新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん

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新生活

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 主人公のももは、高校を卒業したばかりの十八歳。天涯孤独の彼女にとって、育った孤児院が唯一のよりどころでした。
 その孤児院に長年多額の寄付をしてくれていたのが、この地域の旧家である一ノ瀬いちのせ家です。
​ 高校卒業後、桃は孤児院の紹介で、一ノ瀬家で住み込みのメイドとして働くことになりました。
​「一ノ瀬様のご恩に報いなさい」
​ 桃は院長先生の言葉を胸に、お屋敷の重厚な門をくぐります。
​ 
 一ノ瀬家には、十年前に奥様を亡くされた旦那様・一ノ瀬恭介きょうすけと、その一人息子である一ノ瀬けいが住んでいました。
 旦那様である恭介はスラッとしたスーツ姿がよく似合う長身の男性でした。五十代手前で白髪が交じり始めてはいますが、髪はフサフサとしており、いつも笑っているような物腰の柔らかい印象です。
 息子・慧は今年大学生になったばかりの桃と同じ十八歳。色白で整った顔立ちの、中性的なその見た目は亡き奥様によく似ていらっしゃいます。
 リビングには奥さまが亡くなる少し前に撮影された家族写真が今もまだ飾られておりました。その写真の中ではまだ幼い慧があどけなく、こちらへ微笑んでいます。今はそのあどけなさなど微塵もなく、桃が一度ご挨拶した時は、愛想のない態度と暗い眼差しで一蹴されたきり、それ以降はほとんど家には帰って来ず、帰ってきたとしてもすぐ自室に引きこもってしまうため顔を合わすことはありませんでした。

​ 桃は一生懸命、仕事に励みました。掃除、洗濯、食事の準備。
 ほとんど家にいない二人の食事は残される事も多く、落胆する桃でしたが、それでも桃なりに頑張りました。生きていくために、何としてもこの仕事を辞めるわけには行かなかったのです。
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