【完】お兄ちゃんは私を甘く戴く

Bu-cha

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「この動画を見るとさ、もっと頑張りたくなるよね。」



お兄ちゃんの破壊力抜群の笑顔の後に動画が終わり、米倉さんがそう言った。



「社内でも凄い話題になってる。
岩渕君って演技が出来るような子でもないから、本心での言葉だってみんなも分かるからね。」



「うん、そうだよ。
お兄ちゃんは嘘も社交辞令も言わない。
だから私も知ってる。
リアルが1番人を惹き付けて納得させられるって。」



「うん、凄く惹き付けられて納得させられた。」



米倉さんがそう言った後、両手を天井に上げて伸びをした。



「そろそろ私も戦場に戻ろ~!!」



「私と喋って、閃きは生まれましたか?」



私が聞くと米倉さんは驚いた顔で私を見下ろした。



「研究室の1番若い男の人も最近私に沢山話し掛けてくるからね。
その人が言ってた、文系の人と話すよりも私と短時間でも話す方が閃きが生まれるって。」



「・・・ごめんね、利用したみたいになってて。」



「使っていいに決まってるじゃん。
うちの会社はどんな武器でも使わないといけないんだから、私のこともガンガン使ってよ。」



私がそう言って笑うと、米倉さんも安心した顔で笑った。



そして・・・



「5キロくらい痩せたのかな?
そろそろプロポーズのリベンジ出来そう?
あの動画の続があるんじゃないかって、楽しみにしちゃうから!!」



そう言ってきて、私は頷いた。



「5キロ痩せたよ!!
痩せただけじゃなくて綺麗に戻してる!!
ちゃんと整えてある!!」



「若いから戻るのも早いね、羨ましい!!」



「あの人が私にナンパをしたのは、私の見た目とか若いからだけじゃないと思うよ?」



私の噛み付きに米倉さんが驚いた顔をしているので、また噛み付いた。
でも、甘噛みで。



「営業部の5位の人、あの動画をアップしてから成績3位になったよね!!
米倉さんと仲良しの人!!」



驚きまくっている米倉さんに続ける。



「米倉さん、あの人に“お仕事ファイトです”ってたまに言ってるでしょ?
米倉さんが研究一筋に見えて全然イケる気がしないから、あの人に“お仕事ファイトです”って自然と言っちゃった私に米倉さんを重ねてただけだと思うよ?」



「なんで・・・それ・・・?」



「いや、だって入ってるから、カメラに。
カメラ持ってウロウロしてるじゃん、私。
米倉さんもあの人も最初からカメラ気にしてなかったから自然としちゃってたみたいだけどさ。」



「・・・そうだった?」



「うん、だから早めに捕まえておいた方がいいよ?
あの人あの動画で大々的に彼女募集しちゃったから、社内でも人気出てきちゃってるよ。
それまでは米倉さん一筋だと思われてたから。」



私がそう噛み付くと、米倉さんは何度も頷いた。



「これまでは閃きが生まれるから話し掛けられたら話してたけど、話し掛けられることもなくなって・・・。
それで、やっと自分の気持ちに気付いて・・・。
もう、無理だと思ってたけど・・・。」



「全然大丈夫でしょ、米倉さんがウロウロしてるとあの人めちゃくちゃ見てるよ。」



「・・・ありがとうございます。」



「今度お礼に、加賀製薬の美人姉妹としてお姉さんと特集組ませてよ。
相川さんと研究本部長、人事部長にはもう話し付けちゃった!
社長に就任する小町さんの特集までの布石の1つとして!!」



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