欲にまみれた楽しい冒険者生活

小狸日

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494治療

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移動の間、夜中は拓とガラードは空から魔獣の状態を確認しながら移動をしていたのだが、魔獣が活発化している。
拓によって交通網が整備されていなければ、多くの村が完全に孤立していただろう。

エチゴ商隊は魔獣との戦いを終えた町に辿り着くと、直ぐに領主の元へと向かった。
拓が免責札を出して領主との面会を求めようと思っていたが、直ぐに通され領主が迎える。

「拓殿、エチゴ商隊の皆、良く来てくれた。」
「突然の訪問、失礼します。この度の魔獣との戦いで多くの兵士が怪我をしたと伺いました。
 差し支えなければ、状況を教えて頂けないでしょうか。」 

拓の問いかけに領主は魔獣との戦いについて説明するが、その内容は酷い物だった。
戦いは沼地で行われ、まともに身動きも取れなかった。
魔導士団も闇魔法で姿を隠していた魔獣に不意打ちを喰らい、防御しか出来なくなってしまった。
その様な危機的状況を打破出来たのは、勇者達のお陰だった。
乱戦の中、兵士達を避けて放たれた攻撃魔法によって形勢を立て直し、タイミングを見計らって兵士達を退かせて強力な魔法を放った。
後は主力を失った魔獣を兵士達が退治を行い勝利を得る事が出来た。

結果、多くの負傷者を出し、勇者の3人は魔力の使い過ぎで立っているのも厳しい状態になっていた。

「勇者の3人が危険になるまで追い込まれていたのか。」
「はい。我々の力が及ばず、勇者様の所まで魔獣が押し寄せていました。」

思わず声を強くした拓に、領主は少し戸惑いながら話す。

「そうですか。とりあえず怪我人が居れば治療の手伝いをしようと思いますが、どうなっていますか?」
「宜しいのでしょうか?」
「問題ありません。治療現場へ連れて行って頂けますか。」

領主に連れていかれた建物には多くの怪我人が横たわっていた。
治癒を行っている中には神官もいて忙しそうにしていたが、領主の姿を見て動きを止める。

「そのまま治療を続けてくれ。こちらの拓殿が治療の手伝いをしてくれることになった。宜しく頼む。」

領主がそう言うと、全員の視線が拓へと向けられる。
拓は、その視線を避ける様に、後回しになっている兵士達の治療を行う事にする。
人数が多いと言っても中級魔法で対応出来る怪我だったので、拓はその日の内に半分近い怪我人の治療を終わらせた。

「拓様。食事の用意が出来ています。こちらに着いたばかりでの治療でお疲れでしょう。今夜は屋敷の方でゆっくりとお休みください。」

ひと段落着いた所で、執事に声を掛けられる。
拓は明日、また来る事を伝えて屋敷に戻る事にした。

「拓殿。治療をして頂き、本当にありがとうございます。」
「いえ、未だ途中ですので、明日も続けます。」

領主に迎えられ、エチゴ商隊の全員も一緒に夕食を頂く事に。
同世代の女性も同席したが、拓に言い寄る事も無く会話を楽しめるようにと気を使っていた。

次の日、拓は朝から治療を行い、昼前には対応待ちだった兵士全員を完治させた。
後は重症患者が残っていて、治癒魔導士が対応していたので任せても良かったが手助けをする事にした。

「患部を魔力で浸しますので、その上で治癒魔法を使ってみて下さい。」

ただ、治癒魔導士の実力が低く多くの時間を要してしまった為、3人ほど治療補助を行った所で疲れてしまい、2日間に渡り治療を行う事になった。

「拓殿。こちらが今回行って頂いた治療費となります。」

領主から通常より上乗せされた金を受け取る拓。
これについては、事前にエチゴから素直に受け取る様にと進言されていた。
バラキエ公爵の派閥に属する貴族は拓に負い目を感じているため、受け取った方が安心するとの事だった。
ここで受け取りを拒否すれば、貴族間の亀裂が生じかねない。

その分、皆に遠回りしてもらった礼を含め、受け取った金をすべて使いこの町で色々と購入しようと町を回る事にしたのだが・・・

「これはどうかしら。」「こっちも素敵。」

ジェニファーとロビンのアクセサリー選びに凄い時間が掛かっていた。
この買い物に付き合っているのは拓とジーク。
他のメンバーはエチゴを筆頭にして、この町ならではの食材を購入するためと言って席を外していた。

「俺は魔道具とか見に行きたかったんだけど、時間作れるかな?」
「大丈夫だろう。あの感じだと、そろそろ決まりそうだ。」

ジークの予想通り少しして買い物が終わり、購入したブローチを付けていた。

「拓、ありがとう。」「大切にするわ。」

納得のいく品が買えたみたいで嬉しそうにしていた。
後は日常生活で使える魔道具を色々と購入し、皆と合流した。

「あの、これ全部を購入したのですか?」

拓の目の前には、馬車一杯の食料が積まれていた。
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