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第二章
マリアベルの帰省.4
しおりを挟むもらった小豆を水に入れた。
沈むのは1/5だけ、マグカップ一杯分くらいある
これだけあれば試作位はどうになる。
残りを水につけ、さらに沈んだ物はこし餡にする。
これ、一晩水に漬けてた方がいいだろう。
戦前の小豆より質が悪い。
お昼になって皆が食堂にやって来た。
興味深々で覗き込む。
「しっかし、お嬢様は 訳のわからん事しだすなぁ~」
ピエールに感心された。
「これ、明日ピエールに、煮てもらいますからね!」
「コリぁ 責任重大だ!」
ハハハハ 皆んなの 笑い声が響く。
アットホームで楽しいなぁ。
午後からは戦闘ドレス作りにいそしむ。
カンフー映画はスリットが上まである服だけど足丸見えだし••••
スカート の下にズボン履けはいいのよね!
うーん、ギャザーがいっぱいだと生地が重いかな?
そうだ!オーガンジーたくさんあるからそれ使ってみましょう。
そして、フロントはギャザー少なくして、
サイドの腰にタップリギャザーでバレリーナのように膨らまし
サイドにスリット入れてギャザーで被して隠すと、
チクチク、チクチク、チクチク
取り敢えずサイドスリットで作って見ました。
うん、紗の着物みたいで涼しそうだわ
私もお揃いで、作っちゃおう。
ズボン、ズボン
昔、甥が幕張にアニメの写真会があるって
ドラゴンなんとかの黄色いカンフー服作った事あったけど、
パンタロンとどっちが動き易いのかしら?
取り敢えず型紙起こしてみましょうか、
「お嬢様、夕食の支度が出来ました。」
暗くなるのも気付かず、集中して裁縫をしていた。
ああ、若いって本当にいい。
食事をし、湯浴みの準備をしてもらう。
人手を借りて生活するのは中々慣れないが、
入浴補助は大助かり。
髪も乾かしてもらえるし、ウトウトしたらベッドに運んでもらえる。
最高だ!
机に向かい、学園の課題をしていたが、喉が渇いたので食堂へ向かった
本来なら侍女に頼まなければいけない事なのだから、やはり自分で動いた方が早い。
食事ではセバスチャンが銀食器の点検をしていた。
お水をもらいセバスチャンの脇に腰を掛ける。
「私も磨いたいなぁ~」
懐かしいさのあまりセバスチャンに聞いた。
「少しだけですよ!」
セバスチャンは気を利かせてくれた。
銀食器を磨きながら
私は学園で出来た友人の事
魔法実習の事など、たわいもない話をした。
ふと、気になったこの前の夢
よくは覚えていないけれど、なんだか気になる。
「セバスチャンこの家に白い暖炉はありますか?」
ええ、ございますよ。と、セバスチャンは答える。
私はこの前見た夢を覚えている範囲でセバスチャに語った。
白い暖炉でスケッチブックが燃えてた、
窓から落ちて行く 燃える女神様の絵、
そして、絵を取ろうとして手を伸ばして人が落ちて死んだ話、
死んだ? 誰がですって?
何故死んだってわかるかですって?
だって私が手を伸ばして、絵を掴んだから、
そして落ちて、死んだ、
私が? 死んだ?
じゃあ私は誰?
「セバスチャン、私 死んだの?」
私はそのまま意識を手放してしまった。
————————
ローガンは報告を聞いた。
多分、あの、事故の事でしょう。
セバスチャンは言った。
白い暖炉は一箇所だけ。
アナベルの部屋だけだ。
マリアベルは アナベルの部屋の窓から落ちた。
燃やされたスケッチ ブック。
女神様とはコーネリアの事であろう。
あれは私が書いたものだ。
あの時は、暇さえあればコーネリアを描いていた。
そしてそのスケッチ ブックはマリアベルの手元で保管され
マリアベルの唯一の宝物になった。
「私のお母様なの、お父様がお書きになったのよ。」
誇らしげにセバスチャン達に語っていたと言う。
マリアベルの落下は
アイラ達がスケッチ ブックを燃やし、絵を窓から投げ捨てた。
それを取ろうとして、マリアベルは落ちた
という事だろう。
なのに私ときたら•••••
「マリアベルは同情を引く為に落ちたと嘘をでっち上げた」
「あの子はアナベルの宝石を盗もうと部屋に入った」
「わざと使用人のフリをして、気を引こうとしている。」
アイラ達の言葉を、信じた。
いくら、薬で思考力が無くても
絶対に守ると誓った娘に対して•••••
スケッチ ブック、
あの2人に燃やされたのだ。
私の絵、幸せだった頃の思い出、
ああ、私は何故こんな愚かな事をしでかしたのだろうか。
最愛の娘を傷つけてまでカラに閉じこもっていた。
悔やんでも悔やみきれ無い。
ランディエール侯爵に
「付け入る隙を与えてた私が悪い」
と、言われた
そう、私は王の娘を娶り、侯爵という高い地位を受け、直轄地という恵まれた土地を手にした。
未熟な私がおかしな輩に付け入られぬよう、王は信頼出来る使用人を付けて下されたはずだったのに、
なのに私は、アイラに唆され、、、、
絶対、アイツらを許さない。
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