ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ

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 レベル5のダンジョンをクリアし、アキラの部屋に戻ってきた二人。

 雰囲気は最悪だった……



「あの……なんと申し上げればいいか……」



 花子に土下座をするアキラ。

 鬼の形相の彼女はアキラを見下ろす。



「アキラさん……あなたって人は!」



 顔と名前がバレてしまい焦る花子。



 しゃべらなければ超美人なルックスの彼女はあっという間にインターネット上ではアイドルになっていた。



「見てください! 大変ですよ! ネット掲示板では私のさっきの写真と名前で盛り上がってます!」



「うぅ……ごめんなさい……」



「どうしてくれるんですかッ! SNSのトレンドワードでも『#花子』が入って……ん? 『#花子 可愛い』『#花子 美人』……?」



 ネットで自分が可愛いと言われていることに気づいた花子。少々照れているようだ。



「と、とにかくですね……え? まあ!『#花子 女神』ですって!?」



「花子さん……喜んでる……?」



「!! な、なにを言ってるんですか!」



 赤面する花子。

 この時、正直なところ花子は自分の個人情報が公開されしまった不安より、『可愛い』『美人』とネット中で言われている状況がたまらない快感だったのだ。



「ふふふ……クールな花子さんも……女の子なんだねぇ」

 小馬鹿にするように笑うアキラ。



「……くっ! アキラさんは反省してください!!」



 アキラを引っ叩く花子だが、内心はまんざらでもなかった。

 彼女も人間、承認欲求を満たされたい気持ちもあるのだ。



 ◆



「トラブルもありましたが……今回の配信のチップは間違いなく過去最高額です!」



 花子の顔出しハプニングのおかげで、男性視聴者からはとんでもない額の投げ銭がされた。

 一瞬の出演にもかかわらず、圧倒的なルックスで男性視聴者の心を鷲掴みにしたのだった。



 ダンジョン配信ブームと言っても、まだ女性配信者は多くはない。

 ほどほどのルックスでも姫扱いをされる配信者界隈で、花子のビジュアルは神がかり的であった。



「うん……すごい額だね……毎回これくらいもらえれば……ゴクリ」



「これぞ配信者ですよ! 夢がありますね! まあ今回のチップは全部私がもらいますけどね」



「えぇ!? そ、そんな……」



「私の顔と名前を晒したくせに何を言ってるんですか! 今回のチップは慰謝料です!」



「うぅ……仕方ないか……」



 今回ばかりは自分が悪い、そう思いチップを彼女に譲ったアキラであった。





「ま、まあ花子さんのおかげで登録者も一気に増えたし、これからの配信でもチップは期待できそうだね」



「そうですよね……よし、決めました!」



 彼女はスマートフォンをいじり始める。



「花子さん、どうしたの?」



「……いえ、ちょっと……『会社を辞める』と会社の人事部にメールを……」



「えぇ!? 何言ってるんだよ! 今日はチップ稼げたけど、まだまだ安定した収入が入るほどの配信者じゃないぞ!?」



「アキラさん……ダサいですね。思考が昭和ですよ!」



「しょ、昭和って……」



「我々、Z世代はもっと自由に生きるべきだと思うんです!」



「……いつの間にZ世代代表になったのさ」



「とにかく! ここからは背水の陣です! 後戻りはできませんよ!」



「……勝負師だね。俺には真似できないよ」



「何言ってるんですか? アキラさんと二人で辞めるってメールしておきましたよ?」



「ええぇぇぇぇえ!? 俺もぉぉお!?」

 絶叫するアキラ、自分の知らないところで無職になるピンチが訪れていた。



「なんてことするんだよ!」



「アキラさん? 私はね、もう顔が晒されてるんです! 後戻りできないんですよ!!」



「うぅ……」

 鬼気迫る表情の彼女にたじろくアキラ。



「大丈夫です! 『アキラちゃんねる』は必ず成功します! 私を信じてアキラさんも配信者一本でやりましょう!

 いつもでも安月給のブラック企業で働くつもりですか?」

 彼女は拳を突き上げる。



「妙に説得力あるな……花子さんはセミナーでも開いた方がいいよ……配信者一本か……

 うん、それもありだな! あの会社にいたら腐ってしまいそうだ」



 花子の説得(洗脳?)に会社を辞める決心がついたアキラであった。

 しかし、当然、サラリーマンがメール一本で辞められるわけはない。



 次回、パワハラ上司との決戦が始まる!
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