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料理
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自室の窓から呼ぶと、メロアが意気揚々と飛んできた。
『参上なのだ。何か用かー?』
「お料理をしようと思うのです! 昨日買った調理器具はどこに置きました?」
『こっちこっち』
メロアは室内を飛び、体当たりで部屋の扉を開けて出て行く。
フレーナもそれに続いて歩いた。
すぐ近くの空き部屋。
その中にある棚に、無造作に調理器具が仕舞われていた。
『使い方はよくわからないから、まとめ方も雑なのだ。好きに持っていくといいのだ』
「ありがとうございます。ちなみに食材とかは何が? メア様は謎の黒い物体を作ってましたが、アレは何が元になっていたのでしょう……」
『食材……この神殿の周りには、果実が実る木がある。ボクもたまに食べてるのだ。
あとは……麓の方に行くと猪とかもいるし、魚も川から獲れると思う』
神殿の立つ頂上付近は、あまり動植物がみられない。
あるのは果物の木くらいだ。
「メア様の好物とかわからないんですよね」
『あるじは食事自体しないから、ボクもわからん。とりあえず、一通りサクッと獲ってくるのだ! すぐに戻るー!』
「あっ……私も、」
『フレーナは待ってるのだ! 料理の準備しててー!』
止める暇もなく、メロアは飛んで行ってしまった。
相変わらず元気な生き物だ。
気を取り直して。
フレーナは棚に放り込まれた調理器具の点検を始めた。
「うん、しっかり揃ってる。不足ないかな」
足りない物があれば、都度買い足していくことになる。
自分が料理人ほど料理の腕があると思っているわけではない。
だが、毎日貧しいながらも料理を続けていた経験はある。
「メア様、喜んでくれるかなぁ……」
問題はそこだ。
はたして神が料理を楽しむ感性を持っているのか。
これくらいの恩返しすらできなければ、フレーナは本格的に何の役にも立てなくなってしまう。
「がんばらないと……!」
彼女は気合を入れて準備に取り掛かった。
***
神殿の広間で、フレーナはさっそく調理に取り掛かる。
メロアは色々な食材を持ってきてくれた。
しかもかなりの速さで。
……というわけで、何を作るかというと。
「山菜料理を作ろうと思います」
「……山菜か。メロア、ちゃんと人間が食える物を採ってきたんだろうな?」
『た、たぶんだいじょうぶ!』
メアの問いに、メロアはしどろもどろに答える。
山盛りになった山菜の数々。
いくつか毒草や毒キノコも混じっていて、フレーナは首を傾げる。
おそらく手当たり次第に採ってきたのだろう。
「山菜の見分けはつきますから、お任せください。おいしい料理を作ってみせますよ!」
村にいたころ、フレーナには食材もまともに与えられなかった。
そこで支えになったのが山菜やキノコの類。
毎晩森へ行って採取したものだ。
もちろん使うのは山菜だけではない。
小さな猪を捌き、肉も使う予定だ。
「あ、火は……どうしましょう?」
『火ならボクが出すのだ。あるじの火は強すぎて全部黒焦げにしちゃうから』
「悪かったな」
先程の黒い物体を思い出して、フレーナは苦笑いした。
火はメロアに頼もう。
フレーナは腕をまくり、意気揚々と調理を開始した。
***
「お待たせしました!」
調理の間、メアはじっと座っていた。
慌ただしく動くフレーナと、楽しそうなメロアを見つめながら。
テーブルの上に皿が並べられる。
山菜の炒め煮、赤みずの肉巻き、キノコのオリーブオイル漬け。
他にも魚や肉を焼き、純粋に塩で味付けしたものも。
調味料に乏しかったので、可能な限り味の近いもので代用した。
「へえ……色合いがいいな。俺の真っ黒なアレとは大違いだ」
『あるじのコゲとフレーナの料理を比べるのは失礼なのだ』
ドキドキしながら、フレーナは食事を勧める。
「ど、どうぞ……」
「いただきます」
『いただきまーす!』
メアはいつもの表情で、料理を口に運んだ。
しばらく沈黙して彼は料理を味わう。
「……どうですか?」
「うん、美味い。これが料理か……いいものだな」
メアは微笑んでフレーナの料理を賞賛した。
よかった。ひとまず胸を撫で下ろす。
『うーん、おいしい! あるじは褒め方が下手なのだ。表情の変化に乏しいから、あんまり喜んでるように見えないー』
「それは自覚してるよ。料理のよさなんて知らなかったが、フレーナのおかげで学べたよ」
『一応フォローしておくと、あるじはかなり喜んでいるのだ。フレーナは自信を持っていい!』
メアがあまり感情を表に出さないことは、昨日からの交流で気がついていた。
嬉しいことや楽しいことがあっても、せいぜい微笑む程度だ。
しかし慈愛と思いやりに満ちた神様であることをフレーナは知っている。
「はい! 喜んでいただけて嬉しいです!」
「よかったら、これからも料理を作ってほしい。メロアも好きに扱き使ってくれて構わないぞ」
「わかりました……! よろしくお願いします!」
フレーナは神殿内での役割を欲しがっているように見えた。
彼女に明確な立ち位置を与えることができて、メアは喜ばしく思う。
それに、これから出てくる料理も楽しみだ。
メロアの交流相手も新しく出来たことだし、神殿は賑やかになるだろう。
『参上なのだ。何か用かー?』
「お料理をしようと思うのです! 昨日買った調理器具はどこに置きました?」
『こっちこっち』
メロアは室内を飛び、体当たりで部屋の扉を開けて出て行く。
フレーナもそれに続いて歩いた。
すぐ近くの空き部屋。
その中にある棚に、無造作に調理器具が仕舞われていた。
『使い方はよくわからないから、まとめ方も雑なのだ。好きに持っていくといいのだ』
「ありがとうございます。ちなみに食材とかは何が? メア様は謎の黒い物体を作ってましたが、アレは何が元になっていたのでしょう……」
『食材……この神殿の周りには、果実が実る木がある。ボクもたまに食べてるのだ。
あとは……麓の方に行くと猪とかもいるし、魚も川から獲れると思う』
神殿の立つ頂上付近は、あまり動植物がみられない。
あるのは果物の木くらいだ。
「メア様の好物とかわからないんですよね」
『あるじは食事自体しないから、ボクもわからん。とりあえず、一通りサクッと獲ってくるのだ! すぐに戻るー!』
「あっ……私も、」
『フレーナは待ってるのだ! 料理の準備しててー!』
止める暇もなく、メロアは飛んで行ってしまった。
相変わらず元気な生き物だ。
気を取り直して。
フレーナは棚に放り込まれた調理器具の点検を始めた。
「うん、しっかり揃ってる。不足ないかな」
足りない物があれば、都度買い足していくことになる。
自分が料理人ほど料理の腕があると思っているわけではない。
だが、毎日貧しいながらも料理を続けていた経験はある。
「メア様、喜んでくれるかなぁ……」
問題はそこだ。
はたして神が料理を楽しむ感性を持っているのか。
これくらいの恩返しすらできなければ、フレーナは本格的に何の役にも立てなくなってしまう。
「がんばらないと……!」
彼女は気合を入れて準備に取り掛かった。
***
神殿の広間で、フレーナはさっそく調理に取り掛かる。
メロアは色々な食材を持ってきてくれた。
しかもかなりの速さで。
……というわけで、何を作るかというと。
「山菜料理を作ろうと思います」
「……山菜か。メロア、ちゃんと人間が食える物を採ってきたんだろうな?」
『た、たぶんだいじょうぶ!』
メアの問いに、メロアはしどろもどろに答える。
山盛りになった山菜の数々。
いくつか毒草や毒キノコも混じっていて、フレーナは首を傾げる。
おそらく手当たり次第に採ってきたのだろう。
「山菜の見分けはつきますから、お任せください。おいしい料理を作ってみせますよ!」
村にいたころ、フレーナには食材もまともに与えられなかった。
そこで支えになったのが山菜やキノコの類。
毎晩森へ行って採取したものだ。
もちろん使うのは山菜だけではない。
小さな猪を捌き、肉も使う予定だ。
「あ、火は……どうしましょう?」
『火ならボクが出すのだ。あるじの火は強すぎて全部黒焦げにしちゃうから』
「悪かったな」
先程の黒い物体を思い出して、フレーナは苦笑いした。
火はメロアに頼もう。
フレーナは腕をまくり、意気揚々と調理を開始した。
***
「お待たせしました!」
調理の間、メアはじっと座っていた。
慌ただしく動くフレーナと、楽しそうなメロアを見つめながら。
テーブルの上に皿が並べられる。
山菜の炒め煮、赤みずの肉巻き、キノコのオリーブオイル漬け。
他にも魚や肉を焼き、純粋に塩で味付けしたものも。
調味料に乏しかったので、可能な限り味の近いもので代用した。
「へえ……色合いがいいな。俺の真っ黒なアレとは大違いだ」
『あるじのコゲとフレーナの料理を比べるのは失礼なのだ』
ドキドキしながら、フレーナは食事を勧める。
「ど、どうぞ……」
「いただきます」
『いただきまーす!』
メアはいつもの表情で、料理を口に運んだ。
しばらく沈黙して彼は料理を味わう。
「……どうですか?」
「うん、美味い。これが料理か……いいものだな」
メアは微笑んでフレーナの料理を賞賛した。
よかった。ひとまず胸を撫で下ろす。
『うーん、おいしい! あるじは褒め方が下手なのだ。表情の変化に乏しいから、あんまり喜んでるように見えないー』
「それは自覚してるよ。料理のよさなんて知らなかったが、フレーナのおかげで学べたよ」
『一応フォローしておくと、あるじはかなり喜んでいるのだ。フレーナは自信を持っていい!』
メアがあまり感情を表に出さないことは、昨日からの交流で気がついていた。
嬉しいことや楽しいことがあっても、せいぜい微笑む程度だ。
しかし慈愛と思いやりに満ちた神様であることをフレーナは知っている。
「はい! 喜んでいただけて嬉しいです!」
「よかったら、これからも料理を作ってほしい。メロアも好きに扱き使ってくれて構わないぞ」
「わかりました……! よろしくお願いします!」
フレーナは神殿内での役割を欲しがっているように見えた。
彼女に明確な立ち位置を与えることができて、メアは喜ばしく思う。
それに、これから出てくる料理も楽しみだ。
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