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121 公爵令嬢は算盤を作る
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今日は先生方が休みだったので、一日中自習だった。
例の召集にかけられたのだ。
なんでも、ちょっと大きめの隕石が王都の隣の領地に落ちたらしく、レスキューしに行ったらしい。
朝方実験してたら地震があったなとは思ってたけど、隕石の仕業らしかった。
そいつのせいで、早朝に実験してたのがリッカにバレたんだけど、どうしてくれるんだ隕石コノヤロー。
と言うか、私もその隕石見に行きたい。
この世界の宇宙の鉱石や生命体ってどうなってるんだろう?
隕石一つで、色んな情報が分かるのに。
かけらでいいから、先生の誰かくれないかな。
自習は各々好きな事をしていいみたいで、図書館で本を読みながら勉強してたり、体力作りや模擬戦をしたり、私達みたいに魔法の訓練や実験をしたり。
で、この学校にいて気づいた事がある。
それは、この世界の人達の算術力が圧倒的に低い。
魔法学校って、年齢的には日本の高校生くらいなのに、加減乗除程度しかやらない。
分数・小数の計算や、倍数・約数、比例・反比例なんかは、学力が相当高くないといけない文官くらいしか使えない程、算数に対する知識量が少なすぎる。
累乗とか複数桁複数行の足し算とか平均値とか、絶対よく使うであろう計算だけでなく、四算演算ですらめちゃくちゃ時間をかけている。
もうね、時間がもったいなさすぎる。
俺はパッと見ただけですぐ暗算出来てたから逆に解き方を書く方が面倒だったんだけど、俺ほどまでとはいかなくても、もっとレベルは上げないといけないでしょう。
せめて、この世界に計算機があればもっと算術が楽に出来そうなんだけどなぁ。
て事で、自習の時間を使って計算機を作ろうと思います。
先ずは、粒の大きさの揃えたアルミの珠を作る。
この珠は、指で弾きやすいように楕円形と菱形のものを作ってみた。
珠の中心には、芯を通して滑らせることが出来るよう穴が開いている。
芯と中棧、枠は硬くて丈夫な鋼鉄を使用。
多少重たい方が、使うときに動きにくくて安定しやすいし。
中棧に芯を通して、菱形の珠を上(梁の上段)に天の球を一顆、下(梁の下段)に球を四顆をはめ込み、枠で囲ったら、天一地四珠の算盤の完成。
一般的によく見る、五珠一つに一珠四つのやつだ。
もう一つ、梁のない十行の芯に楕円形の珠が十珠並ぶ百珠算盤も作ってみた。
こちらの方が、多分この世界の人達には慣れるまで使っていくかも。
早速、幼なじみ三人と自由研究一班のメンバーに使い方を教えてみた。
「この計算補助道具、紙に筆算を書かなくていいのが便利だな。」
「僕は百珠算盤の方が使いやすいと思いました。
パッと見ただけで数字がわかりますから。」
「この一列に五珠ずつのソロバンは、慣れるまで使い方が難しそうですね。
私にも出来るでしょうか。」
「こんな道具、見たことありません。」
「面白い物を発明するのは、フラン様の得意技ですね。
勉強になります。」
「ボ、ボク……使えない、けど……これ、欲しい。」
他者多様な反応だ。
私が一般的な方の算盤で実演してみると、みんなは目を見開いて固まってしまった。
俺、算盤一級持ってるし。
あと、掛け算と割り算のやり方も教えてあげたけど、みんな完全にチンプンカンプンになってた。
まぁ、慣れるまではこうなるでしょうね。
という訳で、クラス全員分に天一地四珠と百珠算盤の両方を作ってあげた。
使い方の説明をしたところ、最初に見せた六人含むクラス全員が算盤に興味津々。
使い方を確認したり、実際に試してみたりと、中々の高評価。
私が先生になって問題を出して、使い慣れてもらったりもした。
さて、先生方は算盤にどんな反応をするだろう。
翌日、先生達は学校に戻ってきていた。
たった一日で災害を対策できるとか、先生方や魔術師の皆さんは優秀だね。
座学の算数の時間になった時、一斉に算盤を取り出す生徒たち。
「授業中に玩具で遊ぶな」
と数学の先生は言ってきたので、
「玩具ではなく計算補助道具です。」
と言って全員で先生を納得させた。
そして、いざ計算の時間になった時、パチパチと球を弾く音が鳴り響き、計算をしていく生徒の姿を見た先生はポカーンとしていた。
計算を終えたみんなは、間違えてた人もいたけどいつもより正解率が高かった。
「そ、その計算補助道具はどんな物なんだね?」
先生に二種類の算盤を見せて、使い方を説明した。
「な、なんとこれは……
これを開発したのは、君か?
フランドール嬢。」
「はい、そうですけど。」
開発というよりオマージュなんだけどね。
「今すぐ校長の所へ連れて行く!
皆は自習をしていなさい!」
そういって、校長室に連れて行かれ、算盤の何たるかをひたすら説明した。
いざ実演したところ、校長先生も数学の先生も目を点にして固まった。
「こ、これは素晴らしい発明だ!
どうやって作ったんだね!?」
「私の錬金魔法で作りました。
量産したいのでしたら、お手本をご用意しましょうか?」
「とりあえず、王国直属の文官用に人数分作ってくれないか!?」
「では、一つあたりおいくらでお作り致しましょうか?」
「文官達にこの事をお伝えして値段を決めるようになるが、おそらく大銀貨二枚はくだらないだろう。」
ふぇっ!算盤一つが二万円で売れる!
私、まるで職人さんみたい!
「では、直接国王陛下に私からお話しておきましょうか?」
「何!?直接だと!?
そ、そうか、君は未来の王妃殿下だったな……
では、頼めるかね?」
「かしこまりました。
今すぐお城へ参りますね。」
そう言って、武術の授業をブッチしようとしたけど、「突然の訪問は失礼だ」という事で、後日改めて伺う事になった。
ちくせう。
後日、国王陛下に会いに行くと、「久しぶりにフランドールに会えて嬉しい!」と超ニコニコ。
算盤の使い方を説明すると、楽しそうにパチパチと計算して、あっという間に使い方を覚えてしまった。
流石文武両道のお調子者。
文官達もすぐ覚えて、めっちゃ喜ばれた。
そして、算盤は一台大銀貨五枚で売れた。
ひゃっほう。
例の召集にかけられたのだ。
なんでも、ちょっと大きめの隕石が王都の隣の領地に落ちたらしく、レスキューしに行ったらしい。
朝方実験してたら地震があったなとは思ってたけど、隕石の仕業らしかった。
そいつのせいで、早朝に実験してたのがリッカにバレたんだけど、どうしてくれるんだ隕石コノヤロー。
と言うか、私もその隕石見に行きたい。
この世界の宇宙の鉱石や生命体ってどうなってるんだろう?
隕石一つで、色んな情報が分かるのに。
かけらでいいから、先生の誰かくれないかな。
自習は各々好きな事をしていいみたいで、図書館で本を読みながら勉強してたり、体力作りや模擬戦をしたり、私達みたいに魔法の訓練や実験をしたり。
で、この学校にいて気づいた事がある。
それは、この世界の人達の算術力が圧倒的に低い。
魔法学校って、年齢的には日本の高校生くらいなのに、加減乗除程度しかやらない。
分数・小数の計算や、倍数・約数、比例・反比例なんかは、学力が相当高くないといけない文官くらいしか使えない程、算数に対する知識量が少なすぎる。
累乗とか複数桁複数行の足し算とか平均値とか、絶対よく使うであろう計算だけでなく、四算演算ですらめちゃくちゃ時間をかけている。
もうね、時間がもったいなさすぎる。
俺はパッと見ただけですぐ暗算出来てたから逆に解き方を書く方が面倒だったんだけど、俺ほどまでとはいかなくても、もっとレベルは上げないといけないでしょう。
せめて、この世界に計算機があればもっと算術が楽に出来そうなんだけどなぁ。
て事で、自習の時間を使って計算機を作ろうと思います。
先ずは、粒の大きさの揃えたアルミの珠を作る。
この珠は、指で弾きやすいように楕円形と菱形のものを作ってみた。
珠の中心には、芯を通して滑らせることが出来るよう穴が開いている。
芯と中棧、枠は硬くて丈夫な鋼鉄を使用。
多少重たい方が、使うときに動きにくくて安定しやすいし。
中棧に芯を通して、菱形の珠を上(梁の上段)に天の球を一顆、下(梁の下段)に球を四顆をはめ込み、枠で囲ったら、天一地四珠の算盤の完成。
一般的によく見る、五珠一つに一珠四つのやつだ。
もう一つ、梁のない十行の芯に楕円形の珠が十珠並ぶ百珠算盤も作ってみた。
こちらの方が、多分この世界の人達には慣れるまで使っていくかも。
早速、幼なじみ三人と自由研究一班のメンバーに使い方を教えてみた。
「この計算補助道具、紙に筆算を書かなくていいのが便利だな。」
「僕は百珠算盤の方が使いやすいと思いました。
パッと見ただけで数字がわかりますから。」
「この一列に五珠ずつのソロバンは、慣れるまで使い方が難しそうですね。
私にも出来るでしょうか。」
「こんな道具、見たことありません。」
「面白い物を発明するのは、フラン様の得意技ですね。
勉強になります。」
「ボ、ボク……使えない、けど……これ、欲しい。」
他者多様な反応だ。
私が一般的な方の算盤で実演してみると、みんなは目を見開いて固まってしまった。
俺、算盤一級持ってるし。
あと、掛け算と割り算のやり方も教えてあげたけど、みんな完全にチンプンカンプンになってた。
まぁ、慣れるまではこうなるでしょうね。
という訳で、クラス全員分に天一地四珠と百珠算盤の両方を作ってあげた。
使い方の説明をしたところ、最初に見せた六人含むクラス全員が算盤に興味津々。
使い方を確認したり、実際に試してみたりと、中々の高評価。
私が先生になって問題を出して、使い慣れてもらったりもした。
さて、先生方は算盤にどんな反応をするだろう。
翌日、先生達は学校に戻ってきていた。
たった一日で災害を対策できるとか、先生方や魔術師の皆さんは優秀だね。
座学の算数の時間になった時、一斉に算盤を取り出す生徒たち。
「授業中に玩具で遊ぶな」
と数学の先生は言ってきたので、
「玩具ではなく計算補助道具です。」
と言って全員で先生を納得させた。
そして、いざ計算の時間になった時、パチパチと球を弾く音が鳴り響き、計算をしていく生徒の姿を見た先生はポカーンとしていた。
計算を終えたみんなは、間違えてた人もいたけどいつもより正解率が高かった。
「そ、その計算補助道具はどんな物なんだね?」
先生に二種類の算盤を見せて、使い方を説明した。
「な、なんとこれは……
これを開発したのは、君か?
フランドール嬢。」
「はい、そうですけど。」
開発というよりオマージュなんだけどね。
「今すぐ校長の所へ連れて行く!
皆は自習をしていなさい!」
そういって、校長室に連れて行かれ、算盤の何たるかをひたすら説明した。
いざ実演したところ、校長先生も数学の先生も目を点にして固まった。
「こ、これは素晴らしい発明だ!
どうやって作ったんだね!?」
「私の錬金魔法で作りました。
量産したいのでしたら、お手本をご用意しましょうか?」
「とりあえず、王国直属の文官用に人数分作ってくれないか!?」
「では、一つあたりおいくらでお作り致しましょうか?」
「文官達にこの事をお伝えして値段を決めるようになるが、おそらく大銀貨二枚はくだらないだろう。」
ふぇっ!算盤一つが二万円で売れる!
私、まるで職人さんみたい!
「では、直接国王陛下に私からお話しておきましょうか?」
「何!?直接だと!?
そ、そうか、君は未来の王妃殿下だったな……
では、頼めるかね?」
「かしこまりました。
今すぐお城へ参りますね。」
そう言って、武術の授業をブッチしようとしたけど、「突然の訪問は失礼だ」という事で、後日改めて伺う事になった。
ちくせう。
後日、国王陛下に会いに行くと、「久しぶりにフランドールに会えて嬉しい!」と超ニコニコ。
算盤の使い方を説明すると、楽しそうにパチパチと計算して、あっという間に使い方を覚えてしまった。
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