桜空

彼との出会い

お店の前に置かれたベンチに並んで座りアイスクリームを食べていたらひなのさんの携帯が鳴った。
「出なくていいの？彼氏じゃないの？」
「彼氏じゃなくて呑み友達です。それにこれメールだから」
「ふぅ～～ん、そうなの」
ひなのさんが片手で携帯を操作していた。
「今日彼、友人の結婚式なんだけど、最後の最後まで反対していたのよ」
「どうして？」
「どうしてって相手がね」
ひなのさんががそこで言葉を止めるとひとつため息をついた。
「お嬢さまであることを鼻にかけて私たちを馬鹿しにして見下すのよ。先輩に対しての態度がなってない。男性の前ではぶりっこで自分のかわいさをアピールしているけど、性格もかなり悪いし、とっかえひっかえいろんな男性と付き合っているみたいだし。あざとい女とは彼女のことを言うのかも知れない。同性からは嫌われている。私も嫌い」
ひなのさんに見せてもらった写真を見た瞬間言葉を失った。
白いタキシードを着た藤堂さんとウェディングドレスを着た唯花さんが腕を組んで写っていたから。
「桜空ちゃん知り合い？」
「知りません」
首を横に振った。
「蓮がもしこの人を連れてきたら結川家は終わりよ」
「心配しなくても連れてこないよ。俺の趣味じゃない。それにどこが可愛いの？桜空のほうが何倍も可愛い」
さっきまで後ろに誰もいなかったのに。蓮さんがいつの間にか立っていたからビックリした。気配を感じなかったから尚更。