15 / 92
出会い
しおりを挟む
「アルドリック殿下とサクを歓迎してくれた領民たちに挨拶がまだだったから俺が一緒に行けば問題なかろう」
「大有りです」
「何故だ?」
「アルドリック殿下をご覧ください」
スフォルさんに言われてアルさまをチラッと見るセドさま。書類の山に囲まれ憮然とした表情を浮かべていた。
「ちゃんとアルドリック殿下も連れていきます。三人で仲良くお茶をしましょう」
「終わるまで待って欲しい」
「パン屋が閉まるまでには終わらせてくださいよ」
「言われなくても分かっています。これでも急いでます」
せっせと書類に目を通すアルさま。
「領民に常に寄り添い、真面目で仕事熱心な王子さまだ。若いのに立派に領地を納めている。たいしたものだ。誰かさんとは大違いだ」
「褒めてもサクは渡しませんよ」
「今は俺の妻だがな」
「いずれは私の妻になります」
二人のやりとりを黙って聞いていたスフォルさんとゼオリクさん。
「なにも二人でサクさまを幸せにすればいいでしょう」
「喧嘩をするだけ時間の無駄です」
まさか中でそんな会話がされているとは知らない僕は、ノックしてから執務室に入ろうとしたけど、ユフに今は止めた方がいいと止められた。
アルさまもセドさまもどこにいてもよく目立つ。
あっという間に人だかりが出来てしまった。
「素敵なかたで良かったです」
ジルさんがほっとして胸を撫で下ろした。
「いきなり結婚だなんて聞いたときは驚きましたよ。愛されているんですね」
ジルさんの奥さんのサリ―さんも自分のことのように喜んでくれた。
「えっと、その……」
恥ずかしくて視線が宙を彷徨った。
「あ、そうだ。名前」
僕の腕の中ですやすやと眠る生まれたばかりの白い産着を着た赤ちゃんの顔を見つめた。
「――ティリ―オ……」
気付いたらその名前を口にしていた。まだ男の子か女の子か聞いていないのに。
「サクさまありがとうございます。なぜ分かったんですか?男の子だってまだ言ってないのに」
「さすがサクさまです。ティリ―オ。なんて素敵な名前なのかしら」
やんちゃでもいいから好き嫌いなくご飯をたくさん食べて大きくなるんだよ。パパとママを守ってね。健やかな成長を願いながらサリ―さんに赤ちゃんを返した。
「大有りです」
「何故だ?」
「アルドリック殿下をご覧ください」
スフォルさんに言われてアルさまをチラッと見るセドさま。書類の山に囲まれ憮然とした表情を浮かべていた。
「ちゃんとアルドリック殿下も連れていきます。三人で仲良くお茶をしましょう」
「終わるまで待って欲しい」
「パン屋が閉まるまでには終わらせてくださいよ」
「言われなくても分かっています。これでも急いでます」
せっせと書類に目を通すアルさま。
「領民に常に寄り添い、真面目で仕事熱心な王子さまだ。若いのに立派に領地を納めている。たいしたものだ。誰かさんとは大違いだ」
「褒めてもサクは渡しませんよ」
「今は俺の妻だがな」
「いずれは私の妻になります」
二人のやりとりを黙って聞いていたスフォルさんとゼオリクさん。
「なにも二人でサクさまを幸せにすればいいでしょう」
「喧嘩をするだけ時間の無駄です」
まさか中でそんな会話がされているとは知らない僕は、ノックしてから執務室に入ろうとしたけど、ユフに今は止めた方がいいと止められた。
アルさまもセドさまもどこにいてもよく目立つ。
あっという間に人だかりが出来てしまった。
「素敵なかたで良かったです」
ジルさんがほっとして胸を撫で下ろした。
「いきなり結婚だなんて聞いたときは驚きましたよ。愛されているんですね」
ジルさんの奥さんのサリ―さんも自分のことのように喜んでくれた。
「えっと、その……」
恥ずかしくて視線が宙を彷徨った。
「あ、そうだ。名前」
僕の腕の中ですやすやと眠る生まれたばかりの白い産着を着た赤ちゃんの顔を見つめた。
「――ティリ―オ……」
気付いたらその名前を口にしていた。まだ男の子か女の子か聞いていないのに。
「サクさまありがとうございます。なぜ分かったんですか?男の子だってまだ言ってないのに」
「さすがサクさまです。ティリ―オ。なんて素敵な名前なのかしら」
やんちゃでもいいから好き嫌いなくご飯をたくさん食べて大きくなるんだよ。パパとママを守ってね。健やかな成長を願いながらサリ―さんに赤ちゃんを返した。
81
あなたにおすすめの小説
冤罪で追放された悪役令息、北の辺境で幸せを掴む~恐ろしいと噂の銀狼将軍に嫁いだら、極上の溺愛とモフモフなスローライフが始まりました~
水凪しおん
BL
「君は、俺の宝だ」
無実の罪を着せられ、婚約破棄の末に極寒の辺境へ追放された公爵令息ジュリアン。
彼を待ち受けていたのは、「北の食人狼」と恐れられる将軍グリーグとの政略結婚だった。
死を覚悟したジュリアンだったが、出会った将軍は、噂とは真逆の不器用で心優しいアルファで……?
前世の記憶を持つジュリアンは、現代知識と魔法でボロボロの要塞を快適リフォーム!
手作りスープで将軍の胃袋を掴み、特産品開発で街を救い、気づけば冷徹将軍から規格外の溺愛を受けることに。
一方、ジュリアンを捨てた王都では、破滅の足音が近づいていて――。
冤罪追放から始まる、銀狼将軍との幸せいっぱいな溺愛スローライフ、ここに開幕!
【オメガバース/ハッピーエンド/ざまぁあり/子育て/スパダリ】
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
虐げられた令息の第二の人生はスローライフ
りまり
BL
僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。
僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。
だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。
救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。
お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。
【エルド学園】俺はこの『親友』が、ただの学生だと思っていた
西園 いつき
BL
エルド王国第一王子、レオンは、唯一の親友ノアと日々研鑽を重ねていた。
文武共に自分より優れている、対等な学生。
ノアのことをそう信じて疑わなかったレオンだが、突如学園生活は戦火に巻き込まれ、信じていたものが崩れ始める。
王国と帝国、そして王統をめぐる陰謀と二人の関係が交錯する、王子×親友のファンタジーBL。
時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~
なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。
一つは男であること。
そして、ある一定の未来を知っていること。
エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。
意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…?
魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。
なんと目覚めたのは断罪される2か月前!?
引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。
でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉
まぁどうせ出ていくからいっか!
北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる