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第16話 彼女との約束
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「お外が気になりますか?」
馬車の中で、セレティアがアケアに声をかけた。
「い、いえ! そんなことは!」
「ふふっ、無理なさらなくても良いんですよ」
セレティアとアケアが出会った次の日。
無事に森を抜けた一行は、隣国エスガルドで馬車を走らせていた。
もうすぐセレティアの屋敷に着くそうだ。
セレティアの実家ヒルナーデ公爵家は、王都に屋敷を構えている。
つまり、ここは大都会である。
別館から一歩も出してもらえなかったアケアにとっては、外の景色が気になるのは仕方がないだろう。
それでも、セレティアは母が病気であることを考えて、極力抑えていたのだ。
「……」
「セレティア……」
笑顔を取り繕っているが、アケアからしてもセレティアは無理をしていた。
そんな彼女を思ってか、アケアは身を乗り出した。
「ぼ、僕がきっと治してみせます!」
「アケア様……!」
「だから、えと!」
それから、何か彼女を元気づけようと言葉を探す。
「だから、お母様が元気になったら、一緒に王都を回りませんか!」
「えっ」
あまりの勢いに、セレティアも戸惑ってしまう。
また、アケア本人も若干後悔していた。
(何を言っているんだ僕はー!)
本心ではあるが、ついつい口走ってしまったみたいだ。
だが、結果的にセレティアの口角は緩む。
「やはりお優しい方ですね」
「え?」
「ふふっ、その約束楽しみにしておきます」
「……!」
セレティアに綺麗な笑顔が戻る。
隣で聞いていたレイルも、微笑ましいような顔で様子を見ていた。
そして、言ったからには失敗はできない。
アケアはもう一度決意を固めるのであった。
「はい!」
★
<アケア視点>
「ただいま帰りました」
隣のセレティアが口を開く。
大広間で待っていたのは、すっごく大きな男の人だ。
仁王立ちで腕を組み、今にもゴゴゴゴという音が聞こえてきそう。
「帰ったのか」
男の人からは、低く静かな声がずしんと響く。
隣のセレティアに合わせて、僕も頭を下げた。
「はい、お父様」
「……!?」
お、お父様!?
ということは、この方が公爵家当主のドレイク・ヒルナーデ様!
「して、隣の少年は誰だ?」
「……っ!」
ギロリと睨まれた眼光に、つい気圧されてしまう。
冷たく厳格な雰囲気だ。
顔は似ていないが、嫌でも元父上のことを思い出してしまった。
少しビクっとしていると、セレティアが前に出てくれる。
「この方は、お母様を治して下さるお方です」
「なんだと?」
「アケア様は森でわたし達を救い、無事に送り届けてくださいました。アケア様ならきっと!」
「……ほう」
セレティアの話を聞き、ドレイク様はずんずんと僕の前にやってくる。
やっぱりすごいオーラだ。
「……」
「ひっ」
ドレイク様は、無言のまま手を振り上げる。
そして、その手を──頭と共に下げた。
「ありがとうございます!」
「!?」
「私の妻は、誰が診ても原因が分からずじまいでした!」
それから、ドレイク様は胸の内を明かした。
「最初は手柄を上げようと、積極的に著名な方々が診て下さいました。ですが、次々と敗れていく内に、誰も引き受けたがらず、ついには悪い噂まで立ち込めるようになってきたのです!」
「そんな……」
「お父様……」
その態度に、僕は自分を改めた。
この方は元父上とは全く違う。
公爵家という地位にも関わらず、とても誠実な方じゃないか。
だからこそ、役に立ちたいとより強く思う。
「できることなら協力させていただきます」
「本当ですか! ありがとうございます……!」
そうして、僕は治療へと向かうのであった。
馬車の中で、セレティアがアケアに声をかけた。
「い、いえ! そんなことは!」
「ふふっ、無理なさらなくても良いんですよ」
セレティアとアケアが出会った次の日。
無事に森を抜けた一行は、隣国エスガルドで馬車を走らせていた。
もうすぐセレティアの屋敷に着くそうだ。
セレティアの実家ヒルナーデ公爵家は、王都に屋敷を構えている。
つまり、ここは大都会である。
別館から一歩も出してもらえなかったアケアにとっては、外の景色が気になるのは仕方がないだろう。
それでも、セレティアは母が病気であることを考えて、極力抑えていたのだ。
「……」
「セレティア……」
笑顔を取り繕っているが、アケアからしてもセレティアは無理をしていた。
そんな彼女を思ってか、アケアは身を乗り出した。
「ぼ、僕がきっと治してみせます!」
「アケア様……!」
「だから、えと!」
それから、何か彼女を元気づけようと言葉を探す。
「だから、お母様が元気になったら、一緒に王都を回りませんか!」
「えっ」
あまりの勢いに、セレティアも戸惑ってしまう。
また、アケア本人も若干後悔していた。
(何を言っているんだ僕はー!)
本心ではあるが、ついつい口走ってしまったみたいだ。
だが、結果的にセレティアの口角は緩む。
「やはりお優しい方ですね」
「え?」
「ふふっ、その約束楽しみにしておきます」
「……!」
セレティアに綺麗な笑顔が戻る。
隣で聞いていたレイルも、微笑ましいような顔で様子を見ていた。
そして、言ったからには失敗はできない。
アケアはもう一度決意を固めるのであった。
「はい!」
★
<アケア視点>
「ただいま帰りました」
隣のセレティアが口を開く。
大広間で待っていたのは、すっごく大きな男の人だ。
仁王立ちで腕を組み、今にもゴゴゴゴという音が聞こえてきそう。
「帰ったのか」
男の人からは、低く静かな声がずしんと響く。
隣のセレティアに合わせて、僕も頭を下げた。
「はい、お父様」
「……!?」
お、お父様!?
ということは、この方が公爵家当主のドレイク・ヒルナーデ様!
「して、隣の少年は誰だ?」
「……っ!」
ギロリと睨まれた眼光に、つい気圧されてしまう。
冷たく厳格な雰囲気だ。
顔は似ていないが、嫌でも元父上のことを思い出してしまった。
少しビクっとしていると、セレティアが前に出てくれる。
「この方は、お母様を治して下さるお方です」
「なんだと?」
「アケア様は森でわたし達を救い、無事に送り届けてくださいました。アケア様ならきっと!」
「……ほう」
セレティアの話を聞き、ドレイク様はずんずんと僕の前にやってくる。
やっぱりすごいオーラだ。
「……」
「ひっ」
ドレイク様は、無言のまま手を振り上げる。
そして、その手を──頭と共に下げた。
「ありがとうございます!」
「!?」
「私の妻は、誰が診ても原因が分からずじまいでした!」
それから、ドレイク様は胸の内を明かした。
「最初は手柄を上げようと、積極的に著名な方々が診て下さいました。ですが、次々と敗れていく内に、誰も引き受けたがらず、ついには悪い噂まで立ち込めるようになってきたのです!」
「そんな……」
「お父様……」
その態度に、僕は自分を改めた。
この方は元父上とは全く違う。
公爵家という地位にも関わらず、とても誠実な方じゃないか。
だからこそ、役に立ちたいとより強く思う。
「できることなら協力させていただきます」
「本当ですか! ありがとうございます……!」
そうして、僕は治療へと向かうのであった。
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