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出会い
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「サクが謝ることではない」
「スフォルさんたちにも申し訳ないことしました」
「彼らは気にしていない。心配なら直接聞いたらいい。アル殿下、顔が怖いですよ」
「サクをどこまで愚弄すれば気が済むのだ」
「対価を求めず、領民と子供たちにさま付けで呼ばれ慕われるサクが妬ましいのだろう。食料と資金援助を断れ、結納金に目をつけたのだろう。なんとも浅はかな。話しはこのくらいにしてそろそろ寝ようか。続きはまた明日にでも……」
大きな欠伸をするセドさま。アルさまも欠伸がうつったのか、ふぁ~と欠伸をした。
最初はセドさまに抱き締められているからどきどきするんだと思ったけど、アルさまにも抱き締められているからどきどきするだと気づいてしまった。今までこんなふうにどきどきしたことがなかったのに。意識しないようにすればするほど意識してしまって。寝れなくなってしまった。
「サクさま、今日も町に?」
「パン屋のジルさんから子供が生まれたら名前をつけて欲しいと頼まれていたんです。それにアルさまが大好物の果物が入荷したみたいなので買ってこようかなと思って」
「そうですか」
いつになく険しい表情を浮かべるスフォルさんとゼオリクさん。
「駄目ですか?」
「駄目とは言ってませんよ。ただ」
スフォルさんはそこで言葉を止めると、ゼオリクさんの顔をチラッと見た。
「お気付きかとは思いますが、サクさまのお命を狙う不埒な輩がいます」
「アルさまでなく、僕の命をですか?」
「はい。調べたところクリュエル子爵の手の者かと」
クリュエル子爵は先代聖女や姉を養女にし、自分の娘たちを王や王子たちの後宮に送り込み権力を我が物顔にしてこの世の春を謳歌している。男爵から陞爵し子爵になった。
王室とは姻戚関係にあるクリュエル子爵は北の砦の領主に抜擢された。痩せた土地で作物もあまり取れないのに領民に対して重税を課し、言葉にするのも憚るほど非道で暴虐な振る舞いをしたり、不当に年貢を徴収したり、領民の生活を顧みない領主だった。日本でいう一揆を企てた領民たちやその家族まで捕えて焼き殺し、見せしめのため村を焼き払った。これだけのことをしておいて聖女の父ということで事実はすべて闇に葬られた。
領民の怒りと憎しみは計り知れない。
だから北の塔の領主は短期間でころころ代わった。
ユフからそのことを聞いていたから、アルさまと僕がここに到着したとき、領民から石を投げられ、罵声を浴びせられるものと覚悟をしていた。でも……。
「スフォルさんたちにも申し訳ないことしました」
「彼らは気にしていない。心配なら直接聞いたらいい。アル殿下、顔が怖いですよ」
「サクをどこまで愚弄すれば気が済むのだ」
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大きな欠伸をするセドさま。アルさまも欠伸がうつったのか、ふぁ~と欠伸をした。
最初はセドさまに抱き締められているからどきどきするんだと思ったけど、アルさまにも抱き締められているからどきどきするだと気づいてしまった。今までこんなふうにどきどきしたことがなかったのに。意識しないようにすればするほど意識してしまって。寝れなくなってしまった。
「サクさま、今日も町に?」
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「そうですか」
いつになく険しい表情を浮かべるスフォルさんとゼオリクさん。
「駄目ですか?」
「駄目とは言ってませんよ。ただ」
スフォルさんはそこで言葉を止めると、ゼオリクさんの顔をチラッと見た。
「お気付きかとは思いますが、サクさまのお命を狙う不埒な輩がいます」
「アルさまでなく、僕の命をですか?」
「はい。調べたところクリュエル子爵の手の者かと」
クリュエル子爵は先代聖女や姉を養女にし、自分の娘たちを王や王子たちの後宮に送り込み権力を我が物顔にしてこの世の春を謳歌している。男爵から陞爵し子爵になった。
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だから北の塔の領主は短期間でころころ代わった。
ユフからそのことを聞いていたから、アルさまと僕がここに到着したとき、領民から石を投げられ、罵声を浴びせられるものと覚悟をしていた。でも……。
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