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来世:タータン国宿屋の女将として
68.オカン
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アイリーンとアフロディーテの日常は穏やかで、こういう仕事なら、いいかもと思えるほどだった、冒険者だった父の死後、瘴気は急速に消え失せた。なぜなら、アイリーンがその娘のカラダに憑依したこともあるが、父が魔物にかなりのダメージを与えたもので、ほぼ相討ちという形となってしまったから。
本当のカラダの持ち主はさぞかし無念だったろうけど、この双子、実はカラダが弱く、父が死んだと聞いて、二人ともショック死になろうというところを、アフロディーテとともに、憑依したのだ。
それで奇跡的に命を取り留めたということになっているが、中身は全く別人の女神様二人がカラダを乗っ取った形になった。
まあ、もっとも生活力がない双子では、あっという間に宿屋を閉めることになるだろうし、そこそこ美形なら騙されて、どこかに売り飛ばされている可能性もなくはない。だから、二人の女神が憑依したおかげで、この家ども潰れずに済んだというもの。感謝されこそすれ、とやかく言われる覚えはない。
そんな時、来てほしくない客が来てしまったのだ。それは、蒸発したはずの実母が、男に捨てられ、舞い戻ってきた。
アフロディーテは、いっそ、このまま死んでもらおうか?などと物騒なことを言いだす始末で、とても愛の女神さまだとは思えない発言に苦笑いしかない。
「何しに来たのよ?」
「ちょっとお留守していたぐらいで、母欧に向かって、なんて口の利き方をしているの!その根性を叩きなおしてあげるわ!」
その女は思いっきり手を振り上げ、アイリーンを打とうとするが当たらない。女神さまの結界があるからだ。
「あら???……生意気な!」
「お父ちゃんとアンタは離縁しているのよ、それを今更、どの面下げて帰ってきたというの?とにかく、ここにアンタの居場所も部屋も何もないのよ!さっさと出ていけ!」
「なに、言っているのよ。お父さんが亡くなったって話を聞いたから、アナタたちを手伝ってあげようと思って、帰ってきたのに、何、その言い草は。それにアナタたちだけで宿屋の経営をするには無理があるでしょ?」
「何も困ることはありません。むしろアンタみたいな淫乱穀潰しが宿屋にいる方が、よほど迷惑です」
「また母親に向かって、なんて口の利き方をするの!」
「アンタなんか、母親だと思ったことなど、一度もありません。わかったらさっさろ出ていけ!でないと実力行使するわよ?」
その時、表のドアが開き、いかにもガラの悪そうな男たちが3人、入ってくる。
「ほう。威勢のいいネエチャンだな。いったい、どうやって、実力行使をするって言うんだ?それによく見たら二人とも、母親に似なくて、えらい別嬪じゃないか!これは、高く売れるぜ」
舌なめずりをしながら、男たちは近づいてくる。
「ちょっと、手荒な真似はしないでよ」
「わかってるって、おとなしく店の権利書を出せ!お前たちは、俺たちがたっぷり可愛がってやるからよぉ」
「ぅほぅ、こりゃ、年増より、可愛がりようがあるってもんだぜ」
「ちょっと、と閉まって誰のことよ?」
「そんなこと、決まってんじゃねえか?」
「「「ガハハハ」」」
男たちは大笑いしながら、さらにアイリーンとアフロディーテに近づいてくる。
二人の女神さまは、目配せをして、十分な距離感になるまでこらえている。近づけば、近づくほど威力が増すからだ。
そして、1メートル以内にまで、迫ってきて、ドアが開いていることを目視で確認すると、思いっきり笑顔で、結界をぶっ放した。
女神さまに悪意を持って、近づいてきた奴らを王都から締め出すほどの威力がある結界をその場ですぐに発動させたのだ。
「ドーン」という音とともに、男たちは、後ろ向きにドアの向こう側、向かいの宿屋の壁を破って、そこで気絶しているようだった。
「いつもながら、ウチの防犯システムは完ぺきよね?お父ちゃんが作ってくれただけのことはある」
訳知り顔で頷きあっていると、オカンは真っ青な顔をしながらブルブル震えている。
「アンタ、まだいたの?アンタも同じ目に遭わせてあげようか?」
そこへ騎士団がやってきて、事情聴取が始まる。
めんどくさくなった女神様二人は、ごろつきとオカンのやり取りを音声付映像で流すと、目を白黒させる。
そんなに驚くことかしらね?
「この動く絵は、魔道具か何かか?」
「よくわからないけど、お父ちゃんが作ってくれたものなのです」
死人に口なしだから、なんでも冒険者の父のせいにしておく。
「素晴らしい!さすがロビンソン様(お父ちゃんの名前)は、やることが違う。きっと後に残された二人のお嬢様のためにと思って、作っておられたのでしょう」
それで、すぐ納得してもらって、悪いのは、オカンとゴロツキということになり、一網打尽となったのだ。
後から考えるとあのオカン、前々世のエストロゲン夫人に魂の色がそっくりだったなぁと考えこむアイリーンがいる。
そうだったら、もう一度アフロディーテに石に変えてもらった方がよかったのかもしれない。
本当のカラダの持ち主はさぞかし無念だったろうけど、この双子、実はカラダが弱く、父が死んだと聞いて、二人ともショック死になろうというところを、アフロディーテとともに、憑依したのだ。
それで奇跡的に命を取り留めたということになっているが、中身は全く別人の女神様二人がカラダを乗っ取った形になった。
まあ、もっとも生活力がない双子では、あっという間に宿屋を閉めることになるだろうし、そこそこ美形なら騙されて、どこかに売り飛ばされている可能性もなくはない。だから、二人の女神が憑依したおかげで、この家ども潰れずに済んだというもの。感謝されこそすれ、とやかく言われる覚えはない。
そんな時、来てほしくない客が来てしまったのだ。それは、蒸発したはずの実母が、男に捨てられ、舞い戻ってきた。
アフロディーテは、いっそ、このまま死んでもらおうか?などと物騒なことを言いだす始末で、とても愛の女神さまだとは思えない発言に苦笑いしかない。
「何しに来たのよ?」
「ちょっとお留守していたぐらいで、母欧に向かって、なんて口の利き方をしているの!その根性を叩きなおしてあげるわ!」
その女は思いっきり手を振り上げ、アイリーンを打とうとするが当たらない。女神さまの結界があるからだ。
「あら???……生意気な!」
「お父ちゃんとアンタは離縁しているのよ、それを今更、どの面下げて帰ってきたというの?とにかく、ここにアンタの居場所も部屋も何もないのよ!さっさと出ていけ!」
「なに、言っているのよ。お父さんが亡くなったって話を聞いたから、アナタたちを手伝ってあげようと思って、帰ってきたのに、何、その言い草は。それにアナタたちだけで宿屋の経営をするには無理があるでしょ?」
「何も困ることはありません。むしろアンタみたいな淫乱穀潰しが宿屋にいる方が、よほど迷惑です」
「また母親に向かって、なんて口の利き方をするの!」
「アンタなんか、母親だと思ったことなど、一度もありません。わかったらさっさろ出ていけ!でないと実力行使するわよ?」
その時、表のドアが開き、いかにもガラの悪そうな男たちが3人、入ってくる。
「ほう。威勢のいいネエチャンだな。いったい、どうやって、実力行使をするって言うんだ?それによく見たら二人とも、母親に似なくて、えらい別嬪じゃないか!これは、高く売れるぜ」
舌なめずりをしながら、男たちは近づいてくる。
「ちょっと、手荒な真似はしないでよ」
「わかってるって、おとなしく店の権利書を出せ!お前たちは、俺たちがたっぷり可愛がってやるからよぉ」
「ぅほぅ、こりゃ、年増より、可愛がりようがあるってもんだぜ」
「ちょっと、と閉まって誰のことよ?」
「そんなこと、決まってんじゃねえか?」
「「「ガハハハ」」」
男たちは大笑いしながら、さらにアイリーンとアフロディーテに近づいてくる。
二人の女神さまは、目配せをして、十分な距離感になるまでこらえている。近づけば、近づくほど威力が増すからだ。
そして、1メートル以内にまで、迫ってきて、ドアが開いていることを目視で確認すると、思いっきり笑顔で、結界をぶっ放した。
女神さまに悪意を持って、近づいてきた奴らを王都から締め出すほどの威力がある結界をその場ですぐに発動させたのだ。
「ドーン」という音とともに、男たちは、後ろ向きにドアの向こう側、向かいの宿屋の壁を破って、そこで気絶しているようだった。
「いつもながら、ウチの防犯システムは完ぺきよね?お父ちゃんが作ってくれただけのことはある」
訳知り顔で頷きあっていると、オカンは真っ青な顔をしながらブルブル震えている。
「アンタ、まだいたの?アンタも同じ目に遭わせてあげようか?」
そこへ騎士団がやってきて、事情聴取が始まる。
めんどくさくなった女神様二人は、ごろつきとオカンのやり取りを音声付映像で流すと、目を白黒させる。
そんなに驚くことかしらね?
「この動く絵は、魔道具か何かか?」
「よくわからないけど、お父ちゃんが作ってくれたものなのです」
死人に口なしだから、なんでも冒険者の父のせいにしておく。
「素晴らしい!さすがロビンソン様(お父ちゃんの名前)は、やることが違う。きっと後に残された二人のお嬢様のためにと思って、作っておられたのでしょう」
それで、すぐ納得してもらって、悪いのは、オカンとゴロツキということになり、一網打尽となったのだ。
後から考えるとあのオカン、前々世のエストロゲン夫人に魂の色がそっくりだったなぁと考えこむアイリーンがいる。
そうだったら、もう一度アフロディーテに石に変えてもらった方がよかったのかもしれない。
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