触手生物に溺愛されていたら、氷の騎士様(天然)の心を掴んでしまいました?

雪 いつき

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*水棲パキュロス

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「アオバ、どうし……パキュロス?」
「んんー!」
「君は本当にパキュロスに好かれるな」
「んーっ、んんぅー!」

 いいから助けて!

「水辺に棲むパキュロスは水と藻を食べて育つ。動物が舐めて水分補給をするくらいだ。危険はない」
「んんっ、んぐっ」

 そういう問題じゃない、と訴えていると、口の中でうねうねと動き出した。
 確かにただの水のように冷たく、おかしな味もしない。でも普通に気持ちが悪い。舌を擦られ、引っ張られて、抜き挿しされる度にぐぽぐぽと嫌な水音が立った。

「ふぅっ、う……うぁ、んむッ」

 唾液と混ざり、じゅぷじゅぷと卑猥な音に変わる。時折喉奥まで突っ込まれ、ゴツゴツと突かれた。


「うっ、うぇっ、んぐっ」

 これは……あれだ。後頭部を押さえ付けられて、無理矢理アレを奉仕させられてるようで気持ちが悪い。口の中で震えるところも、喉にトロリとした水が流れ込んでくるところも、あまりにリアル。……男のモノを咥えたことなんて当然ないけど。
 じわじわと体の奥が熱を持ち、妙な高揚感が湧き起こる。口の次は全身をひんやりしたものが這い始めた。

「好かれ過ぎるにも、程があるか」

 シグルズは呑気に苦笑する。

「パキュロスの弱点は火だ。焚き火程度でも追い払うくらいは出来る。待ってろ、今火を……」

『ピイィィ!!』

 火打ち石を取り出すと、パキュロスは突然叫び声を上げた。

「んぅっ、え……うわっ!」

 触手が口から抜け、呼吸をすると同時に体が宙に浮いた。そして俺を拘束したままで、パキュロスは森の奥へと走り出した。


「何故アオバをっ?」

 火打ち石を持ったまま、シグルズが後を追いかけてきてくれる。

「ぷにぷにしてるのに速いっ……あっ、ジン!」
「ん? ……は!? アオ様!?」

 ジンジャーが反応するより速く、そばを通り過ぎた。

「え? 今の、何?」

 唖然としながら追いかけてくれるジンの隣を、シグルズが併走する。

「見ての通り、アオバがパキュロスに攫われた」
「パキュロスって人攫うんすか!? てか走るんすか!?」
「聞いたこともないが、初対面時も蔦型に吊り下げられていた」
「えっ!? 聖者様ってフェロモンかなんか出てるんすかね!?」
「さあな。他の聖者に会ったことがないから分からない」
「ですよね!?」

 二人も速いけど、パキュロスも同じくらい速い。距離は一向に縮まらない。


「やっ、やばっ……」

 絡み付いてた触手が合体して、いつの間にかスライムに取り込まれたみたいになってるんだけど……。
 透けた緑色の物体から、顔だけ出してる状態。……でもこれ、水に浸かってるみたいで冷たくて気持ちいい。
 顔周りも空間を空けて覆われて、枝が当たらないよう守ってくれている。傷付ける気がないどころか、これは本当に好かれてるのかもしれない。

「気持ちは嬉しいけどっ、こらっ、服の中に入るなっ」

 水のようできちんと触手型のそれが、服の中に入り込み全身を這う。胸を揉まれても、残念ながら柔らかい肉も何もない。
 この触手がもし母乳を求める赤ん坊だったら申し訳ないな……。あまりに執拗に胸を揉んだり乳首を吸ったりしてるけど……。

「ごめんな、俺、男だから何も出ないんだよ」

『ピィ……』

 小さな声が、残念がっているように聞こえる。ないはずの母性が刺激された気がした。


「ほら、川に戻ったら食べ物いっぱいあるだろ? 戻ろう?」

『ピ……ピィ!』

 減速し始めてホッとしたのも束の間、何かに気付いたパキュロスは加速して崖の上へと跳び上がった。

「跳ぶの!?」

 切り立った崖をぴょんぴょんと登っていく。そして着地したパキュロスは、満足そうに俺の全身を撫で回し始めた。

「だから何も出ないって……うわっ! そこは駄目だっ」

 ずりゅ、と下のモノを擦られ、びくりと震える。するとここだとばかりに激しく上下に擦り出した。

「んんッ……は……はぁっ、だめ、だっ……そこはっ」

 そこなら、出るけど。出るには出るけど、飲んでいいものじゃない。母乳と違って栄養価もないし……いや、パキュロスにとってはあるのかも?

「ううっ……でも俺が触手に犯されるとか、絵的にアウトっ……」

 美少女でも美女でもないし、せめて儚げな美少年なら絵になった。悲しいかな、俺に儚さ要素は一切存在しない。

「ひっ、だめっ……で、るっ……」

 声が引きつる。射精した感覚がありつつも、ひんやりしたものに包まれていまいち感覚が分からない。ただ達した後の特有の倦怠感はあって……。


「は……? ひぃッ……、待っ、今イったばっかッ」

 達したばかりのモノを扱かれ、鈴口を痛いほどに擦られて目の前に星が散った。

「うあっ、んぐッ」

 口に太いものが押し込まれ、喉奥を突かれる。摘まれたり吸われたりしていた乳首まで感じ始め、ぞくぞくとした快感が背筋を駆け上がった。

「んうっ、んーーっ!」

 全身拘束され、余すところなく刺激される。まるで全身をたくさんの舌で舐められてるような……。

「ふぅっ……ううっ」

 体の奥から、何かが込み上げる。

 怖い……なんか、くるっ……。

「うぐっ、うっ」

 ひんやりしたパキュロスの中で、服の上から下から入り込んだ触手にぐちゃぐちゃにされて、あまりの快楽と恐怖にぼろぼろと涙が零れた。
 すると口から抜けた触手が、俺の頬に触れる。まるで、慰めてくれてるように。

「ッ……! ま、またっ……イ、くぅッ……!」

 優しい触手に反して鈴口を激しく責め立てられ、感じたことのない絶頂が襲った。永遠と思えるほどに続く快楽。指の先まで痺れ、ぷつりと意識が途切れた。



「うぁ……」

 気を失っていたのは一瞬らしい。触手がぴちゃっと頭に触れた。その動きはまるで、良い子だと褒められてるようで……。
 頭を撫でられるのとか、何年ぶりだろ……。ひんやりしてベチャベチャだけど、頭を撫でられるだけで胸が熱くなり泣きたい気持ちになった。

 もしかしたら少し悪戯が過ぎるだけで、人の気持ちが分かる優しい生物なのかもしれない。何度も射精させられるのも、人間が喜ぶと間違えて覚えてしまったからで。現に傷付けられることもなく、優しく撫でられている。

「え……、ッ――……!」

 鈴口に細い触手が触れたかと思うと、突然ずぷっと尿道へと押し込まれた。

「ァッ、くぅッ……」

 敏感な場所に、感じたことのない圧迫感が生まれる。そんな場所から体内に入り込んで、何をっ……。
 内側から吸血か、内臓を喰われるか……良い生物だと思ったのに、間違いだったのか……?


 ……でも、いつまで経っても痛みはなく、少しずつ太い触手と入れ替わりながら、ゆっくりと尿道を広げられる。

「んっ、んんっ……」

 ずる……と抜かれる度、押し込まれる度にゾワゾワとした快楽が襲う。入れ替わりはすぐに終わり、丸い先端で体の内側を小刻みに叩かれる感覚。
 ……たった数回、叩かれただけ。

「ひッ、ぁ、なにっ……」

 ビリッと電気が走ったような、初めての感覚だった。

「あっ! なにっ……なにこれぇっ……!」

 トントンと奥の何かを叩かれ、体の奥から快感が湧き起こる。時折ぐりぐりと押し付けられると、目の前にチカチカと星が散った。

「あ、ひっ、あぁッ」

 開きっぱなしになった口から、上擦った喘ぎが零れる。ずっと甘い絶頂を迎え続けてるのに、容赦なく刺激される。もう射精出来ているかも分からない。ただ、ただ……気持ちが、いい。


「アオ様!」

 遠くなる意識が、その声で引き戻された。ゆるゆると視線を向けると、切り立った崖の向こうにオレンジ色の髪が見えた。……あの崖を、登ってきてくれた……。

「えっ? うえぇっ!? 何ですかあの丸いの!!」
「パキュロスだ。……だろうか?」
「シグルズ様も知らないなんてヤバイやつじゃないですか!」

 走り出そうとするパキュロスを、二人が挟み撃ちにする。一瞬俺の体の方を見て安堵したのは、透けたパキュロス越しに怪我がないことを確認したんだろう。一応だけど服も着ている。
 ただ、あまりにイきすぎて、つらい。

「っ……た、助け……っ」
「アオ様っ、今お助けします!」

 ジンは剣を抜き、パキュロスに斬りかかった。

「っ、やっぱり斬るのは無理か……。アオ様、少しだけ我慢してくださいっ」

 剣は水のようにすり抜けてしまう。それならと、パキュロスの上に乗り上げて俺を引き摺り出そうと、首元から腕を突っ込んだ。

『ピイィ!』

「ひぐッ……あ、ああッ――!」

 パキュロスの叫びと同時に、また激しく責め立てられた。力が抜けて下を向くと、パキュロスの中にじわりと広がる白濁。
 それはすぐに広がって消えたものの、服の中がまた大きく動き始める。


「………………パキュロスと……青姦……?」
「馬鹿なことを言っていないで、救出しろ」
「あっ、はい!」

 ジンを払い落とそうとする触手を逆に叩き落とし、俺の腕を掴む。でも引き出される前に、また中へと引き込まれてしまった。

「うぁ……ら、らぇ……も、出らぃ……」

 達しすぎて呂律の回らない舌で訴え、ジンを見上げる。

「っ、やっば……勃った……」
「……ジンジャー」
「すいませんっ!」
「アオバをしっかり掴まえていろ」
「了解ですっ」

 枯れ枝に火を点けたシグルズは、それをパキュロスへと突き刺した。

『ピイィン……!!』

 ばら、と触手が崩れ、体が傾く。

「よっと。救出完了です」

 素早く俺を引き摺り出し、パキュロスから離れた。

『ピィン! ピィンッ!』

 シグルズがもう一度火を起こすと、パキュロスは鳴きながら森の奥へと逃げて行った。


 ……なんか、可哀想な声だったな。

 ぴえん。

 ぴえぇん。

 ぼんやりと考えた意識は、そこでフッと暗闇へと落ちて行った。



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