れて落ち着きたかった。

「うーん。でも、くっついていないと無理っていうか。やっぱり、どう考えても無理!! りのにくっついていないと逆にやばいっていうか、りのも本気で嫌がってはいないよね? だったら、りののためにもこのままをお勧めするよ」

 どうやばいのか。
 ときおり不穏な言葉が混ざっていて、甘いだけではない緊張感を強いられる。

「その、性格が変わった?」

 土曜日に見たちょっと怖さも含む高塚くんとも、学校の爽やかな高塚くんとも、一緒に放課後過ごしていたナチュラル王子といったものとも違う。
 饒舌な高塚くんに慣れないし、何より照れ臭くて、少しでもこの甘い雰囲気を和らげないと落ち着いて話せない。

 確かに嫌がってはいないが、それを口にされると居た堪れない。でも、ここで嫌とも言えない。
 これ以上、高塚くんを傷つけることはしてはいけないと思うし、それによって自分たちがこじれることの方が絶対嫌だった。

 だったら、照れくさいのとか我慢する方がいい、のだろうとは思う。本当に心臓はやばいのだけど。耐えられるかな……。

 きっと、最終的に莉乃が折れるだろうことも、見透かされてはいるのだろう。強引だけどしっかり見極められているというか、油断ならないのが高塚くんだ。
 わらかないことの方が多いけれど、今まで過ごした時間で自分に嘘偽りのない姿を見せていたのだというのなら、多少は莉乃だって高塚くんの本質を掴めているはずだ。

「うーん。りのの前では本音を隠して取り繕わないって決めただけ。執着するものがなかったから他がどうとか、変わったとかはわからない。ただ、りのが逃げないならこのままでいたいだけ」
「やっぱり、性格変わった」
「変わってないから。もともと感情の揺り幅がない方だったけど、りのだけが特別だからこれはりの仕様なんだと思う」

 仕様ってなんだ?
 いや、そこはもう突っ込まない。だから、こっちの質問に留める。
 
「なんで急に?」

 すっごくわかりにくかった。すっごく迷ったし悩んだし、振り回されていたと感じてもいた。それは高塚くんが気になっていたからでもあるのだけど、その分しんどかったというか。
 やっぱり、もうちょっと今みたいに言葉で伝えてくれていたら違ったのではないかと思うわけで。

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