異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日

文字の大きさ
640 / 761

640収穫

しおりを挟む
特に何もおきずに、1ヶ月が経った。
俺は更に光の魔道結晶に魔法陣を描き終え、魔道具を作り上げた。

「拓ちゃん、魔道具作りで1ヶ月間 部屋に篭りっきりだったろう。
 一段落着いた事だし、皆で果樹園に行かないか。」

浩司の誘いに乗って、久しぶりに家の外に出た。
この1ヶ月、食事、トイレ以外で自分の部屋からも出ていない。
その食事ですら自分の部屋で済ませる事が多かった。
護衛任務を引き受けていると言うのに、逆にサリナ姫やヨハン王子から心配されてしまう始末だ。

「一応、考えていた物は作り終えたので、これからは今まで通りに生活しますよ。
 それより、果樹園に何が有るんです?」
「それは、着いてからのお楽しみね。」

サリナ姫が面白そうにしているので、これ以上は聞かないが、そろそろ初めての収穫時期だ。
果樹園に着くとカーン夫婦や子供達が出迎えてくれた。
他にもニックさん、パウロさん、ヨーゼフさん、ティムさんと経営陣も勢揃い。
そして、案内された先には

「この果樹園で初めて生った果物です。先ずはオーナーが1つ目の果物を採ってください。」

ニックさんがそう言うと、浩司が肩車をして熟れた果物の下に俺を運んでくれる。
一番初めの収穫を行うと、皆が拍手をしてくれた。

「オーナー、皮ごと食べれるんで、一口どうぞ。」

カーンさんに進められ、そのまま一口頬張ると果肉は瑞々しく、口の中に甘い汁が弾ける。

「甘い、凄く瑞々しくて甘いよ。皆、本当にありがとう。
 果樹園での初めての収穫は大成功だ。」

俺の言葉に歓声が上がり、皆での収穫が始まった。
サリナ姫やヨハン王子はもちろん、バラン将軍やガゼルス将軍も子供達を肩車して収穫を手伝ってくれた。
小さい子供達も、収穫した果物を綺麗に拭いて箱に並べている。
しかし、アークやクリーム、OZのメンバーは収穫を楽しみながらも、ソワソワしているのは何故だろう。

お昼に、皆でお握りを食べた後、収穫は果樹園の人達に任せ、カーンさんに別の場所へと案内された。

「これって、王の木と王妃の木だよね。1ヶ月前は花だったと思ったけど。」

それに、どちらも実が鈴生りだ。
上手く育てて数個収穫できれば良いと聞いていたのだが・・・

「記載された育て方でも、収穫は秋になるとなっていました。
 与えていた土の魔力の影響としか考えられません。」

栄養に合わせて付ける実の数を調整すると言っていたので、十分な栄養が有ったと言う事か。
しかし、実が生るには早いだろう。
グリムに言われて土地を調べてみると1ヶ月前に、たっぷりと土に与えた魔力がかなり少なくなっている。

『多過ぎる土の魔力が、実の方へと供給された結果かも知れんな。
 農業の分野については、儂は素人じゃ。
 カーンにじっくりと調べてもらうのも良かろう。』

カーンさんによると、既に十分に熟しているらしい。
後ろを見ると、涎を垂らしそうな冒険者の集団。

「収穫をしましょうか。」

既に脚立まで用意していて、待ったは出来ないだろう。
午前中の収穫で、妙にソワソワしていたのは、この為だったのか。
王の実は、巨大な胡桃の様で、硬い殻の中には蜜が詰まっている。
王女の実は、メロンほどのサイズで薄皮の赤い実だ。

ずっしりと重い王の木の実を試しに割ってみると、中には大量の蜜。
漂う上品な甘い香り。ひと舐めすると蜂蜜に近いがもっと濃密だが後味がスッキリしている。
瓶に移し終え、残った殻を皆に渡すと付いている蜜を指で舐め

「凄い、上品な甘さだ。流石は王の実。」
「シロップみたいな感じだと思っていたけど、格が違うな。」
「紅茶に混ぜて飲んでみたいわ」
「ちょっと、あんた達、何で殻を直接舐めているのよ。」
「もう指でも掬えないだろ。」
「だからって、それは無いでしょ。」

子供達が居なくて良かった。この人達、本当に意地汚さ過ぎる。
事前にエチゴさんに収穫した実について相談していたが、こんなに大量に収穫出切るとは思わなかった。
これなら木を送ってくれたブルネリ公爵や第3騎士団の人達に返礼し、クロイツ伯爵やロダン侯爵にもプレゼント出来る。
とりあえず、収穫した実はアイテムボックスにしまったのだが、皆から無言の視線・・・

「一応、付き合いがあるので配らない訳にはいかないので。
 珍しいので、その辺を考慮してから扱いを決めようかと。」

俺がそう言うと、「そうだよな。」「確かに必要よね。」「きっと喜ぶぞ。」と皆は笑って答えているが
目だけは笑わず、俺の腕にはめたアイテムボックスを見ている。

今夜にでもニックさん、エチゴさんを交えて実の対応方法を決めてしまおう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~ 

志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。 けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。 そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。 ‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。 「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

令和日本では五十代、異世界では十代、この二つの人生を生きていきます。

越路遼介
ファンタジー
篠永俊樹、五十四歳は三十年以上務めた消防士を早期退職し、日本一周の旅に出た。失敗の人生を振り返っていた彼は東尋坊で不思議な老爺と出会い、歳の離れた友人となる。老爺はその後に他界するも、俊樹に手紙を残してあった。老爺は言った。『儂はセイラシアという世界で魔王で、勇者に討たれたあと魔王の記憶を持ったまま日本に転生した』と。信じがたい思いを秘めつつ俊樹は手紙にあった通り、老爺の自宅物置の扉に合言葉と同時に開けると、そこには見たこともない大草原が広がっていた。

処理中です...