転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

文字の大きさ
57 / 79
現世:新たなる旅立ち

57.新婚

しおりを挟む
 結婚式に大聖堂の司祭様、教皇ともに、ぎりぎりに間に合ってよかったけど、神界を目にした途端、お二方とも感動の余り泣き出してしまわれる。

 司祭と教皇という立場であれば、もっとも神界に近い立場だと思うのだけど、違ったらしい。

 それほどまでに司祭や教皇という立場は、俗物と化していることの表れだと思う。

 無事、28組の合同結婚式は幕を閉じるも、ペガサスとオパールの二夫婦は、しばらくの間、新婚旅行代わりとして神界に留まることにした。それは、それぞれの妻の元許婚の存在がそうせざるを得ない状況にしていく。元許婚がそれぞれの妻の実家に押し寄せ、復縁を迫るどころか、妻の命を狙うとまで言い放ったから。

 釣り逃がした魚は大きかったと今頃後悔しても遅いのだが……。そういうわけで、ほとぼりが冷めるころまで、神界に留まるつもりでいるらしい。

 アイリーンは、結界を張っているから大丈夫、とは言うものの。不意を突かれたら、どうなることかわからないのは、前世、前々世、と経験済みのことだから、大事を取った方がいいに決まっている。

 場合によれば、アムステルダムの隣国オリエンタルへ避難することもできるけど?

 あの国には、クリストファー殿下がいるから、あまり行きたくない。クリストファー殿下は、あの後もずっとアフロディーテの尻を追い掛け回しているという。

 本来ならアイリーンの受難を身代わりにさせてしまい、申し訳なく思うけど、これはアフロディーテ自身が望んだことでもあるから、ご厚意に甘えさせてもらっている。

 そうでないと、また女神であることさえも思い出させずに……来世も人間界に転生してしまうところだったのだから。

 だから、本当に助かっているとしか言いようがない。

 サファイアは、ペガサスやオパールの神界暮らしの話を聞いて、エレモアの出産後、がぜん神界暮らしにやる気を出している。

 神界暮らしをすれば、愛するエレモアはいつまでも綺麗で若いままになるのだから、夫としては、神界で暮らしてほしいところ。

 エレモアは、その申し出をあっさり承諾する。神の国から人間界を見下ろし、以前、エレモアと婚約破棄した伯爵家の行く末を見届けたいという気持ちもある。

 それに神界で出産した方が、なんとなくだけど安全のような気がする。

 アイリーンとシンイーの新婚旅行は、周辺国へ慰問に行くことにするが、その周辺国の中には、クリストファー殿下のオリエンタル国へ公式訪問するという予定が組まれている。

 アイリーンは、少々不安もあるが、まさか、隣国の王妃にちょっかいは出さないだろうと信じている。

 そして、国民に祝福されながら、新婚旅行へと旅立っていく。

 一度、神界に行ってからだったら、数十分もあれば、周辺国を回れるけど、国王陛下は、周囲の領地で泊まることで、王都以外の国民の生活を潤わせる必要があるから、あえて馬車で時間をかけて行くことの責任があると言われる。

 確かにそうかもしれない。また、そういうところに気が回るのも、シンイーの良いところだとも思う。

 どこの国へ行っても、王妃が女神さまだと知ると、すごい歓迎ぶりが嬉しい。

 そして、ついにオリエンタル国へ。

 ここだけは嫌だと言いたいが、言えない。シンイーは、理由を知っていても、なお行かなければならないという。

 仕方なく、おとなしくシンイーに寄り添う貞淑な妻を演じる。ところが、やはりというべきかクリストファーは、一瞬で王妃がステファニーであることを見抜く。

「ステファニー!探したよ。まさか、君の異能が女神さまだったとは、エストロゲン家の奴は誰も気づかなかったということか……」


「おかげさまで、異能が発現していても、誰にも気づかれず四苦八苦していたところを陛下に助けていただきました」

 嘘とも本当とも言えないことをさらりと言ってのける。

「神界で挙式をしたと聞いた。俺もぜひ、参列したかった」

「申し訳ございません。御親族の方しか参列できません」

「もう一人の女神様となら、神界で挙式できるかもしれない」

「さあ?どうでしょうか?」

「今宵は、部屋を用意した。ゆるりと休んでくれ」

 シンイーとアイリーンは、クリストファーが用意した部屋には泊まらず、タワマンの中へと帰っていくことにしたのだ。

 アイリーンにとって、オリエンタル国は祖国でも何でもない。もう少しエストロゲン家の者たちが、愛情深く育ててくれていたら、とは思うが、それ以上でもそれ以下でもない感情しかない。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

その転生幼女、取り扱い注意〜稀代の魔術師は魔王の娘になりました〜

みおな
ファンタジー
かつて、稀代の魔術師と呼ばれた魔女がいた。 魔王をも単独で滅ぼせるほどの力を持った彼女は、周囲に畏怖され、罠にかけて殺されてしまう。 目覚めたら、三歳の幼子に生まれ変わっていた? 国のため、民のために魔法を使っていた彼女は、今度の生は自分のために生きることを決意する。

【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます

なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。 過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。 魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。 そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。 これはシナリオなのかバグなのか? その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。 【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】

【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜

光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。 それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。 自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。 隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。 それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。 私のことは私で何とかします。 ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。 魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。 もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ? これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。 表紙はPhoto AC様よりお借りしております。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi
ファンタジー
前世では病弱で、病室の窓から空を見上げることしかできなかった私。 そんな私が転生したのは、魔法と剣があるファンタジーの世界。 ……とはいえ、勇者でも聖女でもなく、物語に出てこない“モブキャラ”でした。 貴族の家に生まれるも馴染めず、破門されて放り出された私は、街の片隅―― 「しろくま通り」で、小さなお菓子屋さんを開くことにしました。 相棒は、拾ったまんまるのペンギンの魔物“ピノ”。 季節の果物を使って、前世の記憶を頼りに焼いたお菓子は、 気づけばちょっぴり評判に。 できれば平和に暮らしたいのに、 なぜか最近よく現れるやさしげな騎士さん―― ……って、もしかして勇者パーティーの人なんじゃ?! 静かに暮らしたい元病弱転生モブと、 彼女の焼き菓子に癒される人々の、ちょっと甘くて、ほんのり騒がしい日々の物語。

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...