【R18版】佐藤先輩と私(佐藤)が出会ったら【他サイトでのカットページ連載中】

Bu-cha

文字の大きさ
20 / 102
2

2-5

しおりを挟む
昼休み



楓やクラスの他の女の子達と机をつけてお弁当を食べていたら、「晶!」と女の子から私の名前を呼ばれた。



教室の扉の所にいる、1年の時も同じクラスだったその子の方を見ると、その子の隣にはバスケの格好のままの佐藤先輩がいた。



「久しぶりにお兄ちゃ・・・・ぁ、佐藤先輩が来たよ!」



私が怪我をしてからは教室までは1度も来なくなっていた佐藤先輩が、久しぶりに此処まで来たらしい。



「すみません・・・っ、私、晶の本当のお兄さんなのかと思ってて!!
名字も同じだし顔も結構似てるし、男バスとか女バスの子達も”晶のお兄ちゃん"って言ってて・・・!!」



「全然大丈夫だよ、晶の本物のお兄ちゃんだと自分でも思ってるし。
2年でも晶と同じクラスなんだね、晶と仲良くしてあげてね。」



「はぁい・・・っ。」



作ったニコッという顔で笑う佐藤先輩の顔を見上げている女の子の目が完全にハートになっているのを見て苦笑いをし、佐藤先輩の前まで辿り着いた。



「どうしたんですか?」



「今日さ、一緒に帰れなくなって、ごめんね。」



「なんだ、ビックリしました。
メッセージでそう送ってくれるだけで大丈夫でしたよ?」



「一緒に帰る約束してたし、晶が寂しがるかなって。」



「家にも来られなくなったんですか?」



「それは絶対に行くよ!!!」



「あ、そうなんですか?」



佐藤先輩が何を言いたいのか分からずに首を傾げると、佐藤先輩は少し不貞腐れながら口を開いた。



「今日は部活もないし学校で全然会えないじゃん。
昼練にも晶は来なくなっちゃったし、マジで全然会えないじゃん。
俺が寂しいから教室まで来たの!」



「あ、そうなんですかっ?」



思わず笑ってしまった私に佐藤先輩はムキになった顔になる。



「晶もちょっとは寂しがってよ。」



「えぇ・・・、あ、でも、私が膝を怪我しちゃった時は佐藤先輩が前みたいに話し掛けてくれなくなって、バスケが出来ない私のことを嫌いになったのかなって結構寂しかったです。」



「そんなはずないじゃん・・・、俺が晶のことを嫌いになるとか絶対ナイじゃん・・・。
むしろ、晶の怪我は俺のせいだと晶から思われてるんじゃないかと思って、すげー怯えてたよ・・・。」



「それこそ絶対ナイじゃないですか。」



「そう・・・?本物に?
俺のこと、嫌いになってない?」



「なってないですよ。」



「よかった・・・っっ!!!
晶に嫌われたかもと思うと死ぬほど怖かったんだよ!!!」



佐藤先輩がそう言い終わったタイミングで昼休みが終わるチャイムが鳴った。



「ヒマリから放課後に話したいことがあるって言われてさ!!
多分別れ話だと思うから速攻で晶の家に行くから!!
あ、晶のお母さんに”今日はハンバーグと生姜焼きが良いです"って連絡してあるから夜ご飯ハンバーグと生姜焼きだから!!」



「やったぁ、その組み合わせは佐藤先輩がいる時しか出してくれないからめっちゃ嬉しい~!!!」



”食べ切れない"という理由でその組み合わせは佐藤先輩がいる時しか食べられない。
久しぶりにハンバーグと生姜焼きが一緒に食べられる夜ご飯にめちゃくちゃテンションが上がった。



私が佐藤先輩に片手を出したタイミングで佐藤先輩も同じ動きをし、2人で久しぶりにハイタッチをする。



「こら・・・!佐藤、走るな!!」



「すみませんっ、5時間目は体育で!!
体育着に着替えておくの忘れた!!!
あ・・・・・・!!!!」



ロンTにバスパン、バッシュ姿で廊下を走り出していた佐藤先輩がキュッと止まり、私に振り返る。



そして片手で何かを投げてきた。



凄いスピードで、直線で私の所へと飛んできた小さな”何か"を、私も片手で普通にキャッチした。



私の手の中に届いた”何か"を確認すると、私の手の中には佐藤先輩の家の鍵があった。



「母ちゃんに洗濯物入れておけって言われててさ!!
家に行かないで晶の家にそのまま行くから、うちの洗濯物だけ入れておいて!!」



「分かりました~!!」



「あ!!!!例の男がどんな奴か見ておくの忘れた!!!!
まあ、いいや、サッカー部の奴から聞いておく!!!」



「佐藤!!!走るなって!!!」



「大丈夫です!!
俺誰にもぶつからないし!!!」



「そういう問題じゃ・・・・って、やっぱりはえぇなぁ~、陸部に欲しかった。」



陸上部の顧問の先生のその言葉には小さく笑った後、手の中の鍵をまた見下ろす。



そこには、中学の時に佐藤先輩の引退試合前に渡した、私が作った下手くそな”必勝"のお守りがついた鍵があった。



「こんなに下手くそでボロボロなやつ、恥ずかしいよ・・・。」



今でもこのお守りを他の人に自慢している佐藤先輩の姿を思い出し、本気で恥ずかしいと思ったら・・・



「兄妹っていうか、今の会話って普通にカレカノだよね?」



佐藤先輩が来たことを教えてくれた女の子がすぐ近くに立ったままだったらしく、驚いた顔をしながら私にそう言ってきた。



それには首を横に振った。



「全然カレカノなんかじゃないよ。」



”佐藤先輩が彼女と話してる時の顔って全然楽しそうじゃないから、全然彼氏と彼女じゃないよ。"



"私と話してる時は花音ちゃんと話してる時みたいにめっちゃ楽しそうに笑ってる。”



心の中だけでそう続けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

処理中です...