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第39話 整う舞台
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「クソが、クソがあ!」
アケアが魔族を倒した頃。
マルムは息を切らしながら、まだ魔族の方向から逃げていた。
口は悪くとも怯えている様子は、惨めという他ない。
「なんで俺がこんな目に!」
自分の弱さが一番の原因だろう。
だが、怒りと恐怖で混乱したマルムは、依頼を受けさせた父すら恨む気持ちに陥っていた。
「周りが囮にしか使えねえクソザコじゃなければ!」
「誰かいるのか」
「……!?」
すると、前方から美しき声が聞こえてくる。
そのままスっと姿を見せたのは、総指揮のシルリアだ。
マルムの姿に、シルリアは姿勢を正した。
「これは失礼を。マルム・フォーロス侯爵子息様ですね」
「あ、ああ!」
「お仲間方はどうされたのですか」
「……っ!」
だが、その質問には顔をしかめて答える。
「し、知らねえ! 俺だけが生き残ったんだ!」
「……分かりました」
対して、シルリアはあえて聞き返さず。
先ほどの“囮”発言も聞こえていた距離ではあったが、それには触れなかった。
すると、代わりに一つ尋ねた。
「では、あえて聞く。キミは努力をしたか」
「は?」
「毎朝剣を振り、日中の鍛錬も欠かさず、夕方も己を磨く。キミはそんな日々を送っていたか」
「なにを……」
シルリアがじっとマルムを見つめる。
「仲間を見捨てる者は剣士とは言えない」
「……っ!」
「失礼しました」
すると、シルリアは目を逸らして口にした。
「後方にはキャンプがございます。マルム様はどうぞそちらへ。我が国へのご協力感謝いたします」
「てめえ!」
「我々は急いでおりますので」
「……!」
それから、最後に合った目はひどく冷たい。
失望を通り越して呆れたような、全てを察したような目だった。
「あの目は……」
今思えば、見たことのある目だ。
領民にあたった時。
メイドにあたった時。
今作戦で冒険者に怒鳴った時。
マルムはようやくその目の意味を知り、頭に血が昇る。
「許さん……許さんぞ!」
★
「もう少し耐えるのだ!」
ここは、エスガルド森林A地点。
現在、最も魔族が出現している場所だ。
「もう少し耐え、なんとか戦況を維持するのだ!」
「「「おお!」」」
地点指揮官を中心に、冒険者たちは奮起する。
しかし、犠牲が出ていないとはいえ、厳しい戦いにはなっていた。
相手にしているのは五人もの魔族だからだ。
「指揮官、前線が崩れます!」
「ぐっ!」
陣形を張り、多数の罠を仕掛け、なんとか戦線を保ってきた。
しかし、ほとんど崩壊寸前だ。
──そんな時に少年は現れる。
「【七色の砲撃】」
『『『うおー!』』』
冒険者たちの後方から、七色の光線が走っていく。
それらは魔族を捉え、宙に綺麗な花火のような爆発が浮かび上がった。
「「「……ッ!」」」
見た事もない魔法だ。
その超常現象に冒険者たちは確信した。
「この力は!」
「来て下さったのか!」
「だが、他の地点は!?」
姿を現した少年は、報告で答える。
「B・C・D地点、全て制圧完了しました」
「「「アケア殿!」」」
B地点、魔族二人。
C地点、魔族四人。
D地点、魔族三人。
アケアはそれらを全て制圧し、ここに降り立つ。
そして、最終決戦には紫髪の彼女も出撃した。
「つまり、ここを乗り切ればワタシ達の勝利だ」
「「「シルリアさん!」」」
後ろからはアケアの友達も駆けつける。
「ぎゃうぎゃう!」
「「「ええ、ドラゴン!?」」」
アケアが連れてきたドランだ。
ドランは将来この森のボスになる存在。
ならば、守りたいと思うのも当然だ。
アケア達の参戦により、冒険者たちはほっと安堵する。
しかし、魔族側は笑った。
「残るはここだけか」
「ああ、だが時間稼ぎは終わったな」
「“あの人”はいつも遅刻なさる」
すると、空から次元を破ったように、一人の魔族が姿を見せた。
あくびをしながら眠たげに現れたのだ。
「ふわ~あ、だりい」
「「「……!」」」
だが、その瞬間、アケアを含めた冒険者たちは目を見開く。
眠たげな魔族から感じる、異様な雰囲気を感じ取ったのだ。
今までの魔族とは、明らかに格が違うと。
そうして、魔族の一人は代わりに紹介をした。
「恐れるがいい。この方こそが──子爵級魔族グラヴィル様だ」
両者陣営の大将が登場し、ここが最終決戦地となる。
アケアが魔族を倒した頃。
マルムは息を切らしながら、まだ魔族の方向から逃げていた。
口は悪くとも怯えている様子は、惨めという他ない。
「なんで俺がこんな目に!」
自分の弱さが一番の原因だろう。
だが、怒りと恐怖で混乱したマルムは、依頼を受けさせた父すら恨む気持ちに陥っていた。
「周りが囮にしか使えねえクソザコじゃなければ!」
「誰かいるのか」
「……!?」
すると、前方から美しき声が聞こえてくる。
そのままスっと姿を見せたのは、総指揮のシルリアだ。
マルムの姿に、シルリアは姿勢を正した。
「これは失礼を。マルム・フォーロス侯爵子息様ですね」
「あ、ああ!」
「お仲間方はどうされたのですか」
「……っ!」
だが、その質問には顔をしかめて答える。
「し、知らねえ! 俺だけが生き残ったんだ!」
「……分かりました」
対して、シルリアはあえて聞き返さず。
先ほどの“囮”発言も聞こえていた距離ではあったが、それには触れなかった。
すると、代わりに一つ尋ねた。
「では、あえて聞く。キミは努力をしたか」
「は?」
「毎朝剣を振り、日中の鍛錬も欠かさず、夕方も己を磨く。キミはそんな日々を送っていたか」
「なにを……」
シルリアがじっとマルムを見つめる。
「仲間を見捨てる者は剣士とは言えない」
「……っ!」
「失礼しました」
すると、シルリアは目を逸らして口にした。
「後方にはキャンプがございます。マルム様はどうぞそちらへ。我が国へのご協力感謝いたします」
「てめえ!」
「我々は急いでおりますので」
「……!」
それから、最後に合った目はひどく冷たい。
失望を通り越して呆れたような、全てを察したような目だった。
「あの目は……」
今思えば、見たことのある目だ。
領民にあたった時。
メイドにあたった時。
今作戦で冒険者に怒鳴った時。
マルムはようやくその目の意味を知り、頭に血が昇る。
「許さん……許さんぞ!」
★
「もう少し耐えるのだ!」
ここは、エスガルド森林A地点。
現在、最も魔族が出現している場所だ。
「もう少し耐え、なんとか戦況を維持するのだ!」
「「「おお!」」」
地点指揮官を中心に、冒険者たちは奮起する。
しかし、犠牲が出ていないとはいえ、厳しい戦いにはなっていた。
相手にしているのは五人もの魔族だからだ。
「指揮官、前線が崩れます!」
「ぐっ!」
陣形を張り、多数の罠を仕掛け、なんとか戦線を保ってきた。
しかし、ほとんど崩壊寸前だ。
──そんな時に少年は現れる。
「【七色の砲撃】」
『『『うおー!』』』
冒険者たちの後方から、七色の光線が走っていく。
それらは魔族を捉え、宙に綺麗な花火のような爆発が浮かび上がった。
「「「……ッ!」」」
見た事もない魔法だ。
その超常現象に冒険者たちは確信した。
「この力は!」
「来て下さったのか!」
「だが、他の地点は!?」
姿を現した少年は、報告で答える。
「B・C・D地点、全て制圧完了しました」
「「「アケア殿!」」」
B地点、魔族二人。
C地点、魔族四人。
D地点、魔族三人。
アケアはそれらを全て制圧し、ここに降り立つ。
そして、最終決戦には紫髪の彼女も出撃した。
「つまり、ここを乗り切ればワタシ達の勝利だ」
「「「シルリアさん!」」」
後ろからはアケアの友達も駆けつける。
「ぎゃうぎゃう!」
「「「ええ、ドラゴン!?」」」
アケアが連れてきたドランだ。
ドランは将来この森のボスになる存在。
ならば、守りたいと思うのも当然だ。
アケア達の参戦により、冒険者たちはほっと安堵する。
しかし、魔族側は笑った。
「残るはここだけか」
「ああ、だが時間稼ぎは終わったな」
「“あの人”はいつも遅刻なさる」
すると、空から次元を破ったように、一人の魔族が姿を見せた。
あくびをしながら眠たげに現れたのだ。
「ふわ~あ、だりい」
「「「……!」」」
だが、その瞬間、アケアを含めた冒険者たちは目を見開く。
眠たげな魔族から感じる、異様な雰囲気を感じ取ったのだ。
今までの魔族とは、明らかに格が違うと。
そうして、魔族の一人は代わりに紹介をした。
「恐れるがいい。この方こそが──子爵級魔族グラヴィル様だ」
両者陣営の大将が登場し、ここが最終決戦地となる。
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