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第一章 突然の出来事
思いがけない話
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口調がきつくなってしまうのは仕方がない。あの構図はどう見たって、ユーリ様とその側近対私だったから。
自分の味方だと思っていたロイまでがその中に居たことは、少なからずショックだった。冷たい目でロイを睨むと、ロイは目をそらした。
すると珍しく、トーマス様が話し始めた。
「ユーり殿下からは、パーティーの最初に重大な発表を行うから、私達側近は壇上に集まるように、と言わていた。発表自体はすぐに終わるから、パートナーは会場に待たせるようにとのことだった。だから、私達三人は、壇上で発表を待っていたんだ。内容については、その時まで秘密だからと言われ、聞いていなかった」
ロイが後を引き継いだ。
「君がいないのも、俺たちのパートナーと同じように、会場で待っているのだと思っていた。だから、君が一人で会場に入って来た時はびっくりしたし、状況が全くわからなかった。でも、壇上でみっともない様子を見せることもできないし、王子は落ち着いた様子だし、身動きが取れなかったんだ。でも、やっぱりごめん」
この二人は何も知らされていなかったのだろう。私から見ても、ロイは驚いている風だった。トーマス様は、いつも通り全くわからなかったけど、知らなかったという自己申告を信じるしかない。
「レイノルズ様とドロレス嬢は知っていたようね。そんな雰囲気だったわ」
ロイはブランデーを開けるとグラスに注いでトーマス様に渡した。自分の分も継ぐと、喉が渇いたと言いながら、グイッと飲んだ。
ロイは、美しくて繊細な容姿を裏切る、ワイルドな性格をしている。悪く表現すると、少々がさつなのだ。私の二つ年上で、兄がわりのようなものだ。ロイも一人っ子なので、幼少期から、兄妹のように仲良くしてきた。
もし彼に裏切られたら、多分私は寝込むだろう。そうではなくてよかったと思ったら、今度は安心して涙が出てきた。
そしてロイに抱きついて泣いた。気が済むまで泣くと、ロイがハンカチを渡してくれた。
「鼻の頭が真っ赤だぞ。そう言うところは、小さい時から変わらないな」
私は軽くロイを睨みつつも、素直にハンカチを受け取った。それで涙を拭くと、自然に見える厚化粧が、べったりとハンカチについてしまった。
向かいに座っているロイが、私の顔を見て噴き出した。
「た……狸。面白......」
はっと気付くと、トーマス様も私の顔を凝視している。だが、表情は変えてない。
さすがクールなトーマス様だわ。
そう思った途端に、トーマス様が急に後ろを向いた。肩がフルフルしている。やっぱり笑っているのね。
すぐにマリーが、男二人をたしなめてくれた。
「今の悲劇的な状況で、淑女の不幸を笑うなんて、紳士としてあるまじき行いです」
そこまでは良かったけど、振り向いた私を見て、マリーは口の中に袖を押し込んだ。
もういいわ。笑ってちょうだい。私の顔は、私には見えないけど、想像は出来るもの。
私はロイのハンカチを使って、顔の化粧を拭い落とした。一枚では足りなかったので、もう一枚と言ってロイに手を差し出したら、トーマス様が新しいハンカチを、私の手に載せてくれた。
私はハンカチで顔を隠しながら、トーマス様にお礼を述べ、化粧落としを続けた。途中段階だと、化粧がまだらになり、悪霊みたいな顔になっているはずだ。厚化粧は止めようと心に誓いつつ、せっせと化粧を落とした。
ひと段落着くと、トーマス様がブランデーの入ったカップを、手渡してくれた。
私はブランデーを一口舐めてから、長い吐息を吐き出した。
なんだか脱力してしまって、失恋の痛みも、悲劇的な境遇も、ポロリとどこかに、転げ落ちてしまったような気分だ。
「もう失恋を嘆くのは辞めるわ。私はもうユーリ様の事、好きじゃないみたい。泣くのも疲れてしまったわ」
「リディア嬢、落ち着いたようでよかった。ユーリ殿下の事は、吹っ切れたのですね」
トーマス様が真剣な顔をして私を見つめた。
「はい。何だかスッキリしました。私、ずっとすごく無理していたようです。私の顔、タヌキみたいだったでしょう。大人っぽく見せようと、たくさんお化粧したのです。自覚は無かったけど、愛されようと必死だったみたいです」
ロイが頭を撫でてくれた。
「いい子だよ。お前はすごくいい子だ。あんな男は忘れちまえ。嫁の行き先が無ければ、俺がもらってやるから、安心しろ」
これは昔からの、ロイの慰め言葉だ。婚約してからは聞いていなかった。久しぶりのセリフに、私はくすくす笑いだしてしまった。
すると、トーマス様が急にロイの前に身を乗り出した。
「嫁の行き先として、私はどうかな」
「はい?」
「おい、突然何を言いだすんだ」
トーマス様は真面目な顔をしている。冗談……じゃない……ようだ。
何を考えているのか分からないトーマス様は、喋ってくださっても、何を考えているのか分からない。
驚いた私は、ロイに助けを求めた。トーマス様の言葉が飲み込めないし、こんなことを言われたのも、始めてだったから。
ロイは私の横に座り、トーマス様に向かい合った。
「ちょっと信じがたいが、お前はこういった冗談を言うタイプじゃない。ということは、リディアを嫁に欲しいと、本当に思っているんだな」
トーマス様は黙って頷いた。
私にはちょっと理解が追いつかないわ。
いつも無表情の彼が、少し頬を赤くしている。これは焚き火の照り返しだろうか。
「よし、兄として、リディアに求婚することを許す」
「え、勝手に何を言い出すの? 私は、えーと、もう寝ます」
慌てて逃げようとした私を、トーマス様は逃してくれなかった。いつの間にか手を握られていて、彼のきれいな顔が、目に前にあった。
「初めて会った時からずっと、君の事を見ていた。最初の出会いの時、君は既にユーリ様の婚約者だったから、自分の気持ちを抑えようとして、なるべく関わらないようにしていたんだ。でも今はもう誰のものでもない。僕では駄目かな」
何てことでしょう。いつも無表情で冷たい印象のトーマス様が、すごく情熱的です。駄目とか何とかより、現実のこととは思えない。
周囲はシーンとしていた。タヌキ寝入りの兵士たちも、聞き耳を立てているのだろう。寝息すら聞こえない。
顔を上げると、真剣で情熱にあふれたトーマス様の目が、私を見つめている。
紺色に近い紫の瞳がとても綺麗。何だかボーッとしてきたわ。
そして、ふと思いついたままを、口に出してしまった。
「瞳の色がとても綺麗」
「それは承諾ってことかな」
ロイが割って入った。
「トーマス、拡大解釈すぎるだろ。リディアは客観的な事実を述べただけだと思うぞ」
そして私の腕を引っ張り、自分の横に座らせた。
自分の味方だと思っていたロイまでがその中に居たことは、少なからずショックだった。冷たい目でロイを睨むと、ロイは目をそらした。
すると珍しく、トーマス様が話し始めた。
「ユーり殿下からは、パーティーの最初に重大な発表を行うから、私達側近は壇上に集まるように、と言わていた。発表自体はすぐに終わるから、パートナーは会場に待たせるようにとのことだった。だから、私達三人は、壇上で発表を待っていたんだ。内容については、その時まで秘密だからと言われ、聞いていなかった」
ロイが後を引き継いだ。
「君がいないのも、俺たちのパートナーと同じように、会場で待っているのだと思っていた。だから、君が一人で会場に入って来た時はびっくりしたし、状況が全くわからなかった。でも、壇上でみっともない様子を見せることもできないし、王子は落ち着いた様子だし、身動きが取れなかったんだ。でも、やっぱりごめん」
この二人は何も知らされていなかったのだろう。私から見ても、ロイは驚いている風だった。トーマス様は、いつも通り全くわからなかったけど、知らなかったという自己申告を信じるしかない。
「レイノルズ様とドロレス嬢は知っていたようね。そんな雰囲気だったわ」
ロイはブランデーを開けるとグラスに注いでトーマス様に渡した。自分の分も継ぐと、喉が渇いたと言いながら、グイッと飲んだ。
ロイは、美しくて繊細な容姿を裏切る、ワイルドな性格をしている。悪く表現すると、少々がさつなのだ。私の二つ年上で、兄がわりのようなものだ。ロイも一人っ子なので、幼少期から、兄妹のように仲良くしてきた。
もし彼に裏切られたら、多分私は寝込むだろう。そうではなくてよかったと思ったら、今度は安心して涙が出てきた。
そしてロイに抱きついて泣いた。気が済むまで泣くと、ロイがハンカチを渡してくれた。
「鼻の頭が真っ赤だぞ。そう言うところは、小さい時から変わらないな」
私は軽くロイを睨みつつも、素直にハンカチを受け取った。それで涙を拭くと、自然に見える厚化粧が、べったりとハンカチについてしまった。
向かいに座っているロイが、私の顔を見て噴き出した。
「た……狸。面白......」
はっと気付くと、トーマス様も私の顔を凝視している。だが、表情は変えてない。
さすがクールなトーマス様だわ。
そう思った途端に、トーマス様が急に後ろを向いた。肩がフルフルしている。やっぱり笑っているのね。
すぐにマリーが、男二人をたしなめてくれた。
「今の悲劇的な状況で、淑女の不幸を笑うなんて、紳士としてあるまじき行いです」
そこまでは良かったけど、振り向いた私を見て、マリーは口の中に袖を押し込んだ。
もういいわ。笑ってちょうだい。私の顔は、私には見えないけど、想像は出来るもの。
私はロイのハンカチを使って、顔の化粧を拭い落とした。一枚では足りなかったので、もう一枚と言ってロイに手を差し出したら、トーマス様が新しいハンカチを、私の手に載せてくれた。
私はハンカチで顔を隠しながら、トーマス様にお礼を述べ、化粧落としを続けた。途中段階だと、化粧がまだらになり、悪霊みたいな顔になっているはずだ。厚化粧は止めようと心に誓いつつ、せっせと化粧を落とした。
ひと段落着くと、トーマス様がブランデーの入ったカップを、手渡してくれた。
私はブランデーを一口舐めてから、長い吐息を吐き出した。
なんだか脱力してしまって、失恋の痛みも、悲劇的な境遇も、ポロリとどこかに、転げ落ちてしまったような気分だ。
「もう失恋を嘆くのは辞めるわ。私はもうユーリ様の事、好きじゃないみたい。泣くのも疲れてしまったわ」
「リディア嬢、落ち着いたようでよかった。ユーリ殿下の事は、吹っ切れたのですね」
トーマス様が真剣な顔をして私を見つめた。
「はい。何だかスッキリしました。私、ずっとすごく無理していたようです。私の顔、タヌキみたいだったでしょう。大人っぽく見せようと、たくさんお化粧したのです。自覚は無かったけど、愛されようと必死だったみたいです」
ロイが頭を撫でてくれた。
「いい子だよ。お前はすごくいい子だ。あんな男は忘れちまえ。嫁の行き先が無ければ、俺がもらってやるから、安心しろ」
これは昔からの、ロイの慰め言葉だ。婚約してからは聞いていなかった。久しぶりのセリフに、私はくすくす笑いだしてしまった。
すると、トーマス様が急にロイの前に身を乗り出した。
「嫁の行き先として、私はどうかな」
「はい?」
「おい、突然何を言いだすんだ」
トーマス様は真面目な顔をしている。冗談……じゃない……ようだ。
何を考えているのか分からないトーマス様は、喋ってくださっても、何を考えているのか分からない。
驚いた私は、ロイに助けを求めた。トーマス様の言葉が飲み込めないし、こんなことを言われたのも、始めてだったから。
ロイは私の横に座り、トーマス様に向かい合った。
「ちょっと信じがたいが、お前はこういった冗談を言うタイプじゃない。ということは、リディアを嫁に欲しいと、本当に思っているんだな」
トーマス様は黙って頷いた。
私にはちょっと理解が追いつかないわ。
いつも無表情の彼が、少し頬を赤くしている。これは焚き火の照り返しだろうか。
「よし、兄として、リディアに求婚することを許す」
「え、勝手に何を言い出すの? 私は、えーと、もう寝ます」
慌てて逃げようとした私を、トーマス様は逃してくれなかった。いつの間にか手を握られていて、彼のきれいな顔が、目に前にあった。
「初めて会った時からずっと、君の事を見ていた。最初の出会いの時、君は既にユーリ様の婚約者だったから、自分の気持ちを抑えようとして、なるべく関わらないようにしていたんだ。でも今はもう誰のものでもない。僕では駄目かな」
何てことでしょう。いつも無表情で冷たい印象のトーマス様が、すごく情熱的です。駄目とか何とかより、現実のこととは思えない。
周囲はシーンとしていた。タヌキ寝入りの兵士たちも、聞き耳を立てているのだろう。寝息すら聞こえない。
顔を上げると、真剣で情熱にあふれたトーマス様の目が、私を見つめている。
紺色に近い紫の瞳がとても綺麗。何だかボーッとしてきたわ。
そして、ふと思いついたままを、口に出してしまった。
「瞳の色がとても綺麗」
「それは承諾ってことかな」
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