9ライブズナイフ

犬宰要

文字の大きさ
48 / 82

48

しおりを挟む
 二階エリアのほとんどのゾンビを倒そうとした時に、吹き抜けエリアの上の方から声がした。見上げてみるとゾンビ化されていない人がいた。
「た、助けて!」
 その声は女性の声で、助けに行きたいものの、登る階段もなかった。二階から三階にいるゾンビを倒そうにも狙えない為、助けてといった人はゾンビに食われてしまった。
 
 この一瞬の出来事で僕たちは何も出来ずだったが、生存者がいて助けを求めているというのがわかったのと言葉が通じるという二点の事から、三階へ登り、ゾンビを倒していく事にした。
「この場合、助けるでいいな?」
「はい、問題ないと思います」
「よし、行こう」
 ムッツーがツバサにどうすればいいのか確かめ、即座に動くことにした。
「見殺しにしてしまったけれど――」
「いや、あれは間に合わなかった」
 タッツーが後悔を口にしたので、僕は間に合わなかったと念を押した。
「あの位置じゃさすがに無理だった」
「そ、そうね」
 悔しさを滲みだしながら彼女は言った。
 
 僕たちが三階に行くと、先ほど助けを求めていた人はゾンビに食われ、ひどい状態になっていた。そこで僕はショッピングモール内のゾンビと今襲われたゾンビの違いに気づいた。
「なんで今ここにいるゾンビはキレイなゾンビなんだ?」
 食われていた人がぶるぶると震えだし、他のゾンビと同じように立ち上がり、ゾンビ化したのだった。
「唾液や血液などといった感染によってゾンビ化するタイプですね」
「このタイプはフェロモン的なもので同じ仲間かどうか判別してるゾンビかと」
 ツバサとジュリがゾンビに関して説明してくれた。
 
 僕たちは近寄ってくるゾンビたちに銃口を合わせ、発砲していった。頭を破壊すると動かなくなるので、近寄ってきたゾンビたちを次々と倒していった。
 
 しかし、倒せば倒すほどゾンビは湧いてきた。
 
「三階のゾンビは一向に減らないのはなんでだ?」
 僕は誰かに問いかけた、誰か答えを知っているかもしれないと思ったからだ。するとムッツーがもしかしてと教えてくれた。
「もしかしたら、ここの住民は上へ上へと逃げていて、それでゾンビに囲まれていたとか」
「ヘリで救助を待っていたとか、ゾンビ映画の定番ですね」
 ムッツーとツバサが答えてくれたので、謎は解けた気がした。
 
 僕たちは、迫りくるゾンビたちを撃ち倒し、見える範囲のゾンビは全て撃退した。
 
 最初に襲われていた女性以外は目立った外傷はなく、ウイルス感染によるゾンビ化説が一番高くなった。
「屋上や駐車場へ続く場所にももしかして隠れているゾンビがいるかもしれないので注意して見てみましょう。もしかしたらまだ生き残りがいるかもしれないですし」
 ツバサが言うとみなそれぞれ警戒しながら一緒に三階を探索することにした。
 
 +
 
 駐車場への出入り口があり、そこには多くのゾンビが溢れていた。出入口は閉まっているのでショッピングモール内には入ってきてはいなかった。ショッピングモールとは別に駐車場エリアがあり、そこに連絡通路があるような作りだった。
「この世界のゾンビはおとなしいゾンビでよかったなと思いました」
「活発で攻撃的なゾンビだったらハルミンが本気出さないと死んでますね」
「え、そんなゾンビいるの?」
 ツバサとジュリが言うと、ハルミンがビクッと引いていた。
「ええ、いますよ。ゾンビ同士で協力してきたり、すごい身体能力持ったゾンビとかいますよ。頭撃っても再生したりするのでマシンガンでバラバラにしないといけなかったりしますね」
「うぇぇ」
 ハルミンが嫌そうな声を出していた。
 
「それでどうする? ドアを開けて、こっちから行く?」
「ここの連絡通路なら、待ち構えてハルミンが撃てば解決じゃないか?」
 僕がどうするか言うとムッツーが答えた。そのあと僕とムッツーがハルミンの方を向くと――
「ん、わかった」
 ハルミンは銃を召喚し、銃架と呼ばれる大きな三脚も召喚した。
「後ろや撃ち漏らした時のフォロー、お願いね。あ、ドアって……壊してもいいよね?」
「ゾンビしかいないし、いいんじゃない」
 僕がそういうとハルミンのマシンガンが火を噴いた。
 
 銃声が鳴り響き、その音に引かれたのか駐車場のゾンビたちが一斉に連絡口の方へのそのそと歩いてはマシンガンの餌食になっていった。マシンガンの後ろを警戒していたものの、ショッピングモール内の見えるところのゾンビは倒しきったのか、現れなかった。
 数分、数十分経ったのか、駐車場からやってくるゾンビは全て全滅したのか、もう出てこなかった。連絡通路から先の駐車場は動かなくなったゾンビの肉片で埋め尽くされていた。元人間だったものが、肉塊になった事に自分たちは平気ではないものの、生き残るためという名目があるから強くなったと思った。
 
「とりあえずゾンビは倒しきった、って感じか」
「もしかしたらまだどこかの部屋に生存者いるかもしれないけど、この様子だとゾンビだったら襲われる可能性もあるかもしれないわね」
 タッツーが可能性を示唆してくれ、僕は自分の考えを改めた。
「確かにありえそうだ。気を付けないとな」
「それでこれからどうしようか」
 ムッツーがショッピングモールにいるゾンビを倒し、今後について話を振った。
 
「服もないし、先に進みたいと思います」
「どんまい、マナチ」
「あ、でもどうしてゾンビになるのかわかったのでよかったと思います」
「目の前でゾンビになったのを見たので、多分私たちはゾンビにならないかと」
「ここに来たのは無駄じゃなかった、そう思う事にする」
 マナチが前向きに話を締めて、僕たちはショッピングモールを出て光りの方を目指すことにした。
 
 ここがゾンビタウンだとわかったこと、どうしてゾンビがというのはツバサとジュリにアニメ、映画、などから可能性を教えてもらい、それぞれが納得していった。ただ、この世界が異世界なのか、未来の世界なのか、といった答えは見つからなかった。
 三階にある本屋にも書籍が置いてあるわけでもなかったので、あれこれ憶測を言い合いながらゾンビにならないという成果が一番大きい事だとツバサとジュリに教えられた。ゾンビになったらどうなるのか散々聞かされ、自分たちが持つアビリティ・スキルに感謝した。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣

織部
ファンタジー
 ノルドは、古き風の島、正式名称シシルナ・アエリア・エルダで育った。母セラと二人きりで暮らし。  背は低く猫背で、隻眼で、両手は動くものの、左腕は上がらず、左足もほとんど動かない、生まれつき障害を抱えていた。  母セラもまた、頭に毒薬を浴びたような痣がある。彼女はスカーフで頭を覆い、人目を避けてひっそりと暮らしていた。  セラ親子がシシルナ島に渡ってきたのは、ノルドがわずか2歳の時だった。  彼の中で最も古い記憶。船のデッキで、母セラに抱かれながら、この新たな島がゆっくりと近づいてくるのを見つめた瞬間だ。  セラの腕の中で、ぽつりと一言、彼がつぶやく。 「セラ、ウミ」 「ええ、そうよ。海」 ノルドの成長譚と冒険譚の物語が開幕します! カクヨム様 小説家になろう様でも掲載しております。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

追放されたお荷物記録係、地味スキル《記録》を極めて最強へ――気づけば勇者より強くなってました

KABU.
ファンタジー
「記録係なんてお荷物はいらない」 勇者パーティを支えてきた青年・ライトは、ダンジョンの最深部に置き去りにされる。 彼のスキル《記録》は、一度通った道を覚えるだけの地味スキル。 戦闘では役立たず、勇者たちからは“足手まとい”扱いだった。 だが死の淵で、スキルは進化する。 《超記録》――受けた魔法や技を記録し、自分も使える力。 そして努力の果てに得たスキル《成長》《進化》が、 《記録》を究極の力《アカシックレコード》へと昇華させる。 仲間を守り、街を救い、ドラゴンと共に飛翔する。 努力の記録が奇跡を生み、やがて―― 勇者も、魔王も凌駕する“最強”へ。

巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった

ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。 学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。 だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。 暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。 よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!? ……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい! そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。 赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。 「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」 そう、他人事のように見送った俺だったが……。 直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。 「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」 ――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。

処理中です...