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それからというもの、毎月アラミスは離宮を訪れるようになった。最初の頃こそ、アラミスの方がタジタジで。
慣れてくるとジョセフィーヌのことを苛めるようになっていく。その度に
「アラミス様なんて、大っ嫌い!もう来ないで!」
ジョセフィーヌがそっぽを向いてしまうと焦ったような顔をして、一生懸命取り繕っている姿は、それなりに可愛かった。
初回、カエルに失神したアラミスは、こっぴどくケントホームズ公爵に叱られたらしい。
「たかがカエルぐらいで失神するとは、それでも男か!?そんなことでは、良い公爵にはなれんぞ。それからくれぐれもジョセフィーヌ嬢の機嫌を損ねるようなことは致すな」
でもだんだん成長するにつれて、扇の要と同じように、もう幼い頃のような関係ではいられなくなり、アラミスの足は遠のいてしまった。
ジョセフィーヌは、それをこれ幸いと思っているようで、変わらず、野原を駆けまわって遊んでいる。
そんなジョセフィーヌのことを母は心配そうな顔で見ている。あまりにも、野生児過ぎて、レディとしての部分が欠ける。
黙って佇めば、しおらしい王女にしか見えないが、ひとたび口を開けば、扇で口元を隠すことなく。大口を開けてガハハと笑う娘に心配は尽きない。
幼いころから、ミニスカートで過ごしてきたジョセフィーヌは、長い裾のドレスでは歩きにくいらしく、モタついているし、ハイヒールを履かそうにも、とても無理で断念せざるを得ない。
このまま、大人になっても大丈夫だろうか?母が父に相談し、隣国のミッション系スクールに留学させることにした。
まだ12歳だが、行儀見習いのような形で入学を認めてくれている。3年間、ベッタリと行く必要はない。レディとしての所作が身に着けば、帰国して、こちらの学園に入ればいいのだから。
そう説得されたジョセフィーヌは、喜んで隣国ベルサイユへ留学する。
この国では、アラミス以外のお友達はいない。寂しかったので、新しいお友達を作りに隣国へ行きたいと思った。
動機は違えど、留学する気になってくれたことは喜ばしい。
ベルサイユ学園は、紳士淑女を養成する学園であった。今まで裸足で駆けずり回っていたジョセフィーヌに務まるかどうかはわからないが、とにかく頑張る。
入学式の時に、隣に座った少女と仲良しになる。少女の名前は、ロザリーヌ。話を聞くと、ベルサイユの王女らしい。
「わたくしも、ザルツブルグで王女をしております。ジョセフィーヌ・ザルツブルグにございます」
良かった。挨拶だけは完ぺきに?できた。
「えー!わたくし、自分以外の王女殿下を初めて見たわ。これから仲良くしてくださいね」
「こちらこそ」
「ところで、ジョセフィーヌちゃんは、寮暮らし?」
「ええ。そういうことになりますわね」
「たまに遊びに行ってもいいかしら?」
「いつでも、どうぞ」
「本当っ!ありがとう。いつもお城にいると、窮屈で」
「わたくしは、ザルツブルグでは、3歳までお城暮らしでしたけど、それ以降は離宮で暮らしておりましたわ」
「えーっ。いいなぁ」
「両親からのびのび育ってほしいと言われて、教育方針だったのでしょうけど、お陰でこんな風になってしまいましたわ」
「こんな風って?ジョセフィーヌ様って美人だし、お上品で大人の女性って感じで羨ましいわ」
ヤバイ。ちょっと作り過ぎたかな?でも、第1印象って大事よね。ザルツブルグでは野生児とか、サルと呼ばれていたことは内緒にしておこう。
それからロザリーヌちゃんのお城のお茶会参加やお部屋にも遊びに行き、すっかり打ち解ける。
ある日の放課後、マナー本を探しに図書館へ行くと、すごいイケメン男性が先客としていた。
一礼して、席に着き、読み始めるが、あまりのイケメンぶりが気になって、ついチラチラ見てしまう。
その視線に気づいたのか、イケメンもジョセフィーヌの方をチラ見してくる。
慣れてくるとジョセフィーヌのことを苛めるようになっていく。その度に
「アラミス様なんて、大っ嫌い!もう来ないで!」
ジョセフィーヌがそっぽを向いてしまうと焦ったような顔をして、一生懸命取り繕っている姿は、それなりに可愛かった。
初回、カエルに失神したアラミスは、こっぴどくケントホームズ公爵に叱られたらしい。
「たかがカエルぐらいで失神するとは、それでも男か!?そんなことでは、良い公爵にはなれんぞ。それからくれぐれもジョセフィーヌ嬢の機嫌を損ねるようなことは致すな」
でもだんだん成長するにつれて、扇の要と同じように、もう幼い頃のような関係ではいられなくなり、アラミスの足は遠のいてしまった。
ジョセフィーヌは、それをこれ幸いと思っているようで、変わらず、野原を駆けまわって遊んでいる。
そんなジョセフィーヌのことを母は心配そうな顔で見ている。あまりにも、野生児過ぎて、レディとしての部分が欠ける。
黙って佇めば、しおらしい王女にしか見えないが、ひとたび口を開けば、扇で口元を隠すことなく。大口を開けてガハハと笑う娘に心配は尽きない。
幼いころから、ミニスカートで過ごしてきたジョセフィーヌは、長い裾のドレスでは歩きにくいらしく、モタついているし、ハイヒールを履かそうにも、とても無理で断念せざるを得ない。
このまま、大人になっても大丈夫だろうか?母が父に相談し、隣国のミッション系スクールに留学させることにした。
まだ12歳だが、行儀見習いのような形で入学を認めてくれている。3年間、ベッタリと行く必要はない。レディとしての所作が身に着けば、帰国して、こちらの学園に入ればいいのだから。
そう説得されたジョセフィーヌは、喜んで隣国ベルサイユへ留学する。
この国では、アラミス以外のお友達はいない。寂しかったので、新しいお友達を作りに隣国へ行きたいと思った。
動機は違えど、留学する気になってくれたことは喜ばしい。
ベルサイユ学園は、紳士淑女を養成する学園であった。今まで裸足で駆けずり回っていたジョセフィーヌに務まるかどうかはわからないが、とにかく頑張る。
入学式の時に、隣に座った少女と仲良しになる。少女の名前は、ロザリーヌ。話を聞くと、ベルサイユの王女らしい。
「わたくしも、ザルツブルグで王女をしております。ジョセフィーヌ・ザルツブルグにございます」
良かった。挨拶だけは完ぺきに?できた。
「えー!わたくし、自分以外の王女殿下を初めて見たわ。これから仲良くしてくださいね」
「こちらこそ」
「ところで、ジョセフィーヌちゃんは、寮暮らし?」
「ええ。そういうことになりますわね」
「たまに遊びに行ってもいいかしら?」
「いつでも、どうぞ」
「本当っ!ありがとう。いつもお城にいると、窮屈で」
「わたくしは、ザルツブルグでは、3歳までお城暮らしでしたけど、それ以降は離宮で暮らしておりましたわ」
「えーっ。いいなぁ」
「両親からのびのび育ってほしいと言われて、教育方針だったのでしょうけど、お陰でこんな風になってしまいましたわ」
「こんな風って?ジョセフィーヌ様って美人だし、お上品で大人の女性って感じで羨ましいわ」
ヤバイ。ちょっと作り過ぎたかな?でも、第1印象って大事よね。ザルツブルグでは野生児とか、サルと呼ばれていたことは内緒にしておこう。
それからロザリーヌちゃんのお城のお茶会参加やお部屋にも遊びに行き、すっかり打ち解ける。
ある日の放課後、マナー本を探しに図書館へ行くと、すごいイケメン男性が先客としていた。
一礼して、席に着き、読み始めるが、あまりのイケメンぶりが気になって、ついチラチラ見てしまう。
その視線に気づいたのか、イケメンもジョセフィーヌの方をチラ見してくる。
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