魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第19話 アケアVS魔族

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 「へっへっへ! 逃げりゃあ、こっちの勝ちってもんよ!」

 屋敷から飛び出し、魔族のオクトは勝ち誇った表情を浮かべる。
 すでに捕まることなど考えていないだろう。

「あのガキのせいでちょっと危なかったが……やっぱ人間は甘えなあ!」

 オクトが屋敷から飛び出す時、アケアはエリンの身を最優先に確認した。
 優しさが際立つが、オクトはその隙に逃げてこれたわけだ。
 
 そうして、翼を広げて飛び立つ──が。

「いってぇ! なんだ!?」

 敷地外に出ようとした瞬間、透明な壁にぶつかる。
 見ることも感知することも出来なかったようだ。

「なんだこりゃ! ちくしょう!」

 オクトは出られないことに困惑している。
 すると、後ろから声が聞こえてきた。

「結界というのはこうやって張るんだよ」
「……ッ! 貴様ァ!」

 ゆっくりと歩いてきたのは──アケア。

 事件の裏に勘付いた時、誰も逃がさない様に敷地内に結界を張っていたのだ。
 魔族が得意とする魔法ですら、アケアは上をいく。

 さらに、屋敷内で戦えば建物が破壊されてしまう。
 戦場を庭にすることで、被害を最小限に抑えることも考えていた。

「さあ、どうするんだ」
「チィっ! こうなったら!」

 ならばと、オクトは覚悟を決めた。

 今まで隠していた牙や爪、翼など、魔族らしい特徴を全開にする。
 アケアを倒すことだけを考えた戦闘モードだ。

「てめえをぶっ殺す!」

 オクトは勢いよく宙をる。
 翼を持つ種族だけに許された空中移動だ。

 だが──

「遅い」
「なっ……!?」

 アケアはひらりと攻撃をかわす。
 スライムの力を使うまでもなく、鍛えた身体能力のみでだ。
 アケアの目は、すでに魔境の森の魔物に慣れていた。

「森の魔物に比べたら全然だよ」
「バカにしやがって! これならどうだ!」

 その後もいくとなく攻撃をするが、どれもかすりもしない。
 生まれつき身体能力が数段上であるはずの魔族だが、アケアに面白いように完封されていた。

「魔族がどんなものかと思えば、大したことないのかな」
「うっせえ!」

 これも情報が少ない魔族の実態を知るため。
 しかし、予想に反して期待外れだったようだ。

「ああ、うぜえ!」
 
 怒りが頂点に達したオクトは、魔力を爆発的に上昇させた。

「よくも魔族を怒らせたなあああああ!」
「……!」

 これは魔族特有の“生命代償”だ。
 長い寿命の一部を代償にすることで、一時的に魔力を増大させるモードである。
 体は黒くなり、牙や翼がさらに伸び、先ほどまでとはまるで違う。

 この姿が、本来の魔族だ。
 人というよりは、魔物の姿に近い。

「許さんぞ、ガキ」
「確かにすごい魔力上昇量だ」
「ハッハッハ! 今更後悔しても遅いわ!」

 ダンっと宙を蹴ったオクトは、目にも止まらぬ速さでアケアに向かった。
 そのまま怒りをぶつける様に、高速のラッシュを繰り出す。

「そのクソザコスライムと共に死ねえ!」
 
 相手をよく確かめず、オクトはただひらすらに殴り続ける。
 確かな拳の感触はあるのだ。
 すでにボコボコにしていると思っていた。

「ハッハッハ! 痛すぎて声も出ねえか!」
「……」
「あん?」

 だが、さすがにおかしいと思ったのか、オクトは少し距離を取った。
 アケアはニヤリとしていた。

「一発も届いていないよ」
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