8 / 79
前世
8.死
しおりを挟む
いくら裏口を通って、帰ったと言っても、やはりというべきか、すでに居住しているタワマンを特定されていたのだ。
その日は、真一さんの携帯電話に電話して、助けを求めたら、すぐ退社して駆けつけてくれたが、怖くてたまらない。
そして、次の日もその次の日も、スーパーマーケットの駐車場で待ち伏せされるようになってしまう。
警察に相談するも、あまり動いてくれない。元居たファミレスの持ち株会社に相談してみることにしたら、栗栖店長は、すでに退職しているということを聞き、驚いた。
愛理にセクハラまがいのことをしていることが会社に知れ、クビになったそうだ。
それで逆恨みをして、愛理のストーカーをしているということは分かったが、対策のしようがない。
スーパーは毎日行かなくても、ネットスーパーというものもあるので、そちらを利用することにし、なるべく外出を控えるようにした。
真一さんも会社まで、自動車通勤しているので、電車などに乗らないから、外で買い物をしてくれて、とても助かることは助かるのだけど、なんだか申し訳なく思ってしまう。
真一さんは、愛理と結婚してから、店舗務めではなく本社の持ち株会社へ転勤になり、そこで情報システム部に配属されることが決まったのだ。そして、お給料も上がり、役職も部下も付くことになり、栄転ムード一色になったのであるが、愛理は気が重い。
いつ栗栖が襲ってくるかわからない状況では、真一さんの栄転を素直に喜べない。
真一は、そんな愛理のために、会社が借り上げているホテルを愛理との新居にしてしまう。
情報システム部は、夜遅くまで残業を常としている部署であるから、終電に間に合わず、いつもホテル暮らしをしている社員がほとんど。
宿泊代は会社の補助があり、1泊ツインでも1000円前後、という安さなのだ。これでは賃貸マンションを借りるより安い値段。しかも水道代・電気代・ガス代込みなので、こんな便利なもの本当に享受してしまってもいいのかしら?と不安になるほどだった。
でも、さすがに一流ホテルのサービスは一味も二味も違う。セキュリティは、タワマン以上にしっかりとしていて、24時間警備保障会社が巡回してくれている。
このホテルにチェックインしてから、次第に愛理も元気を取り戻していく。
食事はルームサービス、ホテル内のレストランで済ませることが多く、愛理の自慢の手料理の腕を揮う機会がめっきりと減ってしまう。
それでもストーカーに追い掛け回されるよりもマシだから、新婚旅行がお預けとなった現在、このホテルに滞在していることが新婚旅行の代わりの役目を果たしてくれていると思い、楽しんで受け入れることにしたのだ。
ホテルに滞在して、半年ばかりが経ったある日のこと、着替えを取りに帰ろうとタワマンに立ち寄ることにしたのだ。というのも、愛理は妊娠3か月になっていて、これから出産に向けて、お金が飛ぶようになくなってくることに懸念を抱いていたからなのだ。
いつも、下着やタオルと言ったものは、真一さんが新品をクレジットカードで払って、買ってくれるけど、それではもったいなく、申し訳なく思ってしまう貧乏性で、その日は晴れて、いい天気だったので、思い切って、電車を乗り継ぎタワマンへ寄ってみることにする。
愛理と結婚してから、真一さんには散財ばかりさせて申し訳ないと思っていたことも事実で、ついでだからスーツケースを持ち出し、その中に真一さんの洋服も入れて帰ろうと思いついたのだった。
一応、会社に連絡し、産科医院を受診した後、タワマンに一度帰ることを告げる。
この頃は、真一さんは、何かというと「愛理一人のカラダではない」、というようなことを口癖のように言っているので。
仕事の合間を見て、真一さんも「自宅に寄るから、そこで待っていろ」との伝言を受け、タワマン1階のロビーで待ち合わせをすることにする。
自宅の居間で待ち合わせるということも考えたけど、後から考えれば、その方が良かったと思える、その時は軽率な行動をしてしまったことは間違いがない。
そしてロビーの自動ドアが開き、真一さんが手を振りながら近づいたとき、後ろから見覚えのある男が、締まりかけの自動ドアに身を滑り込ませるのが見える。
「あ!」と思ったとき、その凶事は一瞬の出来事であったように思える。
その見覚えのある男は、栗栖で、栗栖は、背後から真一さんのカラダを持っていた刺身包丁で、何度も貫いてしまったのだ。
ロビーにいたコンシェルジュも異変に気付き、悲鳴を上げる中、110番通報と119番を呼ぶ。
スーツケースを持ったまま呆然と立ちすくむ愛理の目の前まで、栗栖は迫ってきている。
もう逃げ場がない。
「よくも、俺を裏切りやがって」
気づいたときには、赤子もろとも、刺身包丁で刺されていたのだ。駆け付けた警察官に栗栖が拘束されている姿を見ながら意識を手放した。
その日は、真一さんの携帯電話に電話して、助けを求めたら、すぐ退社して駆けつけてくれたが、怖くてたまらない。
そして、次の日もその次の日も、スーパーマーケットの駐車場で待ち伏せされるようになってしまう。
警察に相談するも、あまり動いてくれない。元居たファミレスの持ち株会社に相談してみることにしたら、栗栖店長は、すでに退職しているということを聞き、驚いた。
愛理にセクハラまがいのことをしていることが会社に知れ、クビになったそうだ。
それで逆恨みをして、愛理のストーカーをしているということは分かったが、対策のしようがない。
スーパーは毎日行かなくても、ネットスーパーというものもあるので、そちらを利用することにし、なるべく外出を控えるようにした。
真一さんも会社まで、自動車通勤しているので、電車などに乗らないから、外で買い物をしてくれて、とても助かることは助かるのだけど、なんだか申し訳なく思ってしまう。
真一さんは、愛理と結婚してから、店舗務めではなく本社の持ち株会社へ転勤になり、そこで情報システム部に配属されることが決まったのだ。そして、お給料も上がり、役職も部下も付くことになり、栄転ムード一色になったのであるが、愛理は気が重い。
いつ栗栖が襲ってくるかわからない状況では、真一さんの栄転を素直に喜べない。
真一は、そんな愛理のために、会社が借り上げているホテルを愛理との新居にしてしまう。
情報システム部は、夜遅くまで残業を常としている部署であるから、終電に間に合わず、いつもホテル暮らしをしている社員がほとんど。
宿泊代は会社の補助があり、1泊ツインでも1000円前後、という安さなのだ。これでは賃貸マンションを借りるより安い値段。しかも水道代・電気代・ガス代込みなので、こんな便利なもの本当に享受してしまってもいいのかしら?と不安になるほどだった。
でも、さすがに一流ホテルのサービスは一味も二味も違う。セキュリティは、タワマン以上にしっかりとしていて、24時間警備保障会社が巡回してくれている。
このホテルにチェックインしてから、次第に愛理も元気を取り戻していく。
食事はルームサービス、ホテル内のレストランで済ませることが多く、愛理の自慢の手料理の腕を揮う機会がめっきりと減ってしまう。
それでもストーカーに追い掛け回されるよりもマシだから、新婚旅行がお預けとなった現在、このホテルに滞在していることが新婚旅行の代わりの役目を果たしてくれていると思い、楽しんで受け入れることにしたのだ。
ホテルに滞在して、半年ばかりが経ったある日のこと、着替えを取りに帰ろうとタワマンに立ち寄ることにしたのだ。というのも、愛理は妊娠3か月になっていて、これから出産に向けて、お金が飛ぶようになくなってくることに懸念を抱いていたからなのだ。
いつも、下着やタオルと言ったものは、真一さんが新品をクレジットカードで払って、買ってくれるけど、それではもったいなく、申し訳なく思ってしまう貧乏性で、その日は晴れて、いい天気だったので、思い切って、電車を乗り継ぎタワマンへ寄ってみることにする。
愛理と結婚してから、真一さんには散財ばかりさせて申し訳ないと思っていたことも事実で、ついでだからスーツケースを持ち出し、その中に真一さんの洋服も入れて帰ろうと思いついたのだった。
一応、会社に連絡し、産科医院を受診した後、タワマンに一度帰ることを告げる。
この頃は、真一さんは、何かというと「愛理一人のカラダではない」、というようなことを口癖のように言っているので。
仕事の合間を見て、真一さんも「自宅に寄るから、そこで待っていろ」との伝言を受け、タワマン1階のロビーで待ち合わせをすることにする。
自宅の居間で待ち合わせるということも考えたけど、後から考えれば、その方が良かったと思える、その時は軽率な行動をしてしまったことは間違いがない。
そしてロビーの自動ドアが開き、真一さんが手を振りながら近づいたとき、後ろから見覚えのある男が、締まりかけの自動ドアに身を滑り込ませるのが見える。
「あ!」と思ったとき、その凶事は一瞬の出来事であったように思える。
その見覚えのある男は、栗栖で、栗栖は、背後から真一さんのカラダを持っていた刺身包丁で、何度も貫いてしまったのだ。
ロビーにいたコンシェルジュも異変に気付き、悲鳴を上げる中、110番通報と119番を呼ぶ。
スーツケースを持ったまま呆然と立ちすくむ愛理の目の前まで、栗栖は迫ってきている。
もう逃げ場がない。
「よくも、俺を裏切りやがって」
気づいたときには、赤子もろとも、刺身包丁で刺されていたのだ。駆け付けた警察官に栗栖が拘束されている姿を見ながら意識を手放した。
440
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜
みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。
魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。
目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた?
国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』
miigumi
ファンタジー
前世では病弱で、病室の窓から空を見上げることしかできなかった私。
そんな私が転生したのは、魔法と剣があるファンタジーの世界。
……とはいえ、勇者でも聖女でもなく、物語に出てこない“モブキャラ”でした。
貴族の家に生まれるも馴染めず、破門されて放り出された私は、街の片隅――
「しろくま通り」で、小さなお菓子屋さんを開くことにしました。
相棒は、拾ったまんまるのペンギンの魔物“ピノ”。
季節の果物を使って、前世の記憶を頼りに焼いたお菓子は、
気づけばちょっぴり評判に。
できれば平和に暮らしたいのに、
なぜか最近よく現れるやさしげな騎士さん――
……って、もしかして勇者パーティーの人なんじゃ?!
静かに暮らしたい元病弱転生モブと、
彼女の焼き菓子に癒される人々の、ちょっと甘くて、ほんのり騒がしい日々の物語。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる