魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第20話 スライムテイマーの真価

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「一発も届いていないよ」
「なっ!?」

 奥の手“生命代償”を使い、魔族がアケアをぶん殴る。
 しかし、その拳は届いていなかった。

 アケアの前には、薄い膜のようにスライムが広がっていたからだ。
 
『じまんのきんにく!』
「スライムだと……!?」

 ──マッスルスライム。
 物理耐性に優れ、よくシックスパックの腹筋を自慢している。
 アケアのスキル恩恵も合わせれば、随一の防御力を誇る。
 スキル【スライム物理強化】の元になったスライムだ。

「チィッ! だったらこれで破壊してやる!」

 屈辱だが、物理攻撃は効かないと悟ったオクト。
 ならばと、空から魔力の塊を放つ。

「屋敷もろとも消え失せろ! 【悪魔球デーモン・ボール】……!」

 黒く禍々まがまがしい球体だ。
 周りには電磁を帯びており、威力の高さがうかがえる。
 おそらく魔族特有の魔法だろう。

 しかし、やはりアケアには届かない。

「それも無駄だよ」
「……!?」

 膨大な魔力の塊は、アケアの目の前でふっと消え失せた。

『あ~む! 美味しかったあ!』
「はあッ!?」

 ──食いしん坊スライム。
 通常種よりモチモチしており、食欲のあまり魔力まで食べるようになった。
 スライムの中では、魔力貯蔵庫(三角コーナー)のような役割をしている。
 スキル【スライム魔力強化】の元になったスライムだ。

「これで分かったか」

 結局何も通じなかったオクトに対し、アケアは口にした。
 
「これがお前があなどったスライム達だ」
「……ッ!」
「そしてこれが──」

 アケアの拳に神々しい七色の光が宿る。
 かと思えばアケアの姿が消え、次の瞬間には目の前にいた。

「スライムみんなの力だ!」
(なっ! 早──)

 七色の拳は、魔族を砕く。

「【神罰の拳】!!」
「ガハァ……!」

 みぞおちをぶん殴られ、聖なる光が魔族の身を焦がす。
 光属性を中心にしているが、よく見れば様々な属性を帯びている。
 これを受けて立ち上がることはできない。

 そうして意識を失う寸前、オクトは何かを感知する。

(なん、だ……!?)

 魔族は特性上、魔力の感性が敏感である。
 アケアと触れたことで、何か大きなものを感じたのだ。
 アケアの中にある、その膨大な力スライム達を。

(何匹、いやがんだよ……!)

 自身は一匹すら倒せなかったスライム。
 そんなスライムを数え切れないほど感知してしまった。
 すると、オクトの口からは自然にこぼれた。

「こんなの、勝てるか……」
 
 その言葉を最後にオクトは倒れる。
 体や翼も元に戻り、これ以上は何もすることができないだろう。

「ほっ」

 アケアの完全勝利だ。
 同時に、後方から心配の声が聞こえてくる。
 
「アケア様ーーー!」
「セレティア──うわっ!」

 その勢いは止まらず、セレティアはがばっとアケアに抱き着く。
 品位のある彼女には珍しい行動だが、それほど心配だったようだ。

「ご無事でしたか!」
「うん、大丈夫だよ」
「良かったです! とても、とても心配で……!」
「あはは、それはごめんね」

 セレティアも怖かったのだろう。
 アケアがよしよしと宥める中、彼女は不思議そうにたずねた。

「それにしても、どうしてアケア様は魔族の存在を?」
「それは……」

 聞かれて思い出すのは、“魔境の森での一件”。
 長老スライムさんから得た情報である。

(でも、確信があるわけじゃないんだよね)

 ただ、その件はまだ調査中だ。
 心配事を増やすのもよくないので、ここはごまかしておく。

「たまたま本で読んだことがありまして」
「そうだったんですね……!」
「はい。とにかくこれで一件落着かと」

 とにもかくにも、彼女の母エリンの件は終着。
 もううれうことはなさそうだ。

「本当に、本当にありがとうございました!」
「いえ、僕はただお手伝いをしただけですよ」
「そんな……あ」

 すると、セレティアは思い出したように口にした。

「でしたら、明日の予定は決まりましたね」
「明日……あ!」

 すっと離れたセレティアは、丁寧にお辞儀をする。
 アケアも約束を思い出し、ドクンと胸が高鳴った。

「明日はわたしが王都をご案内いたします」

 二人で交わした王都巡りの約束だ。
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