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それを聞いて、理子は涙を流した・・・。
不安になったから・・・。
怖くなったから・・・。
でも・・・
それでも、口を開いた・・・。
大きく、開いた・・・。
「理子のお母さんのことも、追い求めて欲しい・・・!!」
そう言って、口を開いた・・・。
「鮫島君の、お母さんを・・・?」
「違う・・・!!理子のお母さん!!!
理子のことを産んだお母さん!!!
お兄ちゃんの“お母さん”は現実世界に生きてる“お母さん”だけ!!!」
理子が叫ぶと真理姉の弟は少しだけ笑いながら頷く。
「鮫島君の妹の、お母さんを・・・僕が、追い求めるの・・・?」
「うん・・・理子が字を書けるようになっても、きっと理子にはお母さんのことを話してくれない人がいる。
お兄ちゃんが真理姉のお父さんにもそう約束させてた。」
「そう、なんだ・・・。」
すぐに頷いてくれない真理姉の弟に、不安になる・・・。
凄く、怖くなる・・・。
でも、口を開いた・・・。
「お兄ちゃんは理子のことを全然分かってくれない・・・!!
お兄ちゃんはお父さんのこともお母さんのことも知ってるのに・・・!!
理子は何も知らないんだよ・・・!?
何も・・・何も・・・!!!」
「うん・・・。」
「知りたいよ・・・!!
理子だって、お母さんのことを知りたいよ・・・!!!」
「うん・・・。」
「真理姉の弟なら少しだけでも分かってくれるでしょ・・!?
ちょっとだけでも・・・分かってくれるでしょ・・・!?」
「うん・・・。」
「追い求めて欲しい・・・!!
理子の代わりに・・・!!!
理子の代わりに、理子のお母さんを追い求めて欲しい・・・!!
理子が納得出来るように・・・追い求めて・・・!!」
そう叫んで、真面目な顔で理子を見詰めている真理姉の弟を見る。
そして、理子は握り締めた右手を真理姉の弟に伸ばした・・・。
1度も使っていない赤い鉛筆・・・。
ピンクが大好きな理子は、一緒に入っていた赤い鉛筆は使おうともしていなくて・・・。
まだ削ってもいない赤い鉛筆を真理姉の弟に向けて渡そうとする。
「まだ1回も使ってない理子の鉛筆。
赤で好きじゃないけど、でもまだ1回も使ってないのはこれしかなくて。」
理子の赤い鉛筆を見下ろしながら真理姉の弟は真面目な顔をしている。
「本当は理子が追い求めたいけど・・・。
でも、でも・・・!!!
理子には話してくれないかもしれないから・・・!!
真理姉の弟にしかお願い出来ない・・・!!
理子のことをちょっとでも分かってくれる真理姉の弟にしかお願い出来ない・・・!!」
赤い鉛筆を理子も見下ろしながら、口を大きく開ける・・・。
大きく、大きく、開ける・・・。
「この赤い鉛筆も一緒に連れて行って・・・。
赤い鉛筆だけど・・・理子だと思って、一緒に連れて行って・・・。」
赤い鉛筆から真理姉の弟の方を見ると、理子のことを見詰めていた。
そんな真理姉の弟に、最後にもう1度口を大きく開く・・・。
「お願い・・・!!!」
そう叫んだ理子を・・・
真理姉の弟はジッと見て・・・
それから、理子の赤い鉛筆を・・・
ゆっくりと、受け取ってくれた・・・。
不安になったから・・・。
怖くなったから・・・。
でも・・・
それでも、口を開いた・・・。
大きく、開いた・・・。
「理子のお母さんのことも、追い求めて欲しい・・・!!」
そう言って、口を開いた・・・。
「鮫島君の、お母さんを・・・?」
「違う・・・!!理子のお母さん!!!
理子のことを産んだお母さん!!!
お兄ちゃんの“お母さん”は現実世界に生きてる“お母さん”だけ!!!」
理子が叫ぶと真理姉の弟は少しだけ笑いながら頷く。
「鮫島君の妹の、お母さんを・・・僕が、追い求めるの・・・?」
「うん・・・理子が字を書けるようになっても、きっと理子にはお母さんのことを話してくれない人がいる。
お兄ちゃんが真理姉のお父さんにもそう約束させてた。」
「そう、なんだ・・・。」
すぐに頷いてくれない真理姉の弟に、不安になる・・・。
凄く、怖くなる・・・。
でも、口を開いた・・・。
「お兄ちゃんは理子のことを全然分かってくれない・・・!!
お兄ちゃんはお父さんのこともお母さんのことも知ってるのに・・・!!
理子は何も知らないんだよ・・・!?
何も・・・何も・・・!!!」
「うん・・・。」
「知りたいよ・・・!!
理子だって、お母さんのことを知りたいよ・・・!!!」
「うん・・・。」
「真理姉の弟なら少しだけでも分かってくれるでしょ・・!?
ちょっとだけでも・・・分かってくれるでしょ・・・!?」
「うん・・・。」
「追い求めて欲しい・・・!!
理子の代わりに・・・!!!
理子の代わりに、理子のお母さんを追い求めて欲しい・・・!!
理子が納得出来るように・・・追い求めて・・・!!」
そう叫んで、真面目な顔で理子を見詰めている真理姉の弟を見る。
そして、理子は握り締めた右手を真理姉の弟に伸ばした・・・。
1度も使っていない赤い鉛筆・・・。
ピンクが大好きな理子は、一緒に入っていた赤い鉛筆は使おうともしていなくて・・・。
まだ削ってもいない赤い鉛筆を真理姉の弟に向けて渡そうとする。
「まだ1回も使ってない理子の鉛筆。
赤で好きじゃないけど、でもまだ1回も使ってないのはこれしかなくて。」
理子の赤い鉛筆を見下ろしながら真理姉の弟は真面目な顔をしている。
「本当は理子が追い求めたいけど・・・。
でも、でも・・・!!!
理子には話してくれないかもしれないから・・・!!
真理姉の弟にしかお願い出来ない・・・!!
理子のことをちょっとでも分かってくれる真理姉の弟にしかお願い出来ない・・・!!」
赤い鉛筆を理子も見下ろしながら、口を大きく開ける・・・。
大きく、大きく、開ける・・・。
「この赤い鉛筆も一緒に連れて行って・・・。
赤い鉛筆だけど・・・理子だと思って、一緒に連れて行って・・・。」
赤い鉛筆から真理姉の弟の方を見ると、理子のことを見詰めていた。
そんな真理姉の弟に、最後にもう1度口を大きく開く・・・。
「お願い・・・!!!」
そう叫んだ理子を・・・
真理姉の弟はジッと見て・・・
それから、理子の赤い鉛筆を・・・
ゆっくりと、受け取ってくれた・・・。
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