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第二章
マリアベルの両親と加護
しおりを挟むマリアベルが、神殿と共に立ち上げた [女性保護団体] の書類がやっと形になった。
「ちょっと見切り発車的な所もあるけど、形にはなったわね。
皆様、ありがとうございます。」
クレイ法務大臣の長男、ジャスティン•クレイは書類の束を纏めていた。
「これを30部作ってありますので、明日にも評議会に提出して来ます。
取り敢えず、認可をもらいましょう。
それから、また、改訂して行けば良いでしょう。」
「じゃあ、クレイ様、提出お願いしますね!」
「では、また後日、」
そう言うとジャスティン•クレイは事務所に、帰って行った。
************
「 さて、私も始めましょうか !」
私はそう言うと、ドレスを脱ぎ、肩にケープを巻いて、ドレッサーの前に座った
「マリアベル様、お化粧直しでしょうか?」
侍女3人組が、私の側に来て聞いてきた。
私はハサミを持ち、髪をチョキンと切った
「キャー、マリアベル様、おやめください、
誰かー、マリアベル様がー、止めてーー」
私は、ハサミを持つ手を押されられた。
ガブリエルが飛んで来た。
「どうされましたか?」
私の、髪の毛を見たガブリエルは
「プププ、お嬢様、やっちゃいましたねー!髪がガタガタですよ!
私が整えましょうか?」
「 ダメです、これ以上は切らないでぇー」
侍女さん達は悲痛な声で言った。
でも、切っちゃったものは仕方ない。
「ガブリエル、揃えてくれるかしら?
これくらいに揃えたいの。お願いね!」
私は顎先位の場所を手で示した。
「ガブリエル様、やめて下さいぃぃぃ」
「 お嬢様が切りたいと言うんだから、切らせてあげればいいだろう、なあ、メリッサ 」
メリッサは、コクコクとうなずいた。
ガブリエルはノリノリでチョッキン チョッキン、とハサミを、走らせる。
「さあ、出来上がりましたよ。」
ケープを外すと、左右の長さが違っていた。
「アハハハ、ガブリエル下手っぴー!!!」
「おかしいなぁ、ちゃんと切ったつもりなんだけどなぁ、、、」
「やっぱり、専門の髪切り職人を頼んできますね!」
ガブリエルがそう言ったので、私は、ついでに茶の染め粉も頼んだ。
「あれ、染めるんですか?
その長さに、茶の髪、昔みたいですね!」
「ガブリエル様、姫様を、止めて下さい、お願いします、、、」
侍女達が泣きながらガブリエルの足にしがみ付いた。
ガブリエルは言った
「 お嬢様は思いつきで暴走されますが、それには絶対に何が訳があります。
ねえ、お嬢様!」
「 さっすが!ガブリエル。よくわかっているわぁ~♡
金のマリアベルはいなくなるのよ!必要なのは ”ただの女神の依代の娘”
それには、普通の外見がいいのよ!
金持ちの我儘娘が、女性の保護を説いても、ただの金持ちの道楽だ思われるだけだわ!」
「 それにね、もうカツラかぶるのイヤなのよぉねー 」
あれ、暑いし、頭蒸れちゃうし、重いし、痒いと掻けなしい、、、、
私は独り言のように、ブツブツ文句を言った
~~~~~~~~~
マリアベルは、前世の女性活動家を真似て見ようと思ったのだ。
断髪でスーツでカッコ良かった!
“ ウーマンリブ ” そう呼ばれていたアメリカの女性解放の活動家
さすがに、スーツは無理だけど、ワンピースじゃなくてセパレーツ型にして、スカートはシンプルなAラインがいいわね!
[ 女性解放の母 マリアベル•クラレンス ]
うふふ、素敵な響きだわぁ~
マリアベルは、ちょっと妄想にふけっていた
~~~~~~~~~~
マリアベルが一生懸命にプレゼンの練習をしていると、来客の前触れがあった。
トラビス王の訪問である。
私は、衣服を整え、いつもの金のカツラをかぶる
「髪を切った事はナイショよ!」
皆に口止めをした。
陛下は大きな絵を持参していた。
人払いをした陛下は絵に掛かっていた布をは外した。
私は息を呑んだ
黄金色の巻毛の男性の肖像画であった。
博物館にあるアポロン像を、そのまま漫画にしてそれを擬人化したような•••
トラビス王は言った。
「 麗しいだろう。これがアーサーだ、
お前の本当の父親だ。」
ああ、陛下は私にこれを見せたかったのね!
でも•••
私この人知っている、誰だっけ?どこで見たんだっけ?
そして陛下は、胸元から懐中時計を取り出して、後ろ側の蓋を開けて見せた
「そしてこれが、お前の母、コーネリアだ」
これって、ギリシャ旅行に行った時見た”アルテミス像”ソックリ
アポロンとアルテミスは、たしか、何とか島で生まれたって、ガイドさんが言ってたけど•••
これって女神さまだよね?
私の母親って女神様のソックリさん?
確かに2人とも異常に綺麗なんだけど、、、
何だか漫画っぽい。
やっぱり、知っている気がする
「アーサーはな、太陽王の生まれ変わりと
言われていた程の美男子だったのだよ。」
(ふむふむ、そりぁ、アポロンそっくりだもんね)
「 そして、コーネリアは女神様の再来といわれておった」
( まー、アルテミスだからねー、そーだよね
)
「そして、コーネリアはケイ様の腹にいた時から銀の煌めきを漂わせていた。
お前もコーネリアの腹にいた時は、金の煌めきを出していたと言う。」
「じゃあ、私がキラキラするのは母からの遺伝なんですね!」
私がそう聞くと王は答えた。
「 金はアーサーから、銀はコーネリア、
これから運命に飲み込まれる娘に、2人は最大の加護を残したのであろう。
まだ、ハッキリとした事は分からんが、私はそう思っておる。」
そうだったのか!
加護はギフト、いただき物だとアビゲール様が言っていた。
私の煌めきの加護は、実の父と母からのプレゼントだったのか••••
顔を見ることも出来ない娘の為に、、、
自分で育てる事が出来ない娘を案じて、、、
そう思ったら胸が熱くなり涙が浮かんで来た。
陛下は私の手を掴み、以前贈った三連リングを撫でた。
「 お前のこの指輪、黒にはケイ様の髪、銀にはコーネリアの髪を芯に入れ込んであると以前言ったであろう。
金にはアーサーの髪が入っているのだよ。
皆の加護があるようにとな、、、」
本来なら、本物のマリアベルちゃんが受け取るべき指輪。
私でよいのだろうか?
私がマリアベルになってもよいのであろうか•••
女神様が ”好きに生きてよい” と言ってくれた。
そうよ!私は、マリアベル•光子•クラレンス
女神様からマリアベルの生を引き継いだのよ!
だから、過去もこれからの未来も引き継ぐ。
そう心に決めたのだった。
「 陛下、私の幸せは沢山の人によって支えられてきたのですね!」
私は陛下の手を握り返した。
「 確かに、皆が支えて来たが、掴み取ったのはお前だ!
お前自身の決断が “幸せな結末” を掴み取ったのだよ。」
「私、まだ人生長いんですのよ!
離婚もしましたし、これから女性の会の設立もあります。
人生の結末なんてまだまだ先の話ですわよ。」
何となく、吹っ切れたように感じた
「ハハハ、それもそうだな、」
「 ケイ様が未来を語った日記があるのだ。
その写しがノーザンコートにある。よかったら見せてもらいなさい。
神の国の言葉で書かれてあるので読めないのだかな!
お前の祖母の日記だ!是非目を通しておきなさい 」
「 はい 」
(神の国の言葉?どんな字なのかしら)
~~~~~~~~~~~~~
夜、布団に入って眠りにつく。
ウトウトとして、、、、
あっ、あれ?、あれだ!
孫が見せてくれた携帯の待ち受け写真
キラキラとして 雪の中で、幸せそうに抱き合っている男女の絵
確か、ゲームの一場面だって言っていた。
これが欲しくて、課金したとか••••
あれ、コーネリアとアーサーだ!!!
てっ、ことは? コーネリアとアーサーはゲームの中の人???
でも私、生きて動いているし••• 変な感じ。
この世界、やっぱりゲームと同じ世界なのかしらね!
てっ、ことは、やっぱり私が悪役令嬢?
悪役令嬢は修道院に行くから、、、
やっぱりそうよねぇ、決まりだわ!
[悪役令嬢マリアベル]
フフフ、だから私、学園で嫌われてたのね。
まぁ、思い出したから安心したわ。
明日も忙しいからもう寝なくっちゃ
( 真実に近づきつつも、やっぱり異世界転生の意味がよく分かっていない、おばあちゃんであった)
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