公爵令嬢はジャンクフードが食べたい

菜花村

文字の大きさ
142 / 191

120 公爵令嬢は生徒会長と会話する

しおりを挟む
 今日はリリーちゃんが放課後に呼び出しがあったので、私は図書館に篭って魔導書を物色中。

 私の天敵、カーネル生徒会長とジョニー先生に出会わないように、周りの気配を感じなが魔導書に集中。

 ある程度物色出来たら五冊を厳選して、貸し出し依頼を出してゆっくり読もう。

 今日はいい天気だし、お気に入りの中庭で読書タイム。

 ここならあの二人も来ないだろうから、安心して読書が出来る。



 
 天気は快晴、もうすぐ夏になろうという頃だけど、春みたいなポカポカ陽気で風が気持ちいい。

 中庭の花や木が、風に爽やかな香りを乗せながら揺れている。

 このままお昼寝しても気持ちよさそうな感じ。

 まぁ、よっぽどの事がない限り、私昼寝しないんだけど。

 ココアクッキーをつまみながら、魔導書を熟読。

 あ、大事な本が汚れちゃいけないから、クッキーはちゃんと箸で食べてるよ。

 チョコレートチップ入りのレベッカちゃんお手製ココアクッキーの味は最高。

 中庭の雰囲気も合わさって、本当に心地いい。

 みんなで食べようと思って大袋でもらったクッキーが、あっという間になくなっちゃいそうだ。



 「その大量のクッキーを、貴女一人で食べるおつもりですか?」

 はっ、その声は……

 私の天敵、カーネル生徒会長!

 いっつもは図書館にいるのに、どうしてこんな所へ!?

 「私がどこに居ようが、貴女には関係ありませんよ。」

 くぅーっ、相変わらずイヤミったらしい口調だ。

 「それに、書物を読みながらお菓子を食べるなんて、書物が汚れたらどうするおつもりですか?」

 「問題ありません、破片が落ちないようにちゃんと一口サイズにしてもらってますし、箸で食べてるので手も汚れてません。」

 ドヤァ!

 「その、ハシという道具は何ですか?」

 ん?カーネル生徒会長は箸を知らないの?

 「これは食器で、この二本の棒で食べ物を摘んで食べるんです。
 フィアンマ男爵領では常用されているのですけど、ご覧になった事は無いのですか?」

 「……フィアンマ男爵領とは私の実家は離れていますので、お伺いした事がございません。」

 そうだったんだ、知らなかった。

 そういや、カーネル生徒会長のご実家のウォンツ家は、アースフィールド王国でフィアンマ男爵領とは正反対の位置にある辺境伯爵領だったな。

 エレメント魔法学校でも箸は使われてなかったし、フィアンマ男爵領以外では普及されてないのかも。

 「使い慣れるまでは難しいかもしれませんが、スプーンやフォークで食べにくい小さな食べ物をつまんで食べる事が出来る、とても便利な道具なんです。
 使ってみますか?」

 「えっ……それをですか?」

 そう言って、私の使っている箸を指差した。

 「違いますよ、すぐ作りますから。」

 そう言って銀製の箸を作った。

 お貴族様は銀のカトラリーを使うイメージがあったからね。

 「あ……そういう事でしたか、驚きました。
 しかし、錬金魔法とはなんとも便利な魔法なんですね。」

 「錬金魔法は見られた事ないのですか?」

 「五十年に一人しかいない錬金魔法を使える人を、私は貴女以外知りません。」

 「そう言えばそうでしたね。
 ご覧になって如何でしたか?」

 「先程申し上げたでしょう、便利な魔法だと。」

 くそー、言い方いちいちムカつくなあ。

 「カーネル生徒会長は、私の事が嫌いなんですか?」

 「そんな事ありませんよ、人聞きが悪いですね。」

 「だって、私に対してだけいっつも意地悪な口調でいらっしゃるしょう?
 他の方にはとても優しく接してるのに。」

 「……貴女はそう思いますか?」

 ん、どういう事?

 「自分で言うのも何ですが、私にはいつも多くの女性がやってきます。」

 ほう、自慢かよ。

 「いつも私にギラギラとした視線を寄せて、猫撫で声で近寄ってきて、婚約者がいる方でさえ誰も彼も媚を売って来ます。
 正直、私はその光景にウンザリしているんです。」

 「あぁー、分かります。
 私も昔から欲に塗れた大人たちから媚を売られてきたので、それの面倒くささは身に覚えがありますね。」

 「……貴女もそうだったんですか。」

 「はい、もう十年以上そんな感じです。
 生徒会長は、なぜ周りの方に優しくされるんですか?
 逆に、その優しさにつけ込まれたりしないんですか?」

 「私の場合、何故か冷たくあしらったほうが喜ばれるんです。
 なので、猫を被って優しく接しているのです。」

 あぁ、いわゆる『塩対応で女に興味ない奴がモテる』ってやつだな。

 「私は生徒会長のように相手方のあしらい方が上手くないので、そう言った対応が出来るのはすごいと思いますよ。」

 「貴女はいつもどうやってやり切っているのですか?」

 「私の場合、親や親友達が助けてくれてて、いつも周りの人があしらってくれるので……」

 「全く貴女は……仕方のない人ですね。」

 「そう言うカーネル生徒会長は、なぜ私にだけ冷たい対応なんですか?」

 「素の私に対して、貴女だけは色目を使わないでいてくれるからですよ。」

 この意地悪な性格、本来の性格だったのか!

 「貴女だけは最初から、私を見た時に普通に接してくれました。
 ドレス姿でパラパラと本を読んでいた貴女がとても印象的で、話しかけてみると私に対して驚いては、図書館にいる言い訳をして。
 第一印象で、貴女は普段の私を受け入れてくれそうだと思いました。」

 と言う事は、カーネル生徒会長は私の事を嫌いなんじゃなくて、私に対して素を出していただけだったのか。

 「だとしても、私にももう少し優しくしてくださいよ。
 嫌われてるのかと思ってましたよ。」

 「私の素の状態に色目を使わないでいる貴女に、猫を被る必要はないでしょう?」

 いや、言い方にトゲがあって、イライラするんだって!

 「そう言えば、せっかく箸を作ったんですから、クッキーを一緒に食べませんか?」

 「クッキーは素手で食べるものではないのですか?」

 「私は本を読みながらですから。」

 「行儀が悪いですね。」

 「いらないのならあげませんよ?」

 「もらわないとは言ってませんよ、ちゃんと頂きます。」

 「相変わらず、口が悪いですね。」

 「悪いのは貴女の行儀だと言ってるでしょう。」



 文句を言いつつも不器用な箸でクッキーを食べるカーネル生徒会長を見て、少しだけ微笑ましく思ってしまった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした。今さら戻れと言われても、もうスローライフ始めちゃったんで

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、 優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、 俺は必死に、置いていかれないようについていった。 自分には何もできないと思っていた。 それでも、少しでも役に立ちたくて、 誰にも迷惑をかけないようにと、 夜な夜な一人でダンジョンに潜り、力を磨いた。 仲間を護れるなら… そう思って使った支援魔法や探知魔法も、 気づかれないよう、そっと重ねていただけだった。 だけどある日、告げられた。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、優しさからの判断だった。 俺も分かっていた。だから、何も言えなかった。 こうして俺は、静かにパーティを離れた。 これからは一人で、穏やかに生きていこう。 そう思っていたし、そのはずだった。 …だけど、ダンジョンの地下で古代竜の魂と出会って、 また少し、世界が騒がしくなってきたようです。 ◇小説家になろう・カクヨムでも同時連載中です◇

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  お気に入り・感想、宜しくお願いします。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

処理中です...