楽園異能力者

那月いくら

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2章 能力者だけの街

10話

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「あなたが、新入生の鹿島琉乃愛さんかしら?」
「…は、はい!」唐突に話しかけられて、声を上手く出せていなかった。
 「そう…。私は、高等部3年、紫紀宮雫しきみやしずく。このサークルの部長をしているわ。よろしく。」彼女は、無関心な顔をして言っていたけど、どこか、クールに見えるところがあった。

 「琉、琉乃愛、今の人知ってるか?」樺音は、彼女と話していた私を見ておどおどしていたのだ。
 「知らないけど。」名前は、いまさっき聞いたから、分かる。でも、樺音がびびっているということは、何かあるに違いない。
 「か、彼女…紫紀宮さんは、この学園のセイスティアなんだ。」
 「セイスティア?」そういえば、理事長もセイ…何とかには、目をつけられるなと言っていたような。
 「セイスティアは、いわゆる、生徒会なんだ。でも、普通の生徒会とは、違って、規律に少しでも従わない者を断罪する集まりなんだ。しかも、セイスティアに入っている人は、全員、ランクが2S以上。だから、皆、彼女らを避けたり、逆に媚びを売ったりするんだよ。」これじゃあ、樺音達がびびるのも無理もない。
 
 樺音らの話によると、この学園には、生徒が学園を統治する生徒会長が居る。その生徒会長になるには、ランクが3Sでないとなれないらしい。もちろん、生徒会長が存在するなら、生徒会も存在する。でも、この学園では、生徒会ではなく、生徒会セイスティアと呼ばれている。セイスティアになるにしても、ランクが2S以上ないとなれない。なので、学園を統治しているのは、全員で、10人となる。

 「ふーん。セイスティア…ね。あんまり関わりたくないな。」琉乃愛は、目をつけられるタイプではなさそうだが、めんどくさいことには、関わりたくないタイプなのだ。

  
ー 帰宅後 ー

 「おねーちゃんたち、おかえり」狩魔が学園から帰ってきた私達を出迎えてくれたのだ。私は、ふと思ったことを樺音に言ってしまった。
 「そういえばこの子ってどんなステラを持ってるの?」
 「狩魔は、幻覚を作り出すことが出来る"幻覚イリュージョン"のステラだよ。」樺音が言い終わると同時に、私の周りをぐるぐる回るユニコーンが現れたのだ。私は、驚いていたが、すぐに誰の仕業かわかったのだ。
 「狩魔くん、ユニコーンありがとね。私、ユニコーン大好きだから、嬉しいよ。」琉乃愛は、狩魔の頭を撫でた。狩魔も琉乃愛の言葉が嬉しかったのか、最大限の笑顔を私に見せてくれた。

  20 : 30
 夕食を済ませた私は、いつも通り、部屋で服を用意し、寮の大浴場に向かう。
 寮の大浴場は、楽園の外の銭湯と比べ物にならないくらい広いのだ。他にも、毎日、温泉の種類が変わったりする。
 琉乃愛は、それを楽しみに、鼻歌を歌いながら行くと、ちょうど、奏音と鉢合わせしたのだ。
 「琉乃愛、一緒に入るか?」琉乃愛は、コクリと頷いた。
 彼女らは、お互い話すことがなく気まずい状況だった。
 「お前って、歌上手いんだな…」奏音は、気まずさを無くすために、自分から話しかけた。
 「ありがとうございます…。」琉乃愛は、締めくくるような言葉を返したので、また、彼女らは、沈黙が続いたのだ。

 「ねーちゃん、それじゃあ、ダメだよ。」2人は、突然声が入ったので、びっくりし、声の方を向くと、うすピンク色の髪をくくりあげた女の子が入ってきた。
 「だ、誰…?それに、今、ねーちゃんって…」琉乃愛は、混乱していたが、奏音は、ため息をついていた。
 「えっと、私の妹の…南零音みなみれのんだ。てか、零音、もうお風呂入ったんじゃなかったの?」
 「私、お風呂入ったなんて一言も言ってないけど」奏音は、零音の言動全てに呆れていた。
  「改めて、自己紹介しまーす。私は、中等部3年、南奏音の妹、零音です。ランクは、D、ねーちゃんとおなじ、1度見たものは忘れることが出来ない"瞬間記憶メモリー"のステラです。」

「そうだ、さっきのダメって何がダメなんですか?」琉乃愛は、気になって2人の間に割って入った。
 「ねーちゃんが、話切り出しても、話続かなかったのよね?」琉乃愛は、言われたことが当たっていて、思わず、奏音の前で頷いてしまったのだ。奏音は、琉乃愛の返事に傷ついて少し、よろめいたが、すぐに正気に戻った。
 「ねーちゃんがこの子と仲良くなりたいなら、まず、相手の事を知る必要がある。かと言って、密着するのはダメ。だから、相手に質問をするんだよ。相手を知るために。そうしたら、いつの間にか仲良くなるから。」奏音は、子犬のような感じで、零音の言うことを黙って聞いていた。
 (こんなに必死になって仲良くしてくれようとしてくれるんだから、私も努力しないと)琉乃愛は、今日から、奏音と仲良くなる努力をしようと、心に決める。

 
「先輩方、お先失礼します。」私は、2人にお辞儀をして、大浴場を出たのだった。
 
 
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