転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀

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来世:タータン国宿屋の女将として

69.行幸

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 アイリーンとアフロディーテの宿は、タータン国一、世界一、安全な宿として、王様からお褒めの言葉を頂くことになった。

 そればかりか、実際に王様が泊まりたいと仰せになられ、幸い、まだ一度も使ったことがないVIPのスイートルームがあるけど……、その日、貸し切りにするには、前からの予約のお客様を断らないといけないし、問題が山積している。

 それで、なんとか日程調整を終え、いよいよ行幸の日が来る。

 アイリーンとアフロディーテは一番いいドレスを着て、王様を出迎えることにした。王様だけでなく、王妃様までご一緒に来られることになり、かなり緊張してしまう。

 女は、男が気にしないようなところまで、見ているから気を遣う。

 この日のために、バターロールをどれだけ焼いたか。もうバターなんか1キロぐらいは、使ったと思う。

 この世界では硬い雑穀パンが主流で、柔らかいパンなど存在しない。バターロールはファミレスでよく作っていたから、まだレシピを覚えていたというだけで、他にも食パンのように、白い柔らかいパンがあるだろうけど、どうしても思い出せない。

 近衛騎士団の方も、この宿と向かいの宿に分かれて宿泊されるようで、向かいの宿に対してもいい顔ができることが嬉しい。

 でないと、いらぬやっかみを産むことになってしまうから。

 当日は、王様御夫妻にお風呂とトイレの使い方を教え、お食事は19:00から1時間半だろいうことも伝える。

 王様が部屋に入られる前に、近衛騎士団長が先に部屋に入り異常がないかチェックされるのだけど、その時、女官長が、自分の部屋からは、スイートルームまでが遠いと文句を言ってこられたので、もう一つあるスイートを女官や女官長の部屋として使ってもらうことにした。

 女は宿の部屋一つとっても、いちいち文句が多くてうるさいからかなわない。

 それぞれの部屋には防音魔法と結界が仕込んであるので、滅多なことは起こらないと信じている。

 ビジネスホテルとの違いは、冷蔵庫とテレビがないことぐらい。社宅との違いはと言えば、ランドリースペースがないことぐらいで、その中間点をアイリーンが目指したことが、如実に表れているというもの。

 そして、いよいよ19:00となり、食堂にぞくぞくと人が集まってくる。国王陛下御夫妻は、やはりルームサービスをお持ちした方が良かったかしら?心配するも、王様も王妃様も皿を持ち、列に並ばれる。

 騎士団の皆さまは、慣れた手つきで、それぞれ取り分けていかれる。きっと、野営地などで、いつもやっていらっしゃるのだろう。

 料理はスープから、デザートまでコースを意識して、取りそろえ、和洋中なんでもござれとばかりに、並べているが、どれも均等に料理が減っていくことは嬉しい。

 見たこともない料理でも、おいしそうだと思ったら、果敢にチャレンジしていく姿勢が伺える。

 行幸に当たり、いつもとは少し違ったところは、デザートメニューを豊富に取りそろえたぐらいで、後はいつもの宿屋のメニューと大差はない。

 今回は、王妃様をはじめとする、女官長や女官の女性陣が多く泊っていらっしゃるので、女性を意識したメニュー作りを心掛けたぐらい。

 後は、いつもの冒険者の宿泊客と何ら変わりはない。

 ドリンクコーナーも、サラダバーもいつもと同じ仕様。ただ、いつもは、ジョッキやグラスで提供するアルコールを、今日は樽で提供することにした。樽ごと、王家に買い取ってもらおうとする趣向で、その方が儲かると踏んだのだ。

 向かい側の宿に泊まった騎士たちは、こちらでこんな酒盛りが行われていることに気づかず、また食事の提供があることも知らされず、翌朝になってから、苦情を言われてもアイリーンもアフロディーテも、困惑するしかない。

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