30 / 32
30.
しおりを挟む
結婚式は滞りなく終わり、ブーケを投げる時が来た。アンソロジー学園のクラスメイトが前面に出てくる。
その時、なぜか聖なる乙女のマリアーヌも、そのクラスメイトの中に便乗したように混ざっている。
ティアラベルローゼは、ブーケを投げるとき、わざと聖なる乙女がいるところとは反対側のクラスメイトに向かって投げた。
当然、マリアンヌは拾えず、悔しそうな顔をしていた。マリアーヌの傍にいたクラスメイトも同様で、でも、近くに見知らぬ女がブーケを奪おうと狙っていたことを知ると、急に大声を出し、不快に糾弾をし始めた。
「アナタ誰よ?」
気づけば、クラスメイト達は、マリアーヌを取り囲むように立ち、逃げ道がなくなってしまっている。
「私もアンソロジー学園の同級生ですの」
「そう?では、どのクラスなのかしら?わたくしたちは、聖女様から招待状を受けて、参加しているけど、アナタは、さっきまで大聖堂のどのあたりにいらしたのか教えてくださる?」
当然、マリアーヌは招待状を持っていない。別に招待状がなくてもいい話だけど、前世、聖なる乙女に煮え湯を飲まされたティアラベルローゼからしてみれば、招かれざる客に違いはない。
クラスメイトがマリアーヌの正体に気づいてしまう。
「アナタ、ひょっとしてマリアーヌ様?確か、聖なる乙女を名乗っていたわよね?」
「そう言えば、新郎のアレキサンドラ殿下に付きまとっている女がいたわね。本当に、聖なる乙女かどうか、疑わしいものね」
「どうせ玉の輿狙いだけでしょ?図々しいにも程があるわ」
あっという間に、マリアーヌは、クラスメイト達により、つるし上げられていく。
「私、そんなつもりでは……」
「だったら、なぜ、ここにいるのよ?」
「アナタまさか、聖女様からアレキサンドラ殿下を奪うつもりで来たのではないでしょうね?」
マリアーヌは、とうとう耐えられなくなり、泣き出してしまうが、いつもマリアーヌの尻を追い掛け回していたクリストファーもマクシミリアンも、知らん顔をしている。
こういうところが、ティアラベルローゼが選ばなかった最大の理由だとも気づかない。弱いものを護れず、他人事のような顔をしているところ、状況が悪くなると他人のせいばかりするところ。何不自由ない王子様特有の性格かもしれない。
前世は、アンドリューもまさに、その典型のような人物だったが、死に戻ってから、少しは変わったようだ。でも、もう今更遅い。
前のままの性格なら、死に戻った意味がないというもの。
アレキサンドラは、マリアーヌがつるし上げられているのを尻目に、ティアラベルローゼの手を取り、馬車に乗り込むように促した。
これから、待ちに待った「初夜」の儀式で緊張を隠せない。
今日、ティアラベルローゼを抱けば、確実に次期王位に就ける。喜びもさることながら、責任の重さに心はつぶれてしまいそうになるぐらい緊張している。
挙式と同時に、アレキサンドラの立太子の礼が執り行われ、名実ともにティアラベルローゼは、アトランティスの王太子妃殿下となったのだ。
結婚後、ティアラベルローゼはしばらく学園を休学することになった。それも子作りのため、休学というより、王城で家庭教師による座学に変わったといったほうが早い。
だから、あと2年で卒業できることに変わりがないが、もうクラスメイトと会えないことは少々寂しい。
もしかしたら、卒業式の時、妊娠していなかったら、参加できるかもしれないと、一縷の望みを抱えている。
でも、その望みは初夜の後、すぐ断ち切られることになった。新婚旅行に行かない代わりに、少しの間も一人きりになれない日が続く。
アレキサンドラが、3か月間にわたりティアラベルローゼを拘束し続けた。
なんといっても、アレキサンドラの最初のミッションは、ティアラベルローゼを孕ませることの一語に尽きたのだから。
その時、なぜか聖なる乙女のマリアーヌも、そのクラスメイトの中に便乗したように混ざっている。
ティアラベルローゼは、ブーケを投げるとき、わざと聖なる乙女がいるところとは反対側のクラスメイトに向かって投げた。
当然、マリアンヌは拾えず、悔しそうな顔をしていた。マリアーヌの傍にいたクラスメイトも同様で、でも、近くに見知らぬ女がブーケを奪おうと狙っていたことを知ると、急に大声を出し、不快に糾弾をし始めた。
「アナタ誰よ?」
気づけば、クラスメイト達は、マリアーヌを取り囲むように立ち、逃げ道がなくなってしまっている。
「私もアンソロジー学園の同級生ですの」
「そう?では、どのクラスなのかしら?わたくしたちは、聖女様から招待状を受けて、参加しているけど、アナタは、さっきまで大聖堂のどのあたりにいらしたのか教えてくださる?」
当然、マリアーヌは招待状を持っていない。別に招待状がなくてもいい話だけど、前世、聖なる乙女に煮え湯を飲まされたティアラベルローゼからしてみれば、招かれざる客に違いはない。
クラスメイトがマリアーヌの正体に気づいてしまう。
「アナタ、ひょっとしてマリアーヌ様?確か、聖なる乙女を名乗っていたわよね?」
「そう言えば、新郎のアレキサンドラ殿下に付きまとっている女がいたわね。本当に、聖なる乙女かどうか、疑わしいものね」
「どうせ玉の輿狙いだけでしょ?図々しいにも程があるわ」
あっという間に、マリアーヌは、クラスメイト達により、つるし上げられていく。
「私、そんなつもりでは……」
「だったら、なぜ、ここにいるのよ?」
「アナタまさか、聖女様からアレキサンドラ殿下を奪うつもりで来たのではないでしょうね?」
マリアーヌは、とうとう耐えられなくなり、泣き出してしまうが、いつもマリアーヌの尻を追い掛け回していたクリストファーもマクシミリアンも、知らん顔をしている。
こういうところが、ティアラベルローゼが選ばなかった最大の理由だとも気づかない。弱いものを護れず、他人事のような顔をしているところ、状況が悪くなると他人のせいばかりするところ。何不自由ない王子様特有の性格かもしれない。
前世は、アンドリューもまさに、その典型のような人物だったが、死に戻ってから、少しは変わったようだ。でも、もう今更遅い。
前のままの性格なら、死に戻った意味がないというもの。
アレキサンドラは、マリアーヌがつるし上げられているのを尻目に、ティアラベルローゼの手を取り、馬車に乗り込むように促した。
これから、待ちに待った「初夜」の儀式で緊張を隠せない。
今日、ティアラベルローゼを抱けば、確実に次期王位に就ける。喜びもさることながら、責任の重さに心はつぶれてしまいそうになるぐらい緊張している。
挙式と同時に、アレキサンドラの立太子の礼が執り行われ、名実ともにティアラベルローゼは、アトランティスの王太子妃殿下となったのだ。
結婚後、ティアラベルローゼはしばらく学園を休学することになった。それも子作りのため、休学というより、王城で家庭教師による座学に変わったといったほうが早い。
だから、あと2年で卒業できることに変わりがないが、もうクラスメイトと会えないことは少々寂しい。
もしかしたら、卒業式の時、妊娠していなかったら、参加できるかもしれないと、一縷の望みを抱えている。
でも、その望みは初夜の後、すぐ断ち切られることになった。新婚旅行に行かない代わりに、少しの間も一人きりになれない日が続く。
アレキサンドラが、3か月間にわたりティアラベルローゼを拘束し続けた。
なんといっても、アレキサンドラの最初のミッションは、ティアラベルローゼを孕ませることの一語に尽きたのだから。
699
あなたにおすすめの小説
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
三回目の人生も「君を愛することはない」と言われたので、今度は私も拒否します
冬野月子
恋愛
「君を愛することは、決してない」
結婚式を挙げたその夜、夫は私にそう告げた。
私には過去二回、別の人生を生きた記憶がある。
そうして毎回同じように言われてきた。
逃げた一回目、我慢した二回目。いずれも上手くいかなかった。
だから今回は。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。
パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、
クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。
「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。
完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、
“何も持たずに”去ったその先にあったものとは。
これは誰かのために生きることをやめ、
「私自身の幸せ」を選びなおした、
ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。
七年目の裏切り 〜赴任先の夫から届く愛の手紙は、愛人の代筆でした〜
恋せよ恋
恋愛
「君は僕の最愛だ。もう二度と、君を危険に晒したくない」
命懸けの出産後、涙を流して私を抱きしめた夫ジュリアン。
その言葉通り、彼は「私を大切にするため」に夜の営みを断った。
私は、女としての寂しさを「愛されている誇り」に変え、
隣国へ赴任した夫を信じて二人の子供と家を守り続けていた。
毎週届く、情熱的な愛の手紙。タイプライターで綴られた
その愛の言葉を、私は宝物のように抱きしめていた。
……しかし、その手紙は「裏切り」だった。
夫が異国の地で、愛人と肌を重ねながら綴らせていた「偽りの愛」。
身分を隠して夫の赴任先の隣国へと向かった私が見たのは……。
果たして、貞淑な妻・メラニアが選んだ結論は……。
子供たちのため結婚生活の継続か、それとも……。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる