37 / 79
前々世
37.転生の海
しおりを挟む
王太子クリスは、学園で婚約者を見つけられなかったことが大きな痛手となってしまう。
それと言うも、クリスは婚約者の顔をまともに覚えていない。婚約者とは、お妃選定会で選ばれた政略での間柄だったために、ハナからクリスの興味の対象外だったわけで、大人の都合で選ばれた相手に過ぎなかったのだ。
それでも、顔合わせの時に婚約者に対して「可愛い」の印象はあったが、クリスは黙っていても、王子だから、それも正妃との間の正当な王位継承権を持つ身の上、黙っていても、女の方が湧いて出てくるようにクリスに群がってくる。
婚約者がクリスのもとに通わなかったから行けないのだ。との理屈が通じると思っていたのだが、学園祭のことで、親父から大目玉を食らってしまう。
それに、腹違いの王子シンリーは、婚約者がいないにもかかわらず、隣国アトランティスの王女と仮面舞踏会で出会い、恋に堕ちたそうで、婚約したいとまで言ってきたそうだ。
サザンクロス国としては、願ってもない良縁に親父はすっかり乗り気で、もし婚約が相整った暁には、シンリーを王太子の位置に据えると言っている。
そうなれば、クリスのメンツは丸つぶれになることは必定なもので、ここへ来て、群がる令嬢どもを一掃しようと試みるのだ。
そして、真の婚約者を見つけ出し、関係性を取り戻せば、親父の気も変わるかもしれない。
それにしても「美人」というほかに、特徴がないというのも困りものだ。それで仮面舞踏会の時に、美人と思われる令嬢に片っ端から声をかけまくったが、みんな断られてしまったのだ。なぜだ?
それも無理な話で、顔を忘れているばかりか、名前まで出てこない。要するに名前と顔がわからないうえに、学園に入ってから、ここしばらくというよりも全然、まったくと言っていいほど、お茶会に行っていないものだから、誰が誰だったか覚えていなくて当然なのだ。
それも王太子の地位につられている奴ばかりだから、王子に格下げになったら、ぐんと減るかもしれないし、そうなれば、真の婚約者を見つけやすくなるだろうけど、その時には婚約者殿から愛想を尽かされているかもしれないし、痛し痒しといったところ。
それにしても腹違いのシンリーは目障りな奴だな。あれほど手のものに殺せと命じたのに、いまだに生きているではないか!それに、アトランティスの王女殿下と婚約だとぉ!?到底、容認できる話ではない!
クリスは、今の婚約者に不満があるわけではないが、シンリーの婚約者の方は身分が高いから、承認要求を満足させるに十分すぎるほどの相手であることは間違いない。
だから、うらやましくて仕方がない。自分の方が何もかも小さいときから、与えられてきたというのに、何も与えられず、命まで奪おうとしていた相手の方が、持ち物が良いなど、あってはならないことと決めつけている。
だから、シンリーの婚約者を汚してやろうと思う。襲って、キズモノにしてやろう。婚約者が処女でなければ、シンリーも結婚できないだろう。
それはすなわち、外交上の問題に発展するということなど、もはや念頭にない。誰でもいいから、腕っぷしの立つ奴らに、王女を攫って来てもらい、一番目の味見はクリスが、後は順番に輪姦すれば、もう立派なキズモノの出来上がりというわけだ。
メロディーナの傍には、シンリーのほかに、サファイア、オパール、エメラルド、精霊王のデイジーまで腕の立つ人ならざる者がゴロゴロいるということは、知る由もない。
そして決行の日、どういうわけか王女殿下の周りには、いつも腕の立つ騎士がいて、どうにも手が出せずにいるクリス派、それで二人がデートしているときは、さすがに護衛もすぐそばにいないようで遠慮がちに、少し離れたところから監視するにとどめているので、
その時を狙うことにする。
騎士には手を出さず、二人が愛し合っているときは、さすがのシンリーも丸腰のはずだから、その時を狙うことにしたのだ。
「メロディーナ、愛しているよ」
「わたくしもです。殿下」
その日に限って、その部屋に結界をかけ忘れていたメロディーナは、目の前で愛する人をあっけなく殺されてしまう。
シンリーとは、繋がったままでも、だんだん体温を感じなくなっていく。
「いやあぁぁぁぁぁ」
そこへシンリーのカラダを押しのけ、まだ朦朧としているメロディーナのナカに無理やり入ろうとしてくるクリス。
思わず、クリスの根元に氷魔法を放つメロディーナ。一瞬、冷たさを感じるが、すぐに水になったクリスは、己が何をされたか理解できず、抵抗するメロディーナの首を渾身の力で締め上げていく。
サファイアたちが駆けつけた時は、すでに遅しで、シンリーとメロディーナの遺体の傍に呆然と立つクリス。
それにクリス派の腕に自信があるもの数名が、クリスの下半身に注視しながら唖然として突っ立ていたのだ。
そこで何を行うつもりだったかは、一目瞭然だったので、メロディーナ様ことアイリーン様のされたように、サファイア達は、その場にいる人間の男、全員のイチモツを凍らせていく。
アイリーン様の魂をいち早く神界へ戻すものの、自分が女神であることを忘れてしまわれたアイリーン様は、転生の海に投げ出された後のことだった……。
それと言うも、クリスは婚約者の顔をまともに覚えていない。婚約者とは、お妃選定会で選ばれた政略での間柄だったために、ハナからクリスの興味の対象外だったわけで、大人の都合で選ばれた相手に過ぎなかったのだ。
それでも、顔合わせの時に婚約者に対して「可愛い」の印象はあったが、クリスは黙っていても、王子だから、それも正妃との間の正当な王位継承権を持つ身の上、黙っていても、女の方が湧いて出てくるようにクリスに群がってくる。
婚約者がクリスのもとに通わなかったから行けないのだ。との理屈が通じると思っていたのだが、学園祭のことで、親父から大目玉を食らってしまう。
それに、腹違いの王子シンリーは、婚約者がいないにもかかわらず、隣国アトランティスの王女と仮面舞踏会で出会い、恋に堕ちたそうで、婚約したいとまで言ってきたそうだ。
サザンクロス国としては、願ってもない良縁に親父はすっかり乗り気で、もし婚約が相整った暁には、シンリーを王太子の位置に据えると言っている。
そうなれば、クリスのメンツは丸つぶれになることは必定なもので、ここへ来て、群がる令嬢どもを一掃しようと試みるのだ。
そして、真の婚約者を見つけ出し、関係性を取り戻せば、親父の気も変わるかもしれない。
それにしても「美人」というほかに、特徴がないというのも困りものだ。それで仮面舞踏会の時に、美人と思われる令嬢に片っ端から声をかけまくったが、みんな断られてしまったのだ。なぜだ?
それも無理な話で、顔を忘れているばかりか、名前まで出てこない。要するに名前と顔がわからないうえに、学園に入ってから、ここしばらくというよりも全然、まったくと言っていいほど、お茶会に行っていないものだから、誰が誰だったか覚えていなくて当然なのだ。
それも王太子の地位につられている奴ばかりだから、王子に格下げになったら、ぐんと減るかもしれないし、そうなれば、真の婚約者を見つけやすくなるだろうけど、その時には婚約者殿から愛想を尽かされているかもしれないし、痛し痒しといったところ。
それにしても腹違いのシンリーは目障りな奴だな。あれほど手のものに殺せと命じたのに、いまだに生きているではないか!それに、アトランティスの王女殿下と婚約だとぉ!?到底、容認できる話ではない!
クリスは、今の婚約者に不満があるわけではないが、シンリーの婚約者の方は身分が高いから、承認要求を満足させるに十分すぎるほどの相手であることは間違いない。
だから、うらやましくて仕方がない。自分の方が何もかも小さいときから、与えられてきたというのに、何も与えられず、命まで奪おうとしていた相手の方が、持ち物が良いなど、あってはならないことと決めつけている。
だから、シンリーの婚約者を汚してやろうと思う。襲って、キズモノにしてやろう。婚約者が処女でなければ、シンリーも結婚できないだろう。
それはすなわち、外交上の問題に発展するということなど、もはや念頭にない。誰でもいいから、腕っぷしの立つ奴らに、王女を攫って来てもらい、一番目の味見はクリスが、後は順番に輪姦すれば、もう立派なキズモノの出来上がりというわけだ。
メロディーナの傍には、シンリーのほかに、サファイア、オパール、エメラルド、精霊王のデイジーまで腕の立つ人ならざる者がゴロゴロいるということは、知る由もない。
そして決行の日、どういうわけか王女殿下の周りには、いつも腕の立つ騎士がいて、どうにも手が出せずにいるクリス派、それで二人がデートしているときは、さすがに護衛もすぐそばにいないようで遠慮がちに、少し離れたところから監視するにとどめているので、
その時を狙うことにする。
騎士には手を出さず、二人が愛し合っているときは、さすがのシンリーも丸腰のはずだから、その時を狙うことにしたのだ。
「メロディーナ、愛しているよ」
「わたくしもです。殿下」
その日に限って、その部屋に結界をかけ忘れていたメロディーナは、目の前で愛する人をあっけなく殺されてしまう。
シンリーとは、繋がったままでも、だんだん体温を感じなくなっていく。
「いやあぁぁぁぁぁ」
そこへシンリーのカラダを押しのけ、まだ朦朧としているメロディーナのナカに無理やり入ろうとしてくるクリス。
思わず、クリスの根元に氷魔法を放つメロディーナ。一瞬、冷たさを感じるが、すぐに水になったクリスは、己が何をされたか理解できず、抵抗するメロディーナの首を渾身の力で締め上げていく。
サファイアたちが駆けつけた時は、すでに遅しで、シンリーとメロディーナの遺体の傍に呆然と立つクリス。
それにクリス派の腕に自信があるもの数名が、クリスの下半身に注視しながら唖然として突っ立ていたのだ。
そこで何を行うつもりだったかは、一目瞭然だったので、メロディーナ様ことアイリーン様のされたように、サファイア達は、その場にいる人間の男、全員のイチモツを凍らせていく。
アイリーン様の魂をいち早く神界へ戻すものの、自分が女神であることを忘れてしまわれたアイリーン様は、転生の海に投げ出された後のことだった……。
354
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜
みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。
魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。
目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた?
国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』
miigumi
ファンタジー
前世では病弱で、病室の窓から空を見上げることしかできなかった私。
そんな私が転生したのは、魔法と剣があるファンタジーの世界。
……とはいえ、勇者でも聖女でもなく、物語に出てこない“モブキャラ”でした。
貴族の家に生まれるも馴染めず、破門されて放り出された私は、街の片隅――
「しろくま通り」で、小さなお菓子屋さんを開くことにしました。
相棒は、拾ったまんまるのペンギンの魔物“ピノ”。
季節の果物を使って、前世の記憶を頼りに焼いたお菓子は、
気づけばちょっぴり評判に。
できれば平和に暮らしたいのに、
なぜか最近よく現れるやさしげな騎士さん――
……って、もしかして勇者パーティーの人なんじゃ?!
静かに暮らしたい元病弱転生モブと、
彼女の焼き菓子に癒される人々の、ちょっと甘くて、ほんのり騒がしい日々の物語。
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる