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第五章 恋する乙女大作戦編
第95話 乙女の島内宿泊
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試合が終わって落ち着いた後、私クリスはモーズさんとフリーデンさんに連れられネグラを出ました。
そして白い巨塔の上の階にある医務室に案内して頂きました。そこのベッドは私の上官であるマイクさんとネフェリンさんが横になって眠っています。
……何故です!?
「ベッド2つ埋まったってマジか~」
フリーデンさんが腰に手を当てて言いました。医務室のベッドは10床。確かクスシも全員で10人でしたから、その人数分しか用意がないようです。
あとこの医務室には私が初めて会うクスシがいます。赤地に黒鷲のデザインのマスクを付けたユストゥスさんに、黄地に黒鷲のデザインのマスクを付けたフリードリヒ……いえ、フリッツさんと自己紹介されたのでした。
その2人がベッドの脇の丸椅子に座って、上官達の看病をしてくださっていました。
「ああああの、上官達は一体どうしてしまったのでしょうか!?」
「そう心配しなくていいよ、クリスさん。女性の方はアトロピンくんの逆鱗に触れて、男性の方はシアナミドくんの試し行動に引っかかっただけだから」
「フリッツさん、それ絶対『だけ』で済まない案件じゃないですか~」
「あの穏やかで物静かなアトロピンが怒る……? 何をどうすればあの人は怒るのだ……?」
フリッツさんの説明を聞いて、フリーデンさんはけらけら笑い(笑い事じゃないんですけど!?)モーズさんは首を傾げます。
どっちにしろ、私には何の説明になっていないのですが!?
「あのっ! アトロピンという方を怒らせるとどうなるのですか!?」
「脱力、記憶障害、せん妄状態にさせられちゃうね。だから今日の記憶吹っ飛んでいると思うよ、彼女。しかも倒れた時に危険植物に触っちゃったものだから、炎症を抑える処置をしておいたよ」
「まさか、その女性は植物園で倒れたのか? 運が悪ければ死に至り、更に運が悪ければ数年激痛に悩まされる植物が生えるあの場所で」
えっ。数年激痛に悩まされる植物って何ですか?
「そう。ギンピ・ギンピとか、麻酔も効かない神経毒を持つ植物もそこら辺に生えている所で倒れたものだから、僕も肝を冷やしたよ。ローレルジンチョウゲに触れただけで済んだのはまだ運がよかったかなぁ」
こ、怖い。何ですかその麻酔も効かない毒を持つ植物って!
アバトンが危ないのはネグラだけではないのですね……!?
「え、えっと、ではシアナミドという方の試し行動? とは……!?」
「あいつは風紀にうるさいやつでな。特に日の高い内からの飲酒を嫌う。恐らく法の番犬たる警察官に興味を持ち、この男に声をかけ、社交辞令を聞いて気に入ったのだろう。そしてアルコールを摂取していないかの試し行動を行い、急性アルコール中毒にされた、といった所か」
「そ、そんな! マイク上官は仕事中にアルコールを摂取する方ではありません!」
私はユストゥスさんの説明に反論します!
確かにマイクさんは笑顔が胡散臭いですし、喋っている内容の大半はお世辞だったりしますが、視察先でお酒なんて飲むはずありません!
「ふん、『飲酒』の概念を改めろ。シアナミドの毒素にかかれば、アルコール度数が1%未満なドライフルーツやリキュールケーキ、場合によっては消毒用アルコールだろうと体に付けていれば急性アルコール中毒になる」
「え、えええっ!?」
初見殺しトラップが過ぎませんか!? 一体全体、どう回避するのですか~!?
「まー。アバトンはちょっとの気の緩みが致命傷になるような、気が休まらない危険地帯ってこった。クリスさんも気を付けてな~」
「ううう、はい……」
「警察官という立場でも意外と軽率に行動してしまうのだな。そもそもこの程度の薬学もわからないとは……。だから安易に招き入れると、危険性を把握出来ず事故を起こしてしまうのか。ラボが客人を入れたがらない理由が少しわかった」
フリーデンさんの話を聞いてモーズさんが一人頷いています。「知識量の差に今気付いた」といった感じです。
モーズさんは求められる知識が多い事に困惑しなかったという事ですか? 即座に順応したという事ですか? それどころか彼の雰囲気から『このぐらいは一般常識、当たり前』とまで思っていた気配がします。ええええ。
モーズさんもしかして、クスシになる以前から有識者に囲まれて育ってきました?
「それでこのベッドを埋めてる2人ですけど、この後どうするんですか?」
「流石にこのまま帰せないから、1泊させるよ。国連にも何を言われるかわかったものじゃないからね」
「私が散々、勝手な行動は慎めと忠告したというのに……! 短絡的な愚か者どもめ……!」
ユストゥスさんがベッドの柵を握り締めて苛ついています。うう、身体の大きな男性が怒ると怖いです。
「クリスさんもここのベッド使いな~? てか他にお客さんが使える寝床ないし」
「え、えっと、ご迷惑なら乗ってきた車で車中泊いたします!」
「それでは疲れが取れないだろう」
「う、うぅ。では、お言葉に甘えて……」
「あら、1泊するの? それは丁度よかったわ」
フリーデンさんとモーズさんにベッドの使用を勧められ承諾したその時、医務室の出入り口から水銀さんからひょっこり顔を出しました。
そして私に向かって手招きをしてきます。
「お嬢さん、夜の9時に西の海辺に来なさいな。貴方が会いたい人に会わせてあげる」
「水銀! 許可なく部外者を連れ回すな!」
「施設の外だからいいと思ったのだけれど……。ボクはただ、お嬢さんに夜の海を見せたいだけよ。アバトンの海ってとってもロマンチックなんだから」
咎めるユストゥスさんに対して、クスシの見張り付きで全く構わないから、是非海を見て欲しいと水銀さんは私に提案します。
えっと、私はどうすれば?
「じゃあモーズ同伴にしとくか?」
「わ、私か?」
「それじゃモーズ、後でお嬢さんを連れて西の海辺まで来なさいな」
「決定事項なのだな……」
こうして私は食事(といっても頂いたペースト状の完全栄養食を飲んだだけですが。とても不味かったです……)を挟んで、夜にモーズさんと西の海辺まで向かう事となりました。
そして白い巨塔の上の階にある医務室に案内して頂きました。そこのベッドは私の上官であるマイクさんとネフェリンさんが横になって眠っています。
……何故です!?
「ベッド2つ埋まったってマジか~」
フリーデンさんが腰に手を当てて言いました。医務室のベッドは10床。確かクスシも全員で10人でしたから、その人数分しか用意がないようです。
あとこの医務室には私が初めて会うクスシがいます。赤地に黒鷲のデザインのマスクを付けたユストゥスさんに、黄地に黒鷲のデザインのマスクを付けたフリードリヒ……いえ、フリッツさんと自己紹介されたのでした。
その2人がベッドの脇の丸椅子に座って、上官達の看病をしてくださっていました。
「ああああの、上官達は一体どうしてしまったのでしょうか!?」
「そう心配しなくていいよ、クリスさん。女性の方はアトロピンくんの逆鱗に触れて、男性の方はシアナミドくんの試し行動に引っかかっただけだから」
「フリッツさん、それ絶対『だけ』で済まない案件じゃないですか~」
「あの穏やかで物静かなアトロピンが怒る……? 何をどうすればあの人は怒るのだ……?」
フリッツさんの説明を聞いて、フリーデンさんはけらけら笑い(笑い事じゃないんですけど!?)モーズさんは首を傾げます。
どっちにしろ、私には何の説明になっていないのですが!?
「あのっ! アトロピンという方を怒らせるとどうなるのですか!?」
「脱力、記憶障害、せん妄状態にさせられちゃうね。だから今日の記憶吹っ飛んでいると思うよ、彼女。しかも倒れた時に危険植物に触っちゃったものだから、炎症を抑える処置をしておいたよ」
「まさか、その女性は植物園で倒れたのか? 運が悪ければ死に至り、更に運が悪ければ数年激痛に悩まされる植物が生えるあの場所で」
えっ。数年激痛に悩まされる植物って何ですか?
「そう。ギンピ・ギンピとか、麻酔も効かない神経毒を持つ植物もそこら辺に生えている所で倒れたものだから、僕も肝を冷やしたよ。ローレルジンチョウゲに触れただけで済んだのはまだ運がよかったかなぁ」
こ、怖い。何ですかその麻酔も効かない毒を持つ植物って!
アバトンが危ないのはネグラだけではないのですね……!?
「え、えっと、ではシアナミドという方の試し行動? とは……!?」
「あいつは風紀にうるさいやつでな。特に日の高い内からの飲酒を嫌う。恐らく法の番犬たる警察官に興味を持ち、この男に声をかけ、社交辞令を聞いて気に入ったのだろう。そしてアルコールを摂取していないかの試し行動を行い、急性アルコール中毒にされた、といった所か」
「そ、そんな! マイク上官は仕事中にアルコールを摂取する方ではありません!」
私はユストゥスさんの説明に反論します!
確かにマイクさんは笑顔が胡散臭いですし、喋っている内容の大半はお世辞だったりしますが、視察先でお酒なんて飲むはずありません!
「ふん、『飲酒』の概念を改めろ。シアナミドの毒素にかかれば、アルコール度数が1%未満なドライフルーツやリキュールケーキ、場合によっては消毒用アルコールだろうと体に付けていれば急性アルコール中毒になる」
「え、えええっ!?」
初見殺しトラップが過ぎませんか!? 一体全体、どう回避するのですか~!?
「まー。アバトンはちょっとの気の緩みが致命傷になるような、気が休まらない危険地帯ってこった。クリスさんも気を付けてな~」
「ううう、はい……」
「警察官という立場でも意外と軽率に行動してしまうのだな。そもそもこの程度の薬学もわからないとは……。だから安易に招き入れると、危険性を把握出来ず事故を起こしてしまうのか。ラボが客人を入れたがらない理由が少しわかった」
フリーデンさんの話を聞いてモーズさんが一人頷いています。「知識量の差に今気付いた」といった感じです。
モーズさんは求められる知識が多い事に困惑しなかったという事ですか? 即座に順応したという事ですか? それどころか彼の雰囲気から『このぐらいは一般常識、当たり前』とまで思っていた気配がします。ええええ。
モーズさんもしかして、クスシになる以前から有識者に囲まれて育ってきました?
「それでこのベッドを埋めてる2人ですけど、この後どうするんですか?」
「流石にこのまま帰せないから、1泊させるよ。国連にも何を言われるかわかったものじゃないからね」
「私が散々、勝手な行動は慎めと忠告したというのに……! 短絡的な愚か者どもめ……!」
ユストゥスさんがベッドの柵を握り締めて苛ついています。うう、身体の大きな男性が怒ると怖いです。
「クリスさんもここのベッド使いな~? てか他にお客さんが使える寝床ないし」
「え、えっと、ご迷惑なら乗ってきた車で車中泊いたします!」
「それでは疲れが取れないだろう」
「う、うぅ。では、お言葉に甘えて……」
「あら、1泊するの? それは丁度よかったわ」
フリーデンさんとモーズさんにベッドの使用を勧められ承諾したその時、医務室の出入り口から水銀さんからひょっこり顔を出しました。
そして私に向かって手招きをしてきます。
「お嬢さん、夜の9時に西の海辺に来なさいな。貴方が会いたい人に会わせてあげる」
「水銀! 許可なく部外者を連れ回すな!」
「施設の外だからいいと思ったのだけれど……。ボクはただ、お嬢さんに夜の海を見せたいだけよ。アバトンの海ってとってもロマンチックなんだから」
咎めるユストゥスさんに対して、クスシの見張り付きで全く構わないから、是非海を見て欲しいと水銀さんは私に提案します。
えっと、私はどうすれば?
「じゃあモーズ同伴にしとくか?」
「わ、私か?」
「それじゃモーズ、後でお嬢さんを連れて西の海辺まで来なさいな」
「決定事項なのだな……」
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