魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第26話 シルリアの狙い

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「……ワ、ワタシの負けだ」
「「「うおおおおおおおっ!」」」

 シルリアが負けを認めると、周りは一斉に声を上げる。

 初めて至近距離で見るシルリアの剣技。
 それにあっと驚いたかと思えば、アケアはさらに上をいった。
 確かに興味はあったが、まさかAランク冒険者のシルリアに勝つとは思っていなかったのだ。

 しかし、意外にもシルリアは清々しい顔をしていた。

「フッ、規格外というのは本当だったか」
「え?」
「セレティア・ヒルナーデ公爵令嬢から伝言があったのだ。『アケア様はとてつもないお方です』とな。まだこんな者がいるとは、世界は広いな」

 強者であるアケアを前に、シルリアはふっと笑う。
 美麗な容姿とは裏腹に、強い闘争心も持ち合わせているようだ。

「ちなみになんだが、そのスライムはどうやって手懐けたのだ?」
「この子のことですか?」
「ああ。キミは剣士系や魔法系のギフトを授かっているのだろう? その系統でテイムスキルを覚えるとは聞いたことが無いのだが」

 実際に対峙して、シルリアはアケアの力を理解した。
 剣士としても十分やっていける強さの上、得意なのは魔法だという。
 ならば、戦闘系のギフトとしか考えられなかったのだ。

 だが、アケアは不思議そうに首を傾げた。

「えと、なんのことだか……」
「む? ではキミはどの系統のギフトを?」

 尋ねられると、アケアはいつもの回答をした。

「僕はテイマーです」
「……!? では、テイマーであの身のこなしに、魔法まで使えると言うのか!?」
「は、はい」
「なっ──」

 それには、周りも含めてお決まりのツッコミだ。

「「「なわけあるかーーーーーーー!」」」
「え?」

 こうしてアケアは、新技『ぷにぷにソード』を以て予備試験を合格したのだった。




「おめでとう。これでアケアを本試験に進めよう」

 予備試験から少し。

 ギルドに戻ったアケアは、シルリアに予備試験合格の証をもらっていた。
 何かを授与された経験のないアケアは、キラキラした目でそれを見つめる。

「わあ! ありがとうございます……!」
「フッ、まだ仮免のようなものだぞ。これで喜ぶとは、先程とは同じ人物とは思えんな」
「でも嬉しくて!」

 かわいいアケアには、シルリアも思わず口元を緩めた。
 だが、一息ついた彼女は再度キリっとした目を向ける。

「ではアケア、本題に入って良いか」
「え、本題ですか?」
「ああ。それともう敬語はいらない。冒険者には、敵に上下関係を悟らせないため敬語を禁止するという暗黙のルールがある」
「分かりまし──分かった」

 それから、シルリアは試験のことを打ち明けた。

「結論から話せば、ワタシは急ぎで・・・信頼できる者を探していた。だから強引だが、ワタシ自ら力を計らせてもらったんだ。申し訳ない」
「そうだったんだ」

 今回の予備試験は、シルリアの提案だった。
 魔法が得意なアケアに近接戦闘をさせたのも、より力を知っておくためだろう。

「でも、どうして急いでいたの?」
「公認冒険者のワタシへ、ギルドより直接の“調査案件”があったんだ」
「……!」
「だが、他の冒険者には開示できない。もし誤情報だった場合、波紋が広がってしまうだろうからな」

 シルリアが焦っていたのも、秘密があったようだ。

「詳しくは了承してくれるまで話せないが、キミにしか頼めない。予備試験で確信した。ワタシの背中を任せられるのはキミだけだ」
「……!」
「だからお願いだ。無理を言っているのは承知だが、この件を本試験という名目にしてワタシと調査をしてくれないか。もちろん合格にはさせてもらう」
「シルリア……」

 シルリアは深く頭を下げた。
 本試験をやっている暇がないほど、急いでいるのだろう。
 だが、アケアの気持ちはとっくに決まっていた。

「わかった。だから顔を上げて」
「……! い、いいのか?」
「もちろん。それを聞いて放っておけないよ」
「ありがとう、アケア!」

 セレティアの伝言より、シルリアはアケアのことを軽く聞いていた。
 予備試験を始める時には、すでに目を付けていたのだろう。

 こうして、本試験という名目で、アケアは一件調査をすることになった。

「では、調査内容は順に説明していく。だが一つだけ先に伝えておくぞ」
「うん?」

 そして、シルリアは最後に言葉を添えた。

「調査の間、キミとワタシは二人だ」
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