【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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りーちゃんのお母さんと僕のお父さんが困った顔で笑いながら、僕の家から走って出ていったりーちゃんの後ろ姿を見た。



りーちゃんのことを追いかけようと思ったけれど、その前に桃子さんに聞いた。
この場では僕だけしか聞けないと思い、ガンガン聞いた。



とても大切なことを、聞いた。



「どうして分かるの・・・?
ちょっとだけでも、どうしてりーちゃんの気持ちが分かるの・・・?」



「・・・お前、どうした!?」



僕が桃子さんに聞くと、お父さんが凄く驚きながらそう言ってきた。



「豊、最近こういう感じだよ・・・。
お父さんは・・・夜遅くて朝早いから、全然知らないと思うけど・・・。」



「・・・すげーな!!別人かよ!!
加賀製薬で研修かなんかしたのか!?」



「違うよね・・・?
キャリアサービスOneTwoっていう、人材会社で・・・やってくれて・・・。」



「聞いたことある会社だな・・・。」



お姉ちゃんの言葉にお父さんが頷き、僕の方を見て・・・それから桃子さんの方を見た。



「うちの会社でも使ってみるか。
人材紹介は大手の所しか使ってないはずだけどな、成功報酬だから使うだけならタダだし。」



「私は人事とは無関係だから渡が言ってよね?
変に私のこと使うのやめてよ。」



「俺が信頼出来る奴なんて数えるくらいで、そんなに重要でもないことなら桃子くらいの奴がサラッと言ってくれるくらいでいいんだよ。」



そんなことを僕のお父さんが言う。
“お父さん”の顔でも“秘書”の顔でもないお父さんが。



僕は知っている。
お母さんを追い求めてマツイ化粧品に行っていたから。
何度も何度も・・・。



僕のお母さんだけではない。
りーちゃんのお母さんも追いかけて、行っていたから・・・。



だから、知っている。
お父さんがこんな顔をして話すのは桃子さんにだけだと。



それなのに2人は恋人同士ではなかったらしい。



りーちゃんみたいな感じなのかなと、思った・・・。



“かぞく”としての好き・・・。



“かぞく”としての、大好き・・・。



僕とりーちゃんみたいなことをしているのかは分からないので、大大大好きかどうかまでは分からないけれど・・・。
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