152 / 241
9
9-19
しおりを挟む
そう言った時、お兄ちゃんのスマホが鳴った・・・。
珍しく、鳴った・・・。
珍しくダイニングテーブルの上に置いていたお兄ちゃんのスマホが、鳴った・・・。
「ごめん、ちょっと・・・。」
お兄ちゃんが慌てた様子で、でもスマホの画面を見て嬉しそうな顔をして立ち上がり、スマホを持って部屋に入ってしまった。
それには驚くしかなくて・・・。
「誰からの電話・・・?」
あんな顔でスマホを見たお兄ちゃんの顔を見るのは初めてで・・・。
震えてきた両手で自分のお腹に触れる・・・。
「どうしたらいいんだろう・・・。」
本当の兄妹にはなれない。
だからお兄ちゃんと妹で結婚も出来ない。
イライラする気持ちはお兄ちゃんに噛み付いても落ち着くことはない。
自分をたるませることで甘やかして、ほんの少しだけ落ち着く日々・・・。
お兄ちゃんではないのに・・・。
もう、お兄ちゃんと呼ぶのは違うのに・・・。
でも、私はまだ“お兄ちゃん”以外の呼び方では呼べなくて・・・。
お兄ちゃんがよかった・・・。
私はお兄ちゃんに、“お兄ちゃん”になって貰いたかった・・・。
そして、私を戴いて欲しかった・・・。
身体だけではなく、私自身も・・・。
それが叶わないと分かった今、私はどうやって生きていけばいいのか分からなくなってしまった・・・。
どうやって生き延びていけばいいのか分からなくなってしまった・・・。
それくらいに、私にとってお兄ちゃんは昔から“お兄ちゃん”で・・・。
大大大好きな人だったから・・・。
「1回くらい、戴いてくれれば良かったのに・・・。」
お兄ちゃんから戴いて貰えることのないこの身体は、整える意味などなくて・・・。
お兄ちゃんから戴いて貰えることのない私自身は、脱け殻のようで・・・。
空っぽになってしまった・・・。
お兄ちゃんから“お母さんのノート”を貰った日から染み渡り満たされたものが、また空っぽになってしまった・・・。
泣きながらお兄ちゃんの部屋を眺めていると、スマホを持ったお兄ちゃんが部屋から戻ってきた。
「・・・女からの電話?」
「え・・・?
いや、鮫島君からの電話・・・。」
「それは・・・驚き。」
何故かあっちのお兄ちゃんからの電話に喜びながら出たらしい。
珍しく、鳴った・・・。
珍しくダイニングテーブルの上に置いていたお兄ちゃんのスマホが、鳴った・・・。
「ごめん、ちょっと・・・。」
お兄ちゃんが慌てた様子で、でもスマホの画面を見て嬉しそうな顔をして立ち上がり、スマホを持って部屋に入ってしまった。
それには驚くしかなくて・・・。
「誰からの電話・・・?」
あんな顔でスマホを見たお兄ちゃんの顔を見るのは初めてで・・・。
震えてきた両手で自分のお腹に触れる・・・。
「どうしたらいいんだろう・・・。」
本当の兄妹にはなれない。
だからお兄ちゃんと妹で結婚も出来ない。
イライラする気持ちはお兄ちゃんに噛み付いても落ち着くことはない。
自分をたるませることで甘やかして、ほんの少しだけ落ち着く日々・・・。
お兄ちゃんではないのに・・・。
もう、お兄ちゃんと呼ぶのは違うのに・・・。
でも、私はまだ“お兄ちゃん”以外の呼び方では呼べなくて・・・。
お兄ちゃんがよかった・・・。
私はお兄ちゃんに、“お兄ちゃん”になって貰いたかった・・・。
そして、私を戴いて欲しかった・・・。
身体だけではなく、私自身も・・・。
それが叶わないと分かった今、私はどうやって生きていけばいいのか分からなくなってしまった・・・。
どうやって生き延びていけばいいのか分からなくなってしまった・・・。
それくらいに、私にとってお兄ちゃんは昔から“お兄ちゃん”で・・・。
大大大好きな人だったから・・・。
「1回くらい、戴いてくれれば良かったのに・・・。」
お兄ちゃんから戴いて貰えることのないこの身体は、整える意味などなくて・・・。
お兄ちゃんから戴いて貰えることのない私自身は、脱け殻のようで・・・。
空っぽになってしまった・・・。
お兄ちゃんから“お母さんのノート”を貰った日から染み渡り満たされたものが、また空っぽになってしまった・・・。
泣きながらお兄ちゃんの部屋を眺めていると、スマホを持ったお兄ちゃんが部屋から戻ってきた。
「・・・女からの電話?」
「え・・・?
いや、鮫島君からの電話・・・。」
「それは・・・驚き。」
何故かあっちのお兄ちゃんからの電話に喜びながら出たらしい。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
無表情いとこの隠れた欲望
春密まつり
恋愛
大学生で21歳の梓は、6歳年上のいとこの雪哉と一緒に暮らすことになった。
小さい頃よく遊んでくれたお兄さんは社会人になりかっこよく成長していて戸惑いがち。
緊張しながらも仲良く暮らせそうだと思った矢先、転んだ拍子にキスをしてしまう。
それから雪哉の態度が変わり――。
ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~
cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。
同棲はかれこれもう7年目。
お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。
合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。
焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。
何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。
美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。
私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな?
そしてわたしの30歳の誕生日。
「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」
「なに言ってるの?」
優しかったはずの隼人が豹変。
「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」
彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。
「絶対に逃がさないよ?」
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?
藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。
結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの?
もう、みんな、うるさい!
私は私。好きに生きさせてよね。
この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。
彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。
私の人生に彩りをくれる、その人。
その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。
⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。
⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる