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第38話 不遇職の救世主
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「あとは僕に任せて」
魔族の力に絶望し、マルムは護衛を見捨てて逃走。
そこへ駆けつけたのが、アケアとスライム達だ。
すると、【悪魔球】を防がれた魔族は眉をひそめる。
「今のを受けるか。何者だ」
「僕はアケア。この子たちは僕の仲間だよ」
「スライムを連れた少年アケア……そうか、貴様が!」
その答えに魔族は口角を上げる。
オクトの件もあったため、何らかの情報を得ているのだろう。
そうして、今度は興味を持ったように魔族から攻撃を仕掛ける。
「先程の剣聖と違って少々楽しめそうだな!」
「そんな暇はないんだけど!」
アケアも受ける形で応じ、両者激しい攻防になる。
そんな中、アケアの後方でフィルは目を疑っていた。
(この人、もしかしてテイマーなの?)
アケアが複数のスライムを連れていたからだ。
だが、普通のテイマーにはとても見えない。
「な、なんだこの力は!?」
「遅いよ」
「ぷよっ!」
マルムを絶望させた魔族に対し、アケアは圧倒しているのだ。
テイマーの不遇さは、フィルは身を以て知っている。
しかし、アケアの戦いを見ていると常識が次々に崩れていく。
「す、すごい……」
スライム達と巧みに連携を取り、自らも拳を振るう。
その見事な戦い方で、あっという間に魔族を追い詰めた。
「な、なぜだ! なぜ人間がこれほど!」
「悪いけど、僕も急いでいるんだ」
「ぐわあああああっ!」
そして、とどめの一撃。
ヒルナーデ邸でも見せた【神罰の拳】により、魔族は浄化されていく。
怒涛の勢いで、終始圧倒してみせたのだった。
「「「……っ」」」
それには、周りもついポカンとしてしまう。
マルムがあれほど苦労した相手に、ものの数分で勝ったのだから。
だが、一早く正気を取り戻したフィルが、アケアに駆け寄った。
「あ、あの、ありがとうございました!」
「ううん、遅れてごめん。それより、皆さんはオーディアからの助っ人で間違いないですか?」
「はい。私たちは、マルム・フォーロス侯爵子息様の護衛です」
アケアはふむとうなずいた。
「やっぱりか」
「え?」
「いえ、なんでも。ところで、その方はどちらへ?」
「そ、それが……」
口ごもるフィルの代わりに、立ち上がった冒険者が答える。
「あの人は逃げましたよ。俺たちを置いてね」
「え?」
「最後はひどいものでした。回復してくれたフィルを蹴って、囮にしたんだからね」
「……っ」
冒険者はひどく失望した顔だ。
対して、アケアを何かを思ったように口をつぐむ。
だが、ここはまだ戦場。
色々と言うのは後だ。
「事情は分かりました。それでは、皆さんは安全な所へ」
「え、でも!」
「頭が逃げたのなら無理をする必要はありません。最後方にはキャンプもありますので」
アケアはフィル達を促しながら、一匹のスライムを手渡す。
「それとこの子を」
「ス、スライム?」
「ぷよっ!」
何が何だか分からないが、次のアケアの言葉は安心できた。
「結構強いんですよ。みんなをキャンプまで守ってくれます」
「……!」
「では、僕はこれで」
ふっと背中を見せるアケアだが、心の中で念話を飛ばしていた。
(君達も隠れてついて行ってあげて)
『『『りょー!』』』
フィル達の護衛として、もう十匹のスライムに指示を出した。
これで確実に帰ることができるだろう。
すると、最後にフィルがたずねた。
「あのアケアさんはどちらへ!?」
「僕はまだ行くところがありますので。お気をつけて!」
「あっ!」
そうして、すぐに行ってしまった。
速すぎる移動により、すでに姿は見えない。
「アケアさん……」
その名前を口にすると、フィルはドクンと胸が高鳴る。
自分と同じ年頃で、自分と同じ不遇職。
なのに、あの強さと優しさを併せ持っている。
フィルにとって、アケアはまさに“不遇職の救世主”だった。
「……っ」
アケアが駆けつけてくれた時の姿を思い出すフィル。
彼の代わりに、手渡されたスライムをぎゅっと抱いた。
「また会えるかな」
「ぷよ?」
魔族の力に絶望し、マルムは護衛を見捨てて逃走。
そこへ駆けつけたのが、アケアとスライム達だ。
すると、【悪魔球】を防がれた魔族は眉をひそめる。
「今のを受けるか。何者だ」
「僕はアケア。この子たちは僕の仲間だよ」
「スライムを連れた少年アケア……そうか、貴様が!」
その答えに魔族は口角を上げる。
オクトの件もあったため、何らかの情報を得ているのだろう。
そうして、今度は興味を持ったように魔族から攻撃を仕掛ける。
「先程の剣聖と違って少々楽しめそうだな!」
「そんな暇はないんだけど!」
アケアも受ける形で応じ、両者激しい攻防になる。
そんな中、アケアの後方でフィルは目を疑っていた。
(この人、もしかしてテイマーなの?)
アケアが複数のスライムを連れていたからだ。
だが、普通のテイマーにはとても見えない。
「な、なんだこの力は!?」
「遅いよ」
「ぷよっ!」
マルムを絶望させた魔族に対し、アケアは圧倒しているのだ。
テイマーの不遇さは、フィルは身を以て知っている。
しかし、アケアの戦いを見ていると常識が次々に崩れていく。
「す、すごい……」
スライム達と巧みに連携を取り、自らも拳を振るう。
その見事な戦い方で、あっという間に魔族を追い詰めた。
「な、なぜだ! なぜ人間がこれほど!」
「悪いけど、僕も急いでいるんだ」
「ぐわあああああっ!」
そして、とどめの一撃。
ヒルナーデ邸でも見せた【神罰の拳】により、魔族は浄化されていく。
怒涛の勢いで、終始圧倒してみせたのだった。
「「「……っ」」」
それには、周りもついポカンとしてしまう。
マルムがあれほど苦労した相手に、ものの数分で勝ったのだから。
だが、一早く正気を取り戻したフィルが、アケアに駆け寄った。
「あ、あの、ありがとうございました!」
「ううん、遅れてごめん。それより、皆さんはオーディアからの助っ人で間違いないですか?」
「はい。私たちは、マルム・フォーロス侯爵子息様の護衛です」
アケアはふむとうなずいた。
「やっぱりか」
「え?」
「いえ、なんでも。ところで、その方はどちらへ?」
「そ、それが……」
口ごもるフィルの代わりに、立ち上がった冒険者が答える。
「あの人は逃げましたよ。俺たちを置いてね」
「え?」
「最後はひどいものでした。回復してくれたフィルを蹴って、囮にしたんだからね」
「……っ」
冒険者はひどく失望した顔だ。
対して、アケアを何かを思ったように口をつぐむ。
だが、ここはまだ戦場。
色々と言うのは後だ。
「事情は分かりました。それでは、皆さんは安全な所へ」
「え、でも!」
「頭が逃げたのなら無理をする必要はありません。最後方にはキャンプもありますので」
アケアはフィル達を促しながら、一匹のスライムを手渡す。
「それとこの子を」
「ス、スライム?」
「ぷよっ!」
何が何だか分からないが、次のアケアの言葉は安心できた。
「結構強いんですよ。みんなをキャンプまで守ってくれます」
「……!」
「では、僕はこれで」
ふっと背中を見せるアケアだが、心の中で念話を飛ばしていた。
(君達も隠れてついて行ってあげて)
『『『りょー!』』』
フィル達の護衛として、もう十匹のスライムに指示を出した。
これで確実に帰ることができるだろう。
すると、最後にフィルがたずねた。
「あのアケアさんはどちらへ!?」
「僕はまだ行くところがありますので。お気をつけて!」
「あっ!」
そうして、すぐに行ってしまった。
速すぎる移動により、すでに姿は見えない。
「アケアさん……」
その名前を口にすると、フィルはドクンと胸が高鳴る。
自分と同じ年頃で、自分と同じ不遇職。
なのに、あの強さと優しさを併せ持っている。
フィルにとって、アケアはまさに“不遇職の救世主”だった。
「……っ」
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「また会えるかな」
「ぷよ?」
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