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10話 襲撃2 クロヴィスside
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馬車の扉をけり抜き外に飛び出ると、クロヴィスが見える範囲にいる襲撃犯は、ぜんぶで4人いた。
1人は御者台にいた護衛騎士のドニが剣で応戦している。
2人めはクロヴィスがけった扉で頭をぶつけて気絶し、馬車の前にころがっている。
「うおおおお…っ!」
3人めの襲撃犯が剣をぬいて、クロヴィスに斬りかかって来た。
「クソッ…!」
クロヴィスは右手に持った銃をむけ、引き金をひく。
ドンッ…! と大きな銃声をひびかせて、弾が3人めの肩に命中した。
「ギャアッ… ウアアァァ!!」
3人めはころげまわり、クロヴィスは動きを止めることに成功する。
4人めの襲撃犯が馬車に近づいたのに気づき、クロヴィスは左手の銃で狙いをさだめたが… 中からアデルが撃ち、4人めもその場でくずれおちた。
「良いぞ、アデル!」
思わずニヤリッ…と笑い、クロヴィスは護衛騎士ドニと剣で斬り合っていた襲撃犯を見る。
「銃を持っているなんて… 聞いてない…!」
仲間が次々と倒されてゆくのを見て、残った襲撃犯は戦意を喪失し、あわててその場から逃げ出そうと、ドニと斬り合うのをやめて自分の馬に乗り手づなをつかんだ。
「…逃がすかよ!」
左手に持っていた短銃を右手に持ちかえ、クロヴィスは狙いをさだめて馬に乗った襲撃犯を撃つ。
わき腹に命中したが、ドンッ…! と銃声がひびいたしゅんかん、襲撃犯が乗った馬が轟音に驚き、狂ったように走り出した。
結局、ケガを負わせたが、襲撃犯の1人に逃げられてしまった。
「……」
この襲撃は誘拐が目的ではなかった。
間違いなくアデルに強い殺意をむけていた。
襲撃犯を乗せた馬が逃げ出した、暗い道をにらみつけ… クロヴィスは考えをめぐらせる。
「アデルお嬢様! おケガはありませんか?!」
護衛騎士のドニが馬車の扉をつかみ、アデルに声をかけた。
「だ… 大丈夫よ? クロヴィスは…? 御者は? ドニ… みんなケガはない?!」
アデルは長い銃身の銃を片手にかかえたまま、おそるおそるドニの手を借り馬車からおりた。
「はい、大丈夫ですお嬢様! みんなケガはありません」
「そう… 良かったわ… 良かった!」
涙声で無事を喜ぶと… アデルは腕に抱えていた銃をドニに渡した。
背後で聞こえたアデルの声に反応し、クロヴィスが振り向くと… 喪服姿のアデルがクロヴィスにかけより抱きついた。
「クロヴィス…! ああ、良かったわ… あなたもみんな無事で!」
「旦那様がそろえてくれた、最新式の銃はどれも命中率が高いから、大丈夫さ… お前も何か月も練習していなかったのに、当てただろう?」
かわいそうに… 家族を亡くしたばかりで、殺されかけるなんて! これではあまりにも苛酷すぎるぞ!
「もう… あなたまで失ったら、どうしようかと… 怖くて…」
「アデル… こんな時に言いたくないが… 知らずにいれば、お前自身が危険になるから… ハッキリ言うが……」
ブルブルと震える華奢な背中を、クロヴィスは慰めようとソロソロとなでる。
「何、クロヴィス? 怖いわ…」
馬車にかけてあるランプの灯りで、てらし出されたアデルの顔が恐怖で強張っているのがわかり胸が痛むが、それでもクロヴィスは正直にかたった。
「バーンウッド伯爵邸を出てすぐに襲撃を受けたということは… 最初からアデルが伯爵邸を出て実家のガーメロウ邸へ帰りたくなるよう、夫のピエールはわざと冷酷にお前をあつかい… そうしむけたのではないだろうか?」
「ピエールが… 私を伯爵邸から追いだそうとした?」
「実家へ帰るとちゅうで襲撃してアデルの命を奪い、亡くなったアデルの祖父バスティアン・ガーメロウ氏の遺産を、夫のピエールは妻のかわりに自分が相続する計画を立てたとしたら?」
「ああ… 夫のピエールはお祖父様の遺産を使うのに私が邪魔になるから?」
静かにクロヴィスはうなずいた。
1人は御者台にいた護衛騎士のドニが剣で応戦している。
2人めはクロヴィスがけった扉で頭をぶつけて気絶し、馬車の前にころがっている。
「うおおおお…っ!」
3人めの襲撃犯が剣をぬいて、クロヴィスに斬りかかって来た。
「クソッ…!」
クロヴィスは右手に持った銃をむけ、引き金をひく。
ドンッ…! と大きな銃声をひびかせて、弾が3人めの肩に命中した。
「ギャアッ… ウアアァァ!!」
3人めはころげまわり、クロヴィスは動きを止めることに成功する。
4人めの襲撃犯が馬車に近づいたのに気づき、クロヴィスは左手の銃で狙いをさだめたが… 中からアデルが撃ち、4人めもその場でくずれおちた。
「良いぞ、アデル!」
思わずニヤリッ…と笑い、クロヴィスは護衛騎士ドニと剣で斬り合っていた襲撃犯を見る。
「銃を持っているなんて… 聞いてない…!」
仲間が次々と倒されてゆくのを見て、残った襲撃犯は戦意を喪失し、あわててその場から逃げ出そうと、ドニと斬り合うのをやめて自分の馬に乗り手づなをつかんだ。
「…逃がすかよ!」
左手に持っていた短銃を右手に持ちかえ、クロヴィスは狙いをさだめて馬に乗った襲撃犯を撃つ。
わき腹に命中したが、ドンッ…! と銃声がひびいたしゅんかん、襲撃犯が乗った馬が轟音に驚き、狂ったように走り出した。
結局、ケガを負わせたが、襲撃犯の1人に逃げられてしまった。
「……」
この襲撃は誘拐が目的ではなかった。
間違いなくアデルに強い殺意をむけていた。
襲撃犯を乗せた馬が逃げ出した、暗い道をにらみつけ… クロヴィスは考えをめぐらせる。
「アデルお嬢様! おケガはありませんか?!」
護衛騎士のドニが馬車の扉をつかみ、アデルに声をかけた。
「だ… 大丈夫よ? クロヴィスは…? 御者は? ドニ… みんなケガはない?!」
アデルは長い銃身の銃を片手にかかえたまま、おそるおそるドニの手を借り馬車からおりた。
「はい、大丈夫ですお嬢様! みんなケガはありません」
「そう… 良かったわ… 良かった!」
涙声で無事を喜ぶと… アデルは腕に抱えていた銃をドニに渡した。
背後で聞こえたアデルの声に反応し、クロヴィスが振り向くと… 喪服姿のアデルがクロヴィスにかけより抱きついた。
「クロヴィス…! ああ、良かったわ… あなたもみんな無事で!」
「旦那様がそろえてくれた、最新式の銃はどれも命中率が高いから、大丈夫さ… お前も何か月も練習していなかったのに、当てただろう?」
かわいそうに… 家族を亡くしたばかりで、殺されかけるなんて! これではあまりにも苛酷すぎるぞ!
「もう… あなたまで失ったら、どうしようかと… 怖くて…」
「アデル… こんな時に言いたくないが… 知らずにいれば、お前自身が危険になるから… ハッキリ言うが……」
ブルブルと震える華奢な背中を、クロヴィスは慰めようとソロソロとなでる。
「何、クロヴィス? 怖いわ…」
馬車にかけてあるランプの灯りで、てらし出されたアデルの顔が恐怖で強張っているのがわかり胸が痛むが、それでもクロヴィスは正直にかたった。
「バーンウッド伯爵邸を出てすぐに襲撃を受けたということは… 最初からアデルが伯爵邸を出て実家のガーメロウ邸へ帰りたくなるよう、夫のピエールはわざと冷酷にお前をあつかい… そうしむけたのではないだろうか?」
「ピエールが… 私を伯爵邸から追いだそうとした?」
「実家へ帰るとちゅうで襲撃してアデルの命を奪い、亡くなったアデルの祖父バスティアン・ガーメロウ氏の遺産を、夫のピエールは妻のかわりに自分が相続する計画を立てたとしたら?」
「ああ… 夫のピエールはお祖父様の遺産を使うのに私が邪魔になるから?」
静かにクロヴィスはうなずいた。
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