9ライブズナイフ

犬宰要

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 ショッピングモールから出て、大通りを歩いているとゾンビ対策をしているようなバリケードがされた建物を見つけた。一直線に向かわせないように配置された大きなブロックと砂袋が配置されていた。ここに誰かしら住んでいると感じさせてくれた。
 
「なぁ、ここに誰かいそうじゃないか?」
 僕がムッツーに話しかけると、彼女もそう感じていた。
「話かけてみるか?」
 確かに情報は欲しいと思った。彼らはゾンビを恐れているからバリケードしてると考えるものの、あのゆっくりとしたゾンビははたして脅威なのだろうか?
「ヨーちゃん、ゾンビを甘くみてますね?」
 ツバサがグイッとやってきた。
「仲間だった人がいきなり豹変して襲い掛かってくるんですよ。小さな傷口から感染する可能性があるため、必要最低限の仲間同士だとしても、疑心暗鬼を生んでしまうんです。下手に交流を持つと私たちが囮とか何かされてしまう可能性があると――」
 ツバサが映画やドラマのような展開を教えてくれた。さっきも似たような話を聞いていたけれど、どうにもあっさりとゾンビを倒せた事によって気が緩んでいた。
「ご、ごめんって軽率だったよ」
「ヨーちゃん、安全第一だよ」
 マナチにも言われてしまった。お前、服が欲しいとかでショッピングモールに入ろうとか言っていたけれど、それを僕に言うの!? まあ、かわいいからいいか。
「それじゃ、先に進もう」
 ムッツーが言うと僕たちは先に進むことにした。
 
 すると、バリケードのある建物の方から大きな声がした。
「おい! あんたら、外をふらついてると危ないからちゃんと自分たちが築いた安全な場所に行きなよ!」
 と心配されたのだった。
「あ、ああ! ありがとう! 気を付けるよ!」
 ムッツーは一呼吸後に返事をし返した。僕たちは肩をすくめ、歩き出した。
 
「ま、まあ……その、いい人もいたりしますね」
「そ、そうだな」
 ツバサが気まずそうに言い、僕もそれに応えた。
 
 しばらく歩いていると道路に車をバリケード代わりにしたり、砂袋やフェンスなどが配置されているようになった。
 
「ここから先に何かあるのかな?」
「うーん、あ、なんかあそこに人がいない?」
 ムッツーが警戒していると、バリケードがある奥の方に人がいた。僕はちらりと見ることができ、映画などに出てくる軍人のような体格と装備をしていた。一目でこれはやべぇと感じ、ムッツーたちも感じたのか手で隠れろという仕草をだし、近くの隠れられそうな建物と建物の間に入り、身を潜めた。
 
 だが、その姿はばっちり見られていた。
 
「おい! 今そこに隠れたお前ら! どっから来た!? 我々はゾンビではないぞ! あと交戦意思はない! 無理に出てこなくてはいいが返事ぐらいはしてくれ、ゾンビなら反応できないしな!」
 野太い男の声は響き、僕たちは事前に決めていた、話が通じるなら会話するという選択をした。
「私たちはこの街に来たばかりだ、ゾンビとはなんなんだ?」
 顔を出さず、声を張り上げて質問した。
「外から来たのか、ゾンビというのは意思疎通がとれない元は人だった化物だ。近寄られ触れたり噛まれたりすると同じ化物になってしまう。肌の色が青、紫、茶色が入り混じった人だ。あんた達はそいつらに傷をおわされていないか?」
「私たちは大丈夫だ!」
「そうか! ならいい。ちなみにここまで来る間にゾンビを見かけたりしたか?」
「あっちにあるショッピングモールの駐車場にとまっていた車の中にゾンビがいたぞ!」
「情報提供をありがとう、調査に向かわせてもらう! 君たちはこれからどうする?」
 一連の会話から、あまり悪そうな人たちではなさそうだと思ったりした。
 
「なぁ、ツバサ、ジュリどう思う?」
 僕は二人に意見を求めた。大抵こういう所で出くわすような特殊部隊みたいなの人っていうのは、治安維持とか目的としているので問題ないのではと思ったりした。
「判断はできませんが、少なくともちょろっと見た彼らの装備からして、ゾンビに苦戦する要素はありませんね」
「会話から何か余裕さがあるので、ゾンビ殲滅作戦でもうまく進んでいるのかもしれないですね」
 二人の言葉を聞く限り、ゾンビには困っているが解決できる人たちなので、自分たちを利用しようとはなりにくいのかなと感じた。
 
「ここから先に進みたいか……すまないが一度顔というか目を見せてもらってもいいか? ゾンビの初期症状にかかっていないか、確かめたい。問題なかれば通ってもいい」
 どうやらムッツーが先に進みたいと伝え、それに対して僕たちの状態を確認したかったようだった。お互いに顔を合わせ、どうするか話し合った。
「何か攻撃してきそうだったら、全力反撃で」
 マナチが血気盛んな反応をしていた。
「生存確率はみんなどう? 私は80%」
 ハルミンは落ち着いた口調で生存確率を告げた。
「私は75%」
「私も同じ」
 ムッツーとタッツーが生存確率を答えた。
「私も同じく75%」
「私もです」
 ジュリとツバサも答え、残るは僕とマナチだった。
「私は90%」
「僕は70%」
 この中で僕だけが一番低い。何故だ、そしてマナチが一番高かった。やはり防具が強いからなのだろうか?
 
「よし、会ってみよう」
 ムッツーが言うとみな頷いた。
 
「わかった、今からそっちに向かう!」
 ゆっくりと建物の影から顔を出すとバリケードの向こう側に腰に手を当てて、銃を手にしていない特殊部隊風な男が待っていた。他に人はいないのか、一人だけだった。元から一人だけなのかわからないが、警戒はしておこうと僕は思った。
 
「全員マスクしているのか、防護はばっちりなんだな」
 健やかな笑顔で話しかけてきて、こいつも陽キャなのかと思った。
「それで目を見れば、というのはどういう判断なんだ?」
「あー、そのあたりからの位置からで問題ない。いや、俺がもうちょっと離れる、それで俺が左右に動くからそれを目で追ってくれればいい。ゾンビは視力が悪くなるんだよ」
 
 すると僕たちを見ながらその男は左右に動いた。
 
「ん、大丈夫そうだな。ところで車の中にゾンビがいたって本当?」
「ああ、車の中にいた」
「なるほどなぁ……となると噛まれたか傷をおってゾンビになってしまうから自分から車に閉じこもった人かもしれないなぁ」
「もう通っていいか?」
 ムッツーは彼に話しかけ、通してもらおうとした。
「ああ、構わないよ。あ、自己紹介がまだだったね、私はEXP部隊所属のシュバルツ・シャッテンだ。通称シュシャって呼ばれてる。よろしくな! 君たちは?」
 
 シュシャと名乗るこの男は愛想がよく映画とかで出てくるような主人公に見えた。イケメン俳優というのはこういう人の事を言うんだろうなと思った。

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