9ライブズナイフ

犬宰要

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 僕たちは、彼女たちがどういう状況で何をしてきたのか知らなかった。今は多少なりとも知っている。
「でもわかるよ、こわかったって……私たちだって怖い……でもあなたたちより私たちはもっと怖かった」
 ヒロミが僕たちを見ずに言う。
「僕たち、いや、僕は君たちから逃げるように――」
「そうだね、一度だって立ち止まらなかった」
 どこか僕は彼女が弱弱しく見えた。同時に自分も弱くて向き合えていないと感じた。鏡を見ているような、そんな気がした。
 僕たちと比べて、ヒロミとアイは二人だけだった。寄り添い合って今まで乗り越えてきたんだろう、さっきだって二人でこのアーネルトとアンネイたちからの脅威に立ち向かった。
 
「僕は、僕たちはヒロミとアイの事を知らない。何があってどうやってここまで来たのか、だから教えてくれ。僕は今までの事を話したい。これだって、このことだって僕たちがお互いに気づいたことを話して、それでやっと生き延びてこれた。だから、せめて、その、一緒にいるのは難しいかもしれないけれど……友だちになってくれませんか!」
 僕はアーミーナイフを出し、互いに知らなかった事を共有して生き延びる事が出来たというこれからに繋がる話をした。多分、もしかしたら一緒にはいたくないと断られるかもしれないけれど、互いに情報を交換し、何かあったら助け合えるそんな仲になれればと思った。
 
「い、嫌だ。そ、そんな事いって、ど、ど、どうせ私たちを都合よく利用するだけでしょ」
「そ、そんなつもりは――」
「私たちが気持ち悪いモンスターたちを倒してきた、これからだって倒して、倒しつくす。あ、あなたたちが私たちを利用しようとするなら、こ、殺す!」
 ヒロミが僕たちに対して殺す、と言った瞬間、近くで誰かが銃を構える音がした。
 
 誰か、誰かなんて僕たちの中の誰かだ。
 
「ほらね、利用できないから排除しようとするんだ!」
 ヒロミが言った相手は二丁の銃を構えていた。
 
「やめろ!」
 僕はヒロミとアイの前にたち、銃を構えて泣きそうな顔をしているハルミンに立ちはだかった。
「どいてよ! こいつら殺すって言った。殺されるくらいなら殺すわ! もう嫌なの! こんな世界のどこで生きていけって言うの! 元のさぁ、元の世界にさ、帰りたいのに、もしかしたら、こいつらが知っていたかもしれないのに、私、私たちだけでどうやって元の世界に帰るっていうの! もういやぁぁぁ!!!!」
 
 ハルミンは泣き叫んだ。銃口は下に向けられ、銃が地面に落ち、ハルミンは座り込んで泣いた。
 
「難しいし、つらいけど、探すしかない。これから色々しって生きなきゃいけないんだ。たまたま運が良く自分たちが生き延びてきた。そして、騙されて殺されるところを運よく助かった。ヒロミとアイのおかげもあって、助かった、それでいいだろう……」
 僕はハルミンに手を貸して、立ち上がらせ、背中をさすった。
「ヒロミ、アイ、僕の仲間が銃口を向けてごめんな。僕たちはここから去るよ。その施設にある円状のケースに入ってる僕たちの仲間だった人がいるんだ。可能なら埋葬してくれると嬉しい。あとさ……も、もしこれからどこかで会ったら一緒に協力し合わないか? 協力できなくても会話でもいい、何かあれば僕は君たちを助ける」
 
「べ、別に構わない。い、嫌じゃねぇし」
「私も、別に」
 ヒロミとアイは今は無理でも次はと約束してくれた。僕たちには時間が必要だと思った。
 
 僕はマナチ、ハルミン、ツバサ、ジュリをそれぞれ見て、伝える。
「出よう、この街から、とりあえずはあの光りを目指して、確かめてみよう」
 みんなそれぞれ頷き、病院だと思っていた施設から出る事にした。
 
 僕はそういえば、瓦礫の山で拾ったデジカメを思い出し、ポケットからでした。二人の方を向き、そのデジカメをアイに渡した。
「あ、私の……」
「お前は……律儀な奴だな」
「これって、その……」
 中身を見た事やどう言ったらいいのか整理が付かず言い淀んだ。
「ありがとう、ふへへ」
 アイはおどおどとしながらも、デジカメを受け取りぎこちなく笑っていた。そういえば、ツバサとジュリも最初はこんな感じだったことを思い出した。
 僕は持ち主に返す事ができ、僕はこれ以上話す事もないのでマナチたちの方へ向かった。
 
 病院だと思っていた施設から出て、空を見上げるとこの世界に来た時と変わらないどんよりとした曇り空と遠くの方で光りが見えた。爆発の音もせず、マンホールから炎が湧き出てる音があたりを支配していた。僕たちは互いに見つめ合った。
 
「これからどうしようか、ってあの光りを目指すんだよね」
「ああ、この街から出る事になるけれど、いいか? その……ムッツーとタッツーの事」
 僕はムッツーとタッツーのことをあの二人に任せてしまった。ハルミンには何か悪い事をしてしまったような気がした。
「ううん、いいの……二人が、二人が私たちに残してくれたものがあるから」
 ハルミンは両手に持った銃を見て、泣いていた。マナチは彼女の背中をさすっていた。
「も、持ち歩くよりもこのドローンで一緒に追従させるのはどうかな、そのなんていうか――」
「そうね! ってさっきは勝手に銃を構えた時に召喚したけれど、ドローンってどうなったの?」
「あ、銃だけ消えました。なのでこの通り」
 ハルミンの横にドローンが近寄り、なんか銃を返してもらいたそうにしているようだった。
 
「ヨーちゃん、その……私、気になっていたのですがヒロミはどうやって瓦礫の山でシュシャを敵だとわかったんでしょうか?」 

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