9ライブズナイフ

犬宰要

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 その日の目覚ましは爆発音だった。
 
 僕たちはすぐに目覚め、寝ぼる暇もなく、服をすぐに召喚し着替えた。お互い頷き、すぐに建物の外へ出る事にした。シャッターが上がるのをもどかしく感じる中で、それぞれが食べ物や飲み物を召喚し、急いで口にしていた。
 シャッターが開き、道路に出るとマンホールの至る所から炎が噴き出ていた。燃え盛る炎の熱を感じ、顔をしかめる。また爆発音がし、燃え盛った炎が火柱となった。
 
「大通りを探そう、そして、病院へ向かおう」
 現在地はわからなかったが、大通りを探していけば病院があった場所や見たことがある風景からたどり着けると思ったからだ。僕たちはマンホールがあった場所や排水路などで火が出ているのを避けながら、大通りを目指していった。
 
 大通りに向かう途中、大きな穴が開いているところを見つけ、下を覗いてみると真っ暗でそこが見えない状態だった。そこに建物があったはずなのに、そこが見えないくらい深い穴だとわかり、よく自分たちが助かったものだと感じた。
「この街の下ってどうなってんだろう」
「――もしかしたら……」
 ツバサが何か言おうとした時に、また爆発が起き、地面が揺れた。
「げっ!」
 僕は思わず、口に出してしまったのは見えなかった底からうねうねと触手が見えたからだ。
「もしかしたら、これか?」
「いえ、巨大なジオフロントと呼ばれるのがアニメとか映画であったのでそれかなぁと思ってましたがまさか触手だとは全く思いませんでした。すみませんでした」
 やけに早口でツバサが後ずさりしながら言った。その横でハルミンの身体が小刻みに震えて、怖い目をしていた。何か汚物を見るような、そんな目だった。
「ハ、ハルミン?」
 僕がハルミンに声をかけると彼女は手のひらを穴の底に向け、そこから致死性の毒ガスが入った円筒を大量に召喚していった。
「うおぉ!? えぇぇ!?」
 数秒、数分はハルミンの行動を誰も止められずにいた。
 
 大穴に落ちないように迂回し、大通りを目指そうとすると地面から触手が生えてくる事もあったがハルミンが毎回舌打ちし、致死性の毒ガスで対処していった。彼女は銃ではなく致死性の毒ガスが入った円筒を両手で持っている状態だった。
 歩き続けていくと再度、大きな爆発が起き、近くの建物が沈下していった。するとそこから火が湧き上がっていった。触手ではなく、火の手が上がっていき、この街は瓦礫の山や廃墟の街のようになってしまうのだろうかと僕は思った。
 僕たちは、火や触手に気を付けながら、病院を目指していった。向かっている方向は不安だったが、大通りに出る事ができた。病院があるであろうと思う方向に向かっている中でゾンビは見当たらないものの、街全体が異様な雰囲気で包まれているように感じた。
 
「ねぇ、あの交差点のバリケードがたくさん置いてある場所に誰かいない?」
 マナチが指を指した方向には確かに誰かいる。よく見るとEXP部隊の服を着た人たちだった。物々しい装備をし、何かを警戒しているように見えた。
 声をかけようとすると相手もこちらに気づいたのか、周りに声をかけていた。どうやらあの人たちは無事だったようだ。
 
――すると突然、銃口を向けてきて撃ってきた。
 
 生存確率がいっきに下がったのを先に見ていた為、すぐさま身を隠せる場所に逃げ込んだ。僕は自分たちを撃ったのではなく、後ろに触手とかゾンビがいたのかもしれないと思った。身を隠した後に、後ろを見てもそこには誰も何もおらず、僕たちが隠れている場所を執拗に撃ってきていた。
 
 もしかして、僕たちをゾンビか何かと勘違いしているのかもしれない。
 
「おい! やめろ! 僕たちはゾンビじゃない! 撃つのを辞めろ!」
 大声で話しかけるものの、反応はなく一向に攻撃は止まず、本気で自分たちを殺しにきていることが疑いようのない現実だと突き付けられた。
 
「ヨ、ヨーちゃんどうして? 何が起きてるの!?」
 マナチは混乱していた。
 ツバサとジュリは頭を抱えて震えていた。銃を持った人たちに狙われたことなんて今までない。今までは化物で飛び道具なんて使ってこなかった。そりゃ怖い。僕もめっちゃ怖い。
「どうする? ヨーちゃん、反撃するしかないよ」
 ハルミンはいつの間にか両手に銃を持っていた。壁に背を預けながら、片目で僕に何かを訴えかけていた。僕はこうなる可能性を考えていないわけではなかった。考えてなかったわけじゃない、ムッツーとタッツーの事でそういう可能性があるという事を受け入れたくなかった。
 
 もしかしたら、彼らが――。
 
 僕は銃を持ち、ハルミンと共に反撃をしようと決めた時に悲鳴が聞こえた。
 
「うあああああああああ!!!!!!」
 
 銃撃が止んだので、頭を出して覗いてみると何かに向かって彼らは銃を撃っていた。マンホールから這い出た触手に襲われ、銃で対処しようにも倒せないのか、一人、また一人と触手の餌食になっていっていた。気が付くと銃撃音は止みEXP部隊の人は一人残らず引きずり込まれていったようだった。
 
「いったい、何が起きてるんだ……?」
「わからないけど、助かったね。あの人たちには悪いけれど、自業自得だと思う」
 ハルミンが吐き捨てるようにいった。EXP部隊の人たちがいた場所を迂回し、僕たちは病院へと急いだ。

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