転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール

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第二章

ウーラノスと姫 2

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[ウーラノスの話]

以前より話し合い、姫の卒業後早めに結婚する事にはなっていた。

普通であるなら、卒業後、直ぐに社交の場に出る。

まず手始めは国内の卒業生を一堂に集めた王宮でのパーティーだ。

しかし、姫は社交の場に出る事は出来ない。

マリアベル姫は独り身では表には出せないと判断された。

アキフューズのように外国から圧力がかけられてたりしても、すでに結婚していれば断る言い訳になる。
婚姻していれば純潔とはみなされないので懸想する男も減るであろう。

全てはマリアベル姫御身の安全の為である。

卒業パーティーの次の日、その事を話し合う為にノーザンコートのディナーに呼ばれた。

マリアベル姫は本当にお美しく成長された
本当に女神と言っても過言ではない。
ああ、ずっと見つめていたい

しかし、姫と目が合うと気恥ずかしかなり、ついつい目線をそらしてしまう。


だが、姫の表情が冴えない。
昔はいつもニコニコと笑顔がとてもお可愛らしかったのだが•••

何か思い詰めたような、、、

やはり、私のようなオジサンに嫌気がさしたのか、、、



食後、シガーと酒を楽しむために談話室へ移った。
そこで今後の事、つまりマリアベル姫との結婚を話しあった。

これ程までに美しく成長されたマリアベル様。
この方がパーティーに出るなど自殺行為だ。
パーティーの行きも帰りも、パーティー会場ですら危険が伴う。
男の欲望に晒されてしまう。

私も早めがよいでしょう!と提案した。

ノーザンコート伯爵は、いつ姫が結婚してもよい様に準備はしてあると言っていた。



そして、伯爵はそれをマリアベル様に告げた。

それを聞いた姫は、震えていた。

やはり、私との婚姻は嫌になったのであろうか?

姫は私を好きだと言って下さったのに•••
この三年の間、誰か心に留める方が現れたのであろうか?
もし、そうであるなら俺はどうすれば•••

俺は不安で胸が押し潰されそうになった。



******************


[マリアベルの話]

朝、目が覚めて思った。

私の前世、昭和30年頃までは、結婚なんて、父親が勝手に、決めるものだった。

女学校を中退して嫁に行った子もいた。

結納の時にお相手と初めて顔を合わせたと言う子も多い。

かくいう私も、見合いで一回会ったきりで家同士で結婚が決められて嫁いだ。

結婚なんてそんなものだ。

いまさらクヨクヨしてどうする。

私を守る為と言うのならば、ウーラノス様にはご迷惑をかけるが、一回結婚すればよい。

あいにく私には資産がある。
クラレンスという家もある。
ダメなら離婚して帰ればよいのだ。

よし! そう思ったら元気が出てきた

ドゥラーク家の人々は、とても私に好意的だ。
いざとなったら、私は王都、ウーラノス様は領地、別居してもいい。
昔から、『亭主元気で留守がいい』と言うじゃないの。

そう考えると悪い事ばかりじゃない気がする。

うん、ウーラノス様が、殴る蹴るする人じゃ無いだけマシだわ!


第一に、同年代の方は孫に見えてダメ!夫になんて考えられない。
私、おばあちゃんだからなぁ~、本当はお祖父様位の年の方がいいんだけど、、、
ウーラノス様だと 息子の年?夫として最低妥協ラインよね。

それに、よく見たら[ユル•ブリンナー]にチョット似ているだけだし、あの時はソックリに見えたんだけど••••
これが[吊り橋効果]だったのかしら?

ウーラノス様は、好条件、若い子の言う優良物件てヤツじゃないですかぁ

目指せ!成田離婚 
(これ、TVで見て、カッコ良かったから言ってみたかったのよね!テヘ)

ダメなら、別居結婚から円満離婚への道!


私は前向きに物事を考える事にした。




気分転換にジェイコブの畑を見に行く事にした。

私にお付きの人が増えた
ガブリエルとドゥラークから派遣されたメリッサである。

メリッサは褐色の肌を持ち、ムチと投げ道具の得意な女性だ。
侍女服だったのだか、ガブリエルのパンタロンとフリルシャツが気に入り今は男装の麗人となっている。
私は2人に挟まれ、気分は某歌劇団である

私は、お気に入りの演目のセリフを呟いた。

「 私は運がいい!
 強いだけが男らしさではない。
 優しく、おもいやりのある男性こそが、男らしい、真の男なのだということに気づいた時、
 たいていの女は、年老いてしまっている。」

(確か、こんなセリフだったかしら?)


何故かメリッサは感動して涙を流していた

「旦那様はこの様な思慮深い方に愛されて、、、待っていた甲斐がありました!」

なんか、勘違いされたようだった。



郊外のジェイコブの家は今はハロルドが管理している。

家にはハロルドとジェイコブ、スティーブンがいた。何やら話し合いをしていた。

「お邪魔かしら?」

「あっ、姫様!、今、菜種カスの発酵肥料のデーターを纏めていたんですよ!」
よいデーターが取れたらしく、ハロルドは大層ご機嫌であった。 

「マリアベル様、卒業おめでとうございます。次はご結婚ですね!お忙しいくなりますね。」
スティーブンはそう言ってお茶を入れてくれた。

「あら、耳が早いのね」

「ええ、マリアベル様のご結婚は五家と王家で話し合いされていましたので。
ですから今回のアキフューズとの友好の使者も、ドゥラーク卿の体制を整えるために急ぎ招かれたのですよ!」

「まあ、そうだったのね!
ところで、ジェイコブ様、王族の離婚は可能なのかしら?」

「そうだな、王と王妃の離婚は聞いた事はないが、、、
王子から臣下になった者は普通に離婚は出来るぞ。
誰か離婚したのか?」

「ええ、将来の参考にと思って」

「えっ!!!」

ジェイコブとスティーブンは顔を見合わせた。

「お前、まだ結婚もしていないのに離婚を考えているのか?」

「だって、もしかの時に円満離婚したいじゃありませんか•••」


**********

スティーブンは思った。
今年の卒業パーティーの話題と言えば、、、
ラストダンスのマリアベル様とドゥラーク卿の話で持ちきりだった。

暗闇からサッと現れマリアベル様を攫うようにダンスを始めたドゥラーク卿が本当に[夜の王]のようで如何にカッコよかったか、、

マリアベル様を見つめ顔を赤らめて俯かれた様子が、まるで少年のように初々しかったとか、、

マリアベル様を細心の注意を払いエスコートをする様は、まるで壊れやすいガラスの人形を扱うかのようで愛情あふれていたとか、、

どう見ても、愛されているのではないのか?

何故 離婚なのか???

スティーブン•アルビスは、
「女心は全く分からん」そう、心の中で呟いた。

********************









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