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そして、夜
「竜也君遅いね、連絡来た?
事故とか事件とか大丈夫かなぁ・・・。」
19時になっても私の家に来ていない佐藤先輩のことを自分の息子のように心配しているお母さんが、38回目のその言葉をキッチンから言ってきた。
「あ・・・・っ、連絡来た・・・・・!」
春になり変えた、部屋着のロンTとショートパンツでリビングのソファーでゴロゴロとしながらスマホを開くと・・・
「あ、佐藤先輩のお母さんだった。
”洗濯物を畳んでくれたのって晶ちゃんだよね?
ありがとう、凄く助かる!
また是非やって!!。"だって。」
佐藤先輩のお母さんに返事を打っていると、ハンバーグを焼き始めた感じのお母さんがクスクスと笑い始めた。
「竜也君のお母さん、家事苦手だもんね~。」
「ご飯とか本当にヤバいよ。」
「それ絶対にみんな大袈裟なんでしょ~。
お母さん可哀想だよ~。」
「いや、本当にヤバいんだって!
佐藤先輩がうちでご飯を初めて食べた時なんてめっちゃ美味しいって言って泣いて、ヤバかったじゃん!」
「何でも大袈裟な子だよね~、竜也君。
でも良かったよ、一人っ子の晶のお兄ちゃんみたいになってくれて。
晶が初めて剥いたりんごなんて食べるところが全然なかったのに、”美味しい美味しい、こんな美味しいリンゴは初めて食べた、世界で1番美味しい"って大騒ぎしてくれる人なんて、普通いないよ?」
「そうだね。」
佐藤先輩が中学を卒業してからは剥くことはなくなったリンゴ。
私が剥いたリンゴを凄く凄く喜んでくれていた佐藤先輩の顔を思い出していた時・・・
「彼女との別れ話に揉めてるのかな・・・。
今回は3ヶ月も続いてるんでしょ?」
お母さんがそう聞いてきた。
「そうだね。」
「良い子なのにいつも振られちゃってね~。
バスケばっかりだからかなぁ?」
「昨日は磯貝さんの彼氏から、私のせいだみたいなことを言われた。」
「晶のせいって?」
「私がいるから、みたいな。」
「妹がいるのは竜也君だけじゃないのに?」
「ね。」
「まあ、高校生になってもまだこんなに仲良しなのは少ないのかな?
お母さんも一人っ子だからよく分からないけど。」
「どうなんだろうね。
でも、花音ちゃんと佐藤先輩も今でもめっちゃ仲良しだよ?」
「あそこも仲良いよね~。
この前お母さんから聞いたけど、花音ちゃんが”早く寝たいから”っていう理由で竜也君のお風呂中に入っていって、お母さんが止めたのに2人で普通にお風呂に入って普通に出てきたって心配してたよ。」
「それ昔からよくあるやつじゃん、今更?
でも普通に入ってたんだ?
佐藤先輩は”また入ってきた!マジで頭ぶっ飛んでる!”とか怒ってたのに、普通に入って普通に出てきてたんだ、ウケるね。」
「晶は本当の妹じゃないんだから、竜也君とお風呂とかはダメだからね?
今日も部屋に入ってもちゃんとドアは開けておいてね?」
「そんなのは分かってるしドアも開けておくけど、佐藤先輩と私が変なことするわけないじゃん。」
「それはそうだけど、本当のきょうだいとかイトコでもちょっと何かあったりするとか聞いたことがあるから、女の子一人っ子のママからすると結構心配よ~。」
「お母さん過保護過ぎるもんね。」
「女の子だもん、何かあってからでは本当に遅かったりするから、それは心配よ。
彼氏とかまだダメだからね?
まだ晶には早いからね?」
「それ佐藤先輩にも言われたやつ!」
「やっぱり!?
やっぱり晶のことでは竜也君とお母さんは同じ考えなのよぉぉぉ。
高校生の男の子なんて絶対ダメ!!
晶のことを一生大切にしてくれる覚悟なんて高校生の男の子になんて絶対ないからね!!」
「誰もそんな覚悟で付き合ってないでしょ。
佐藤先輩だって別れまくってるじゃん。」
「そこが不思議でねぇ。
竜也君は高校生でもちゃんとしてそうなのに、何であんなに振られちゃうんだろうねぇ。」
「あ、でも今日の朝練で彼女に怒ってた。
ていうか、昨日も今日も私にも怒ってきたよ。
結構怖かった。」
「竜也君が怒ったの?
よっぽど許せなかったんじゃない?
何したの?」
「それがよく分かんなくて。
あ、連絡来たよ、今駅だって。」
「学校の?」
「違う、家の。」
「もぉぉぉぉ~っ!!!
竜也君っていつもそういうのは遅いの!!!
何回怒っても全然直らない!!!
のんびり準備しちゃってたよぉぉぉ!!
後でまた怒ろう!!!」
お母さんが本気モードで夜ご飯の準備を進め始めた。
「竜也君遅いね、連絡来た?
事故とか事件とか大丈夫かなぁ・・・。」
19時になっても私の家に来ていない佐藤先輩のことを自分の息子のように心配しているお母さんが、38回目のその言葉をキッチンから言ってきた。
「あ・・・・っ、連絡来た・・・・・!」
春になり変えた、部屋着のロンTとショートパンツでリビングのソファーでゴロゴロとしながらスマホを開くと・・・
「あ、佐藤先輩のお母さんだった。
”洗濯物を畳んでくれたのって晶ちゃんだよね?
ありがとう、凄く助かる!
また是非やって!!。"だって。」
佐藤先輩のお母さんに返事を打っていると、ハンバーグを焼き始めた感じのお母さんがクスクスと笑い始めた。
「竜也君のお母さん、家事苦手だもんね~。」
「ご飯とか本当にヤバいよ。」
「それ絶対にみんな大袈裟なんでしょ~。
お母さん可哀想だよ~。」
「いや、本当にヤバいんだって!
佐藤先輩がうちでご飯を初めて食べた時なんてめっちゃ美味しいって言って泣いて、ヤバかったじゃん!」
「何でも大袈裟な子だよね~、竜也君。
でも良かったよ、一人っ子の晶のお兄ちゃんみたいになってくれて。
晶が初めて剥いたりんごなんて食べるところが全然なかったのに、”美味しい美味しい、こんな美味しいリンゴは初めて食べた、世界で1番美味しい"って大騒ぎしてくれる人なんて、普通いないよ?」
「そうだね。」
佐藤先輩が中学を卒業してからは剥くことはなくなったリンゴ。
私が剥いたリンゴを凄く凄く喜んでくれていた佐藤先輩の顔を思い出していた時・・・
「彼女との別れ話に揉めてるのかな・・・。
今回は3ヶ月も続いてるんでしょ?」
お母さんがそう聞いてきた。
「そうだね。」
「良い子なのにいつも振られちゃってね~。
バスケばっかりだからかなぁ?」
「昨日は磯貝さんの彼氏から、私のせいだみたいなことを言われた。」
「晶のせいって?」
「私がいるから、みたいな。」
「妹がいるのは竜也君だけじゃないのに?」
「ね。」
「まあ、高校生になってもまだこんなに仲良しなのは少ないのかな?
お母さんも一人っ子だからよく分からないけど。」
「どうなんだろうね。
でも、花音ちゃんと佐藤先輩も今でもめっちゃ仲良しだよ?」
「あそこも仲良いよね~。
この前お母さんから聞いたけど、花音ちゃんが”早く寝たいから”っていう理由で竜也君のお風呂中に入っていって、お母さんが止めたのに2人で普通にお風呂に入って普通に出てきたって心配してたよ。」
「それ昔からよくあるやつじゃん、今更?
でも普通に入ってたんだ?
佐藤先輩は”また入ってきた!マジで頭ぶっ飛んでる!”とか怒ってたのに、普通に入って普通に出てきてたんだ、ウケるね。」
「晶は本当の妹じゃないんだから、竜也君とお風呂とかはダメだからね?
今日も部屋に入ってもちゃんとドアは開けておいてね?」
「そんなのは分かってるしドアも開けておくけど、佐藤先輩と私が変なことするわけないじゃん。」
「それはそうだけど、本当のきょうだいとかイトコでもちょっと何かあったりするとか聞いたことがあるから、女の子一人っ子のママからすると結構心配よ~。」
「お母さん過保護過ぎるもんね。」
「女の子だもん、何かあってからでは本当に遅かったりするから、それは心配よ。
彼氏とかまだダメだからね?
まだ晶には早いからね?」
「それ佐藤先輩にも言われたやつ!」
「やっぱり!?
やっぱり晶のことでは竜也君とお母さんは同じ考えなのよぉぉぉ。
高校生の男の子なんて絶対ダメ!!
晶のことを一生大切にしてくれる覚悟なんて高校生の男の子になんて絶対ないからね!!」
「誰もそんな覚悟で付き合ってないでしょ。
佐藤先輩だって別れまくってるじゃん。」
「そこが不思議でねぇ。
竜也君は高校生でもちゃんとしてそうなのに、何であんなに振られちゃうんだろうねぇ。」
「あ、でも今日の朝練で彼女に怒ってた。
ていうか、昨日も今日も私にも怒ってきたよ。
結構怖かった。」
「竜也君が怒ったの?
よっぽど許せなかったんじゃない?
何したの?」
「それがよく分かんなくて。
あ、連絡来たよ、今駅だって。」
「学校の?」
「違う、家の。」
「もぉぉぉぉ~っ!!!
竜也君っていつもそういうのは遅いの!!!
何回怒っても全然直らない!!!
のんびり準備しちゃってたよぉぉぉ!!
後でまた怒ろう!!!」
お母さんが本気モードで夜ご飯の準備を進め始めた。
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