魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第36話 ギフト【剣聖】

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 「どきやがれぇ!」

 乱暴に剣を振るいながら、マルムが森を駆ける。
 魔族が出現した地点に向けて一直線だ。
 その様子を、後ろから追うフィルも眺めていた。

(威力は確かに高い……)

 マルムは最上位ギフトの【剣聖】を授かっている。
 身体能力はかなり向上し、優秀なスキルも備わっているのだろう。
 加えて、手に持つのは、金に物を言わせた高級な剣だ。

「魔族とやらはどこだ! 俺が斬ってやるぜ!」
「グオオッ!」

 絶対に負けるはずのない魔物をなぎ倒し、分かりやすく調子に乗っている。
 その中で、ちらりとフィルに目を向けた。

「おい、てめえも役に立てよ。期待してねえがな」
「わ、わかりました」

 自ら周りを置いて行きながら、マルムは荒々しく指示を出す。
 理不尽ながらフィルはやれることを探した。

(私のできることは……あれだ!)

 近くを舞うちょうを見つけたフィルは、バッと手を伸ばす。

「テイム!」
「チョ~!」

 すると、テイムした従魔の能力がフィルに還元される。

ーーーーー
フィル
MP :260/260
ギフト:中級テイマー(1)
スキル:【テイム】【中距離テイム】【従魔強化】【従魔解除リリース
魔法 :強化魔法(←New!)回復魔法(←New!)
ーーーーー

 身に付けた魔法から、フィルは即効性が高いものを使用する。

「強化魔法──【速度上昇(小)】を全員に付与!」
「ほお」

 それにはマルムも少し口角を上げた。

「愚図にしては悪くない。せいぜいここで点数上げておくんだな」
「……っ」

 憎まれ口は減らないが、フィルは前を向いた。

(テイマーはできることが少ない。でも、お母さんのためにも頑張るんだ!)

 倒れた母のため、少しでも多く報酬をもらう。
 そのことに注力するのだった。

 ──と、そんな所に敵は現れる。

「ここにも獲物がいたか」
「「「……!」」」

 マルム一行の頭上から、声が聞こえてきたのだ。

「装備が違うようだな。別国か」
「お前が例の魔族か!」

 声の主はニタリと大きな口を広げる。
 月夜に照らされ、目は赤く牙は金色に光る。
 間違いなく情報に聞いていた“魔族”だ。

 ようやく目的にありつけたマルムは、フッとした表情で見上げた。

「獲物って、まさか俺に言ってねえよなあ!?」
「誰だ貴様は」
「フン、ならば教えてやろう!」

 マルムは腰を引き、剣を構えた。

「俺が【剣聖】を授かりしマルム様だぁ!」

 そのまま一直線に剣をつきたてる。
 しかし──

「この程度が剣聖だと?」
「バカな……!?」

 マルムの剣はピタっと止められた。
 無理をしている様子もなく、むしろ魔族は疑うような目で見る。

「人間はこんな雑魚を剣聖と呼ぶのか?」
「ふ、ふざけやがって!」

 頭に血が昇ったマルムは、その後も剣を振り回す。
 【剣聖】由来のスキルを用いているが、攻撃は一切魔族に当たらない。

「くそっ、くそがっ!」
「……ふむ」

 それどころか、魔族は余裕を保ち続けている。
 すると、マルムは周囲に怒りをぶつけた。

「てめえら! 俺と前に来やがれ!」
「「「……っ!」」」

 だが、ここには前線で戦える者はいない。
 どこまでも狡猾こうかつなマルムは、少しでも自らの戦績を上げようと、あえて前線職を自分一人にしていたのだ。
 周りにはサポート職しかおらず、自業自得と言う他ない。

 それでも、護衛たちは立ち向かった。

「「「うおおおっ!」」」
「貴様らに用はない」
「「「ぐわああっ!」」」

 しかし、魔族の振り払いでいっしゅうされてしまう。
 そんな状況を見てか、魔族もマルムを見限った。

「これ以上は計る価値すらないか」
「なっ! ぐあああああっ!」

 たった一撃。
 手から放たれた魔力の塊が直撃し、マルムはその場に転げる。

「剣聖とやら。もう終わりか?」
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