魔境の森に捨てられたけど、最強のテイマーになって生還した~外れギフト【スライムテイム】でスライムを無限に仲間にして成り上がり無双~

むらくも航

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第59話 信じる仲間

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 フォーロス領、市街地近く。

「退避! 退避ーっ!」
「「「うああああああ!」」」

 包囲網を張っていた冒険者たちが声を上げている。
 相手にしている魔物を、街に近づけさせない為だ。
 だが、その相手は──“化け物”だ。

「グルオオオオオオオオオオ!」
「「「……!」」」

 黒ずんだ毛皮が巨大な体を包む姿は、黒いマンモスのようだ。
 化け物は、大地にとどろ咆哮ほうこうを上げ、冒険者をかくする。

 この魔物は『ビーストデーモン』。
 古代に魔族に飼われていたと言われ、人々の前に出た時には“災厄さいやく”をもたらすとされている。
 
 ランクは測定不能。
 まさに未知の化け物である。
 これがハーティの“ペット”だったのだ。

「グルオオオオオオ!」
「「「……!」」」

 ビーストデーモンの周囲には、黒いオーラがまとわれている。
 これに触れた冒険者は直ちに衰弱し、動けなくなったのだ。
 冒険者は牽制けんせいしながら退避するしか手段がない。

「こんなの一体どうすれば!」
「けど簡単に引けねえだろ!」
「ああ、なんて言ったって!」

 冒険者たちは後方をちらりと見る。
 ビーストデーモンは真っ直ぐに市街地へ向かっているのだ。
 ここまま引き下がるだけでは、すぐに市街地は焼け野原になるだろう。

 すると、後方から声が聞こえてきた。

「皆さん!」
「「「……!」」」

 現れたのはフィルだ。

「ここは私が前に出ます!」
「フィルちゃん!? どうするつもりだ!」

 助けはありがたいが、フィルはただのDランク冒険者。
 周りから見ても決して強いとは言えなかった。
 それでも、フィルは強い目で両隣を見た。

「この子たちが止めるって言ってるんです!」
「くぅん!」
「ぎゃう!」

 子犬のシロロン、ドラゴンのドランだ。
 二匹はビーストデーモンにもおびえず、むしろ真っ直ぐ向き合っている。
 ここで倒すつもりのようだ。

「グルオオオオオオオオオ!」
「「「……!」」」

 すると、ビーストデーモンは再び咆哮を上げる。
 フィル達を認識したのだろう。
 対して、シロロンとドランも負けじと遠吠えを上げた。

「くぉぉぉぉぉぉん!」
「ぎゃうううううう!」
「これは……!」

 その意思を示すように。
 強大な敵に対抗するように。
 二匹の体はみるみるうちに大きくなっていく。

 そうして、フィルの両隣でたくましい姿を見せた。

「クォン」
「ギャウ」

 気高いたたずまいは、そこらの魔物と一線を画す。
 まとうオーラは、ビーストデーモンと正反対の神々しさだ。
 その姿は、“古代の魔物”特有のものである。

 シロロンは、古代の白狼“フェンリル”。

「クォン」

 ドランは、古代の竜種“いにしえのドラゴン”。

「ギャウ」

 本来の姿を取り戻した二匹は、冒険者たちの前に出る。
 図らずも、二匹とビーストデーモンの先祖はかつて争い合っていたのだ。

「クォォォォォォォン!」
「ギャウウウウウウウ!」
「グルオオオオオオオ!」

 古代を再現するような戦いが、いま行われようとしていた。





 再び、ハーティとアケアの戦場。

「フェンリルと古のドラゴンですって……!?」

 感知で市街地の様子を把握したハーティは、初めて余裕の表情を崩す。
 ビーストデーモンで全て終わりだと見込んでいたが、予想外の対抗が出てきたからだ。
 対して、アケアはこくりとうなずいた。

「あっちは大丈夫そうだね」
「……あなたはこうなることを見越して?」
「いや、仲間を信じているだけだよ」

 すると、アケアも口角を上げた。

「これでスライム達を結集できる」
「……!?」

 同時に、各地のスライムの転送を完了した。
 魔境の森、ソコソコ草原、エスガルドに散らばらせていたスライムを、全てここに集結させたのだ。

 その数は──およそ1000匹。

「いくよ」
「……!」

 アケアは全スライムに指示を出した。

 全方位からハーティを囲うように。
 強すぎる自分の攻撃・・・・・・・・・が周りに被害を与えないように。

「【スライムドーム】!」
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